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1996年以来、すなわち社会人になって以来、生活・仕事を問わず、いかに日々の出来事や体験、感情の変化などを正確かつ短時間で記録に残すかについて考え続けてきました。
その時々で自分が買える最高のガジェットを入手し、様々なツールやアプリを駆使して、この「再現」の材料となる記録を取ってきました。
この記録こそが今よく耳にするようになった「ライフログ」です。
結局、最強なのはテキスト(ファイル)で残す、という結論は変わりませんが、それは終端(=ターミナル)においてであり、記録の発端(=エントリーポイント)としてのガジェットやアプリは刻々と変化しています。
電卓機能付き腕時計、電子手帳、ZAURUS、DataScope、iモードケータイ、などを渡り歩いて、2011年にようやくiPhoneにたどり着きます。
iPhone自体は2009年から使用していますが、ライフログ用途として本格的に使い始めたのは2011年です。
なぜここまでこだわるのか、自分でもよくわからないのですが、振り返ってみると次の2つがその理由なのだと思います。
- 放っておくとどんどん流れ去っていく無数の瞬間が愛おしい(再現したい)
- 一度味わった苦労はもう二度と味わいたくない(再現したくない)
キーワードは「再現」です。
そんな「再現」のためのライフログの要件は、次の5点です。
- 思いついた時にすぐに記録を開始できること
- 思いついた内容に適した入力方法で記録できること
- 記録した内容をすぐに閲覧できること
- 記録した内容を実用的なスピードで検索できること
- 記録した内容をデータとして出力できること
一つずつ見ていきます。
1.思いついた時にすぐに記録を開始できること
せっかく思いついたことを忘れないようにするためにも、記録開始までの待ち時間は少ないほどよいです。
アプリの起動と同時に記録可能な状態になる、PostEver、FastEver、OneCamなどはこの点で優れています。
※OneCamは「全世界で80,000ダウンロード感謝セール」とのことで今日(2012/2/29)まで半額だそうです!
2.思いついた内容に適した入力方法で記録できること
文字入力(フリック入力)、手書き入力(指やスタイラスによる線画)、音声入力、画像入力(=写真撮影)、映像入力(=動画撮影)といった入力方法が考えられますが、アプリが分かれたとしてもiPhone一台あれば済む、ということならば問題はないでしょう。
手書き入力としては、7notes、音声入力は標準のボイスメモ、写真はOneCam、動画は15秒が代表です。
3.記録した内容をすぐに閲覧できること
家に帰ってPCに向かわなければ確認できない、というのでは困ります。すべて見られなくても、その日のうち、もしくは数日前程度であれば、“スクロール”することで時系列に記録を閲覧できるのが望ましいでしょう。
「同期すれば見られる」という条件付き閲覧もあります。Evernoteにアップした情報がまさにそうです。見ようと思っても同期が終わるまで待たされる、というのではイヤになってしまうでしょう。
その点、ATOK Padは同期も早いので、重宝します。
PostEverやFastEverから送った記録をiPhoneで見たい場合は、withEver(※)。これ以外に今のところ選択肢がありません。外出先でふと「あれ、なんだっけ、確かEvernoteにクリップしたはず…」といったシチュエーションに打ってつけです。画像やPDFの中身まで検索してくれるので、断片的な言葉でも的確に釣り上げることができます。
※2014/12/02現在、withEverはAppStoreの検索で見つからなくなっているため、リンクをはずしました。
4.記録した内容を実用的なスピードで検索できること
一週間以上前のことや、そもそもいつのことかも分からないような記録を見つけ出すために不可欠な要件です。
「検索すれば見つかるから整理は不要」という意見がありますが、「何でもかんでも検索しないといけない」というのはあまり便利ではありません。
それゆえに「最近の記録であれば検索しなくても閲覧できる」という記録の“キャッシュ”がモノを言うのです。
欲を言えば、時期によらず自分にとって意味のある記録についてはすぐに見つかるのが理想です。そのためには、自分にとって意味のある記録を閲覧したときに何らかの形で「これは意味がある!」という痕跡を残す必要があります。
Evernoteであれば、ノートにタグをつけたり、作成日付を更新したり、ノートブックに移動したり、といった一手間をかけることになります。
あるいは自分にとって意味の薄い記録はどんどん削除していくという逆のアプローチもあるでしょう。
Evernoteには10万件までしかノートを格納できないため、何でもかんでも放り込んでいくと記録装置としての“寿命”を短くしてしまいかねません。
この部分については、「ゼロノートコンセプト」が参考になります。
メインで使っているEvernoteアカウントは別に、もう1つ無料のサブアカウントを取得し、このアカウントからメインアカウントのうち「意味のある」ノートブックのみを共有しておくことで、ノイズの少ない検索が実現できます。
5.記録した内容をデータとして出力できること
Evernoteのような終端に位置するサービスにインポートできればOKです。端末を問わず、一度書いたことは二度と書かなくても済み、さらに繰り返し活用できるのが最高です。
ここで大事なことは、次の2つを分けることです。
- ライフログ(=過去の記録)
- アイデアメモ(=未来の記録)
ありていに言えば、ライフログはお金と時間を使った結果であり、アイデアメモはお金と時間を生み出す原因である、ということになります。
この2つが混ざっていると、時間とお金を失うことになります。レシートの束と小切手の束をまぜて保管しておくようなものだからです。
僕はやっていませんが、極端な例としては以下のようにノートブックを3個で回している方もいらっしゃいます。ここから始めてみるのもいいかもしれません。
まとめ
図らずも長くなってしまいましたが、ライフログに限らずアウトプットに意味を持たせたいのなら、入口と出口を明確にしておくことが大事、ということになります。
- 入口は可能な限り“バリアフリー”に
- 出口は後で迷わないように目的に応じて明確に分けておく
合わせて読みたい:
参考書籍として3冊ご紹介しますが、いずれも「記録」という行為の認識をガラッと変えてくれます。「日記が続かない」という方も、この3冊を読むことで、そこに自分なりの意味を見いだし、これまでとは違うものとして日記をとらえることができるようになるはずです。
関連エントリー:
・“日記家”のための座右の書
・ライフログから価値を生み出していますか?~10/7(金) W出版記念イベント「Evernote×モレスキンで始めるライフログ入門」を開催します
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