生産性が下がってきたなと感じたときに問い直す4か条

カテゴリー: ビジネス心理書評
  1. はっきりとした前向きの目標さえ見つければ、細々としたやりかけの仕事が消えてなくなると思っていたら、考え直す
  2. あなたの生産性を下げている大きな要因の一つは「重要だけど緊急ではない」仕事
  3. 高度な集中力と積極的な意欲を再充電させるために物置の掃除をする
  4. 「火星旅行に行く!」というプロジェクトであっても、次にとるべき行動を決定することはできる
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生産性が下がってくることなど、しょっちゅうあると思いますし、その理由もいくらでも見つかりそうですが、状況次第では、大急ぎで立て直さなければなりません。その「大急ぎ」がますます問題を悪化させることもありますが、こういうときこそ「専門家」の知恵を借りたいところ。

最近、本コラムでもとりあげたデビッド・アレンの『ストレスフリーの整理術』がよく取り上げられています。あちらがかなり詳細にGTDを解説した解説書だとすると、その前から出ていた『ストレスフリーの仕事術』には、その背景となる考え方がエッセイ風にまとめてあります。

GTDには、「ツールを選ばない」という特徴があるので、基本的なやり方と背景の考え方さえ押さえておけば、必要に応じて自分なりのやり方を実践できます。デビッド・アレンの考え方を一読するのはその意味で、意外に大切なことなのですが、考え方は具体的な方法論とちがいますので、本を一冊読む気にはなかなかならない、という人もあるでしょう。

そこで、強引に『ストレスフリーの仕事術』を4項目に要約してみました。一冊読み通されることがむろんいちばんいいのですが、とりあえずは魅力的なアイデアを押さえ、もっと突っ込んで知りたくなったら本をお読みになってください。仕事に行き詰まったときには有益なヒントが、いくつも隠されている良書です。

1.はっきりとした前向きの目標さえ見つければ、細々としたやりかけの仕事が消えてなくなると思っていたら、考え直す

私にはこれが、GTDの基本思想にあると感じています。非常にボトムアップ的な仕事術です。

最終的なゴールを一つ立てて、それを分解し、小項目に落としていって、もうそれ以上細かくできなくなったところで、一つ一つをつぶしていく。これは合理的な印象ですし、自然とそうしたくなるものですが、困ったことに、今すぐやらなければならないことと、「大目標」との間には、何の関係もなかったりするのが現実です。

たとえば私は、脳と意識についての洋書を読みたいという「大目標」があるのですが、それとはあまり関係なく、これから夜中だというのに、風呂の掃除と流しの掃除をしなければなりません。そしてそれらを終えた頃には、洋書を読む気力も時間もなくなっているのです。

「脳と意識の洋書を読む」という麗々しい目標を日々達成すべく、これに割ける時間を算出し、できそうなタイミングをタスクシュートで洗い出し、何とかそれに充てられる時間を捻出するために躍起になっているのですが、だいたい家計に何の貢献もせず、雑務を少しも減らさないことに多大の時間を当てるのは、現状はとても難しいのです。

そういうわけで、今目の前にあって片付けなければならない雑務は、目標のたて方次第で消えてなくなるようなものではない、ということです。仮に新種のすごい目標を立てたとしても、それが新しい細々とした雑務を作り出してしまうのです。

2.あなたの生産性を下げている大きな要因の一つは「重要だけど緊急ではない」仕事

重要でも緊急ではないと思っている仕事は、緊急でないため、取りかからない。そのうちその仕事は、重要で緊急の仕事になってしまう。この流れは慢性化しやすく、「重要だけど緊急ではない仕事」を何となく気にかけつつ、「重要で緊急の仕事」に追い回される日々が続くことになります。

『マニャーナの法則』でマーク・フォースターは、優先順位を付けることに反対してこういっています。「すべて仕事というものは、やるかやらないかのどちらかしかない。やるならやることをリストや予定に書く。そうでなければやらないことだ」と。

GTDにはこれへの逃げ道も用意されていて、「いつかやる・たぶんやるリスト」というリストに入れることができます。

間違えてはいけないのは、「いつかやる」というのは、「長期間をかけてやる」ということではない点です。「いつかやる」ことになっているタスクは、その位置づけを変えない限り、1年経っても「いつかやる」ことになっているままです。

デビッド・アレンはこの点をわざわざ太字で強調して書いています。

「プロジェクト」リストと、「いつかやる/たぶんやる」リストの間には決定的な違いがある。それができるだけ早く完成させるべきやりかけの仕事なのか、しばらくやらないことを選択したものなのかどうかだ。微妙だがそこには大きな違いがある。(p189)

 
ちなみに、デビッド・アレン自身の「いつかやる/たぶんやる」リストには100以上の項目があると、この本の中では述べられています。これをわざわざ書いてあるのは、ここに入れることにうしろめたさや残念な感じを抱く読者へ、気兼ねなくこのリストを使うことを勧めているのでしょう。

3.高度な集中力と積極的な意欲を再充電させるために物置の掃除をする

本の中では物置ではなくてガレージとなっていますが、この辺はいかにもアメリカ人らしいと思いました。ガレージがぐちゃぐちゃになっていて、それをきちんとしなければと思い悩み続けているアメリカ人をたくさん見てきたからです。ガレージなど、作らなければいいのに、と率直に日本人の私は思ったものです。私のマンションが丸ごと入りそうなあんな広いガレージに、山のようにモノを買い込めば、整理しきれなくなるのも当然でしょう。

それはともかく、なぜガレージの掃除が意欲の充電につながるのか。ここのエピソードは大変おもしろかったので、ぜひ本の方で確認していただきたいのですが、似たようなことを心理学者の加藤諦三さんが述べられたことがあります。

加藤さんは、疲れ切って、何をやる意欲もわきそうにないから、普段から「エネルギーを節約するようにしている」と相談してきた人に向かって、心のエネルギーというものは、物理的なエネルギーとちがって、節約していれば自然とわいてくるようなものではなく、むしろ使うことでわいてくるものだと言ったそうです。

気分障害のような話であれば、またちがうと思いますが、活動する前には弱り切っていても、活動を開始してみると心境ががらりと変わることは、誰しも経験があると思います。ガレージの掃除というのは、つまり象徴なのです。タスクがぐちゃぐちゃになって、何とも手がけたくない気持ちをきりかえ、取りかかり、一つ一つをこなし、最後までやり抜くプロセスを体験する中で、それにふさわしい意欲的な感情を得ることができるというわけでしょう。

その意欲的な感情を持つことが、重要だというわけです。

4.「火星旅行に行く!」というプロジェクトであっても、次にとるべき行動を決定することはできる

「火星旅行」は、手に余るほど巨大なプロジェクトの比喩なわけですが、そういう超巨大プロジェクトであっても、それが「プロジェクト」である以上、「完遂するために必要な具体的行動」を割り出してくる必要があるのです。そうしないと、プロジェクトを完了させるための行動がとれないので、プロジェクトはプロジェクトではなく、「いつかやるタスク」になってしまいます。

すでに述べたとおり、こうした超巨大プロジェクトは、大量の「細々したタスク」をはき出してくれます。これに他の色々なタスクが混ざって混乱し、何に意欲をフォーカスしていいかがわかりにくくなり、意欲低下し、生産性も下がってしまうわけです。したがってまた最初に戻り、生産性を高めるためには、「大目標」よりも「細々としたことを片付ける意欲と決意」が必要だと、再認識しなければならないわけです。

 
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▼編集後記:

mBook」が気になる。VAIO type Pも気になるし。
でも、MacBookAirにWindowsのせて、一台にまとめるべきだと理性的には思う。

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