書くことが何もないと、その日一日は何のために生きたのかが分からないって思うんです。
「オーダーメイド留学」という言葉をご存じですか? 文字通り、個々の注文に応じたぴったりの留学、という意味合い。そんな「私だけの留学」を提供する留学図書館代表の平川理恵さんとランチしてきました。
▼ランチしたお店
四季の旬菜料理AEN 自由が丘店
平川さんのキャリアは大学卒業後にリクルートに入社するところから始まります。その後、リクルートから企業派遣生として南カリフォルニア大学大学院へ留学し、MBAを取得。帰国後、しばらく大学向けのコンサルティングに携わった後、退社し、留学図書館を立ち上げます。
事前に、ご著書である『28歳からのぶっつけ留学成功法』を読ませていただいていました。本書は平川さんの「留学体験記」なのですが、留学に至るまでの経緯やそのプロセスにおける壮絶な行動力には驚かされます。
例えば、27歳だった平川さんが留学を思い立った直後の一節。
しかし、留学が正直その目的(注:国際人になりたい)に合うのかどうか? 白状すると、日本の大学時代は、まったく授業に出席しない不良学生。アメリカの大学でも授業に出席しない不良学生やっても仕方ないし…。まあ、「つべこべ言わずに、一度現地に見に行ってやれ!」と思い、一路アメリカへ。まさにぶっつけ本番で大学見学に行くことにしました。
格安航空券の旅行会社に電話をしてサンフランシスコ行きの飛行機を予約。行き先のサンフランシスコは単なる思いつき、「勘」というやつです。(p.18)
空港でレンタカーを借りた平川さんは、地図を片手に片っ端から大学周りを始めます。思いつきでここまで来ていますから当然、飛び込みです。さらに、英語がまったくわからない状態で乗り込んだといいますから、ほとんど突撃隊ですね。
それでも、成果はあったようです。
何を言っているのかもチンプンカンプンでしたが、百聞は一見に如かず。まさにいろいろな人種がいるということを知ったのでした(アメリカでは当たり前のことなのですが)。
しかも日本と違って、生徒と先生のディスカッションによって授業が成り立っているということを知ったのです。これなら、国際人になれるかも…と、けっこう強く感じたものです。(p.19)
通常であれば、まずは英会話学校に通って、大学のパンフレットを取り寄せて、とするところを、そういった手順をすべてすっ飛ばして、文字通り飛んで行ってしまう。それでいて、きちんと「これなら、国際人になれるかも」とあるとおり、当初の目的は果たせています。
こうして、留学前の大学選びのための渡米を終えます。
その後、「オーダーメイド留学」の事業のほとんどは優秀なスタッフによってその実務のほとんどを任せることが出来、現在の彼女の関心は中国でのビジネスに向かっています。留学の時と同様に、「中国いいかも!」と思い立った翌週には視察のために現地入り…。
このように、仕事まっしぐらに見える平川さんですが、実は家族と過ごす時間を何よりも大切にしています。そして、今のような生き方が「楽」だといいます。
それはなぜでしょうか?
そこに至るまでには3つのステップがあるようです。
「楽」に生きるための3つのステップ
平川さんにとっての「楽」とは、誰からもコントロールされることなく、自分の意志ですべてを決めて行動できる状態を指します。そんな状態を作り出すためのヒントをおうかがいしたところ、次の3つのステップを教えていただきました。
1.決める──直感
2.動く──経験主義
3.考える──発見ノート
1.決める──直感
まず、何はともあれ決めてしまうこと。決める基準は直感。
例えば、平川さんは「18時以降は仕事はしない」と決めているといいます。もちろん、仕事の都合で、やむを得ない場合もあるため、この決まりを100%徹底することはできないのですが、そもそもこの決まりは、仕事と家庭の間に線を引くための手段ですから、守れなかったとしても、守ろうとする意志が潰えない限りはこの決まりの存在意義はいささかも揺らがないわけです。
また、決める際には細かい条件をひとつひとつ検討することはせず、自身直感を信じてパッと決めてしまうそうです。その理由は次の「動く」で明らかになります。
2.動く──経験主義
平川さんのポリシーの1つに、「あらゆることを自分の五感でキャッチすること」があります。人づての情報やマスコミ経由の情報を鵜呑みにせず、まず自分が身をもって経験する。
前提となる知識が要求されることもありますが、それでも、まず動いてみる。そうすることによって、直感の精度を磨くことができます。
言語のフェンスを乗り越えて、いきなりカリフォルニアや中国に飛び立っていくのは、ひとつには自身の直感に自信があるからでしょう。「自信があるから」といった分析すらも追いつかないくらいのスピードかもしれません。
このスピード感は平川さんの次の言葉からも伝わってきます。
頭で分かっていても、体が動かないのであれば、それは分かったことにならないですよね。
つまり、
・分からないうちに動き出す(分かるまで待たない)
・感覚で分かったのちに、頭の理解がようやく追いつく
ということです。仮に、動いたことが望ましくない結果を引き起こしたとしても、それは次の「動く」のための糧になります。
3.考える──発見ノート
決めて、動いて、結果を手にしたのちに、ようやく「考える」のが平川流。
その方法とは、毎晩寝る前に「発見ノート」と呼ばれるノートにその日の中で心の琴線に触れたことを書き綴ること。そして、このノートは折に触れて読み返すそうです。
アクティブに動いている平川さんにとって、このノートに向かう時間は次の「決める」や「動く」のための静謐なる“仕込み”なのかもしれません。それは、冒頭でご紹介した以下の一言からもうかがい知ることができます。
(発見ノートに)書くことが何もないと、その日一日は何のために生きたのかが分からないって思うんです。
まとめ
このように、ひたすら走り続ける平川さんですが、そのパワーの源泉は「価値観を豊かにしたい」という思いにあるようです。人生の目的は「価値観をアップデートすることによって、もう一段上の自分になっていくこと」。
そのためには、様々な経験に身をさらすことで、自分に与えられた役割を見つけ出す必要があります。平川さんは、自身の目指す理想を体現している人物として、米国の歌手・マドンナを挙げます。たゆまぬ自己開拓と自己改造を通して、自身の役割を全うしているのがその理由。
この鬼気迫るものすら感じさせる生き方に触れて思い出したのが、ジム・ローンの次の言葉です。
「自分自身の計画で空白を埋めなければ、ほかの誰かの計画に組み込まれるしかないんだよ」
自ら埋めるか、誰かに組み込まれるか──どちらが楽かの二択において、前者を選び続けているのが平川理恵さんです。
▼書きながら思い出した本:
ジム・ローンを手っ取り早く知るうえでオススメなのが以下のオーディオブック。
» サクセス・オーディオ・ライブラリーVOL.1 「野心を抱け」 ナイチンゲール・コナントサクセス・オーディオ・ライブラリー 日本語版
» 望んでいることを実現に近づけるための3つの問い
» 自分を奮い立たせる目標を設定するための4つの問い
» ラクに生き抜くための自分の運び方
▼次にすること:
・オーディオブック「野心を抱け」を聴いてみる
▼関連:
・留学図書館