「いかにしてアイデア力をアップするのか」
難しい問題ですが、アプローチしてみる価値はありそうです。
今回は、いくつかの発想系書籍と自分自身の体験を総合して、アイデア力アップのためのトレーニングを5つ考えてみました。どれも、日常的に行えるものばかりです。
- 1.アイデア・マラソン
- 2.ネーミング・トレーニング
- 3.ユビキタス・プロブレム
- 4.ナチュラル・ブレスト
- 5.アウトプット・コミットメント
1.アイデア・マラソン
毎日、最低一つアイデアを考え、それをノートに記していく手法。
アイデアマラソンについては以下の記事で紹介しました。
ここから「ユビキタス・キャプチャ」の習慣へと繋げていってもよいでしょう。
2.ネーミング・トレーニング
いろんなものに「名前」を与える訓練。
ネーミング・トレーニングについては以下の記事を参照してください。
» その方法の「名前」は何ですか? ~ネーミング・トレーニング~
世の中には名前が付いていないものがたくさんあります。特に「モノ」以外の、状態・方法論・サービス・概念・心理状況などは名前空白地帯です。名前がないものを見つけたら、「どんな名前がいいかだろうか」と考えてみましょう。
3.ユビキタス・プロブレム
いろいろなところに「問題」を見つける、というトレーニング。この場合の問題は、「やっかいごと」ではなく「解決されるべきもの」というニュアンスです。
- 誰かが困っているのを見かけたら、「どうやってその困難を解決するか」を考える。
- 行列が出来ていたら、「どうやってその行列を解消するか」を、あるいは「行列のポジティブな利用法」を考える。
- 自分が不満を感じる状況に遭遇したら、「どうやったらその不満が解消できるか」を考える。
その気になって周りを見渡せば、世の中にはたくさんの「問題」を見つけることができます。それらを所詮他人事と切り捨ててしまわずに、「どうやったら解決できるか」をトレーニングとして考えるわけです。
4.ナチュラル・ブレスト
ブレスト(ブレインストーミング)は、会議や打ち合わせ、ワークショップなどで行われることが大半ですが、それを日常にも持ち込んでしまおう、というもの。
たとえば、誰かが滑稽な考えを口に出したとき、すぐに否定してしまわないで、おもしろ部分を発掘し、それを発展させて自分なりのアイデアに繋げる、といった方法です。SNSなんかで面白く実行できるかもしれません。
ちなみに、ブレストの四原則は以下です。
- 判断・結論を出さない(結論厳禁)
- 粗野な考えを歓迎する(自由奔放)
- 量を重視する(質より量)
- アイディアを結合し発展させる(結合改善)
5.アウトプット・コミットメント
定期的にアウトプットする先を持つ、というトレーニング。
必要は発明の母なんてことわざもありますが、アイデアを必要とする場所に身を置くのが、アイデア力をアップさせる良いトレーニングになります。アイデアマラソンもその一部ですが、自分用のノートだけではなく、他人にも見える場所にアウトプットを出すことでよりその効果を強めることができます。
たとえばブログの更新がそうですし、あるいは定期的な勉強会や、Twitterで毎日「今日の一言」をつぶやく、なんていうのも含まれるかもしれません。
さいごに
今回紹介したトレーニングは、スタートするのに特別な装置や高価な機材は一切必要ありません。簡単なツールとやる気、後はそれを支える仕組みがあれば誰でも始めることができます。
残念ながらトレーニングなので、「今日始めたら、明日にはアイデア筋肉がムキムキになる」ということはありませんが、長期的な継続の先には、俊敏かつ大量にアイデアを生み出せるようになるでしょう。
Follow @rashita2
はあ、と一息つくぐらい苦労した章を書き終えました。これだけ書くのに時間が掛かった章は初めてです。でも、それに見合うぐらいの感触はありました。まだいくつか章は残っていますが、その手応えで何とか書き進めていくだけのテンションが湧いてきそうです。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。