相手がいると、モードが変わる。
» 優先度の高い仕事を片づけるには、まず「考える仕事」と「手を動かす仕事」を分ける
この2つの仕事を分けることによって、
ある程度機械的に進められる仕事になるため、心理的な負荷も減り、見通しもつけやすくなり、安心して取り組むことができるようになります。
という効用が得られる、ということでした。
今回は、その続きの「分けた後」について、特に「考える仕事」を素速く進める方法を考えてみます。
「考える仕事」は難しい
なぜ難しいかといえば、上記の記事では以下のようにサラっと書いていますが…、
使う・使わないは気にせず、まず盛り込めそうなアイデアを集めて構成案を作り、順序を入れ替えたり、足りない部分を追加したり、不要な部分を取り除いたり、といった「捏ねる」作業を行ないます。これが「考える仕事」です。
やろうとすると、意外と力の要る仕事であり、終わりの見えない仕事になりやすいからです。
そこで、強制的に「終わり」を作るようにします。
考える仕事を素速く進めるための3つのステップ
以下はそのための3ステップです。
- 1.その仕事について思いつく限りのアイデアを書き出す
- 2.1のアイデアを上司や同僚に見せて質問してもらう
- 3.2の質問に対して自分が答えた内容を書き足す
1.その仕事について思いつく限りのアイデアを書き出す
これについてはこちらでご紹介したアウトライン・プロセッシングが有効です。
» 『アウトライン・プロセッシング入門』は「考える仕事」をたくさん抱えている人のための一冊
2.1のアイデアを上司や同僚に見せて質問してもらう
続いて2つめの「1のアイデアを上司や同僚に見せて質問してもらう」ですが、特に「質問してもらう」が有効です。
コツは、書き出したアイデア(=構成案のベータ版)を見てもらうためのミーティングを設定してしまうこと。
これには3つのメリットがあります。
その1。
ミーティングの日時が決まれば、構成案が「完成」していなくても、見せなければならなくなります。相手に時間を取ってもらっているということもあり、何としてもある程度の「完成」を目指すようになります。
その2。
ミーティングとなれば、相手に自分が考えたことを何とか分かってもらおうと必死になります。
一人で考えているときなら自明なことはスキップしてしまいますが、相手がいれば、
「もしかしたら、相手にとっては自明ではないかも?」
ということで、その自明なことについて改めて考えることになります。
これが「捏ねる」をいっそう促してくれます。
その3。
さらに、相手には見てもらうだけでなく、質問をしてもらうようにします。
ツッコミをいれてもらうのです。
この質問やツッコミに対して改めて考え、答えることで、構成案の内容はさらに「完成」に向けてブラッシュアップします。
バージョンが上がっていきます。
これが3つの中で最大のメリットといえるでしょう。
3.2の質問に対して自分が答えた内容を書き足す
こうして、受けた質問に対して自分が答えた内容、すなわち一人では思いつかなかったことや自明なためにわざわざ言語化しなかったことが頭の中から引き出されます。「考える仕事」がどんどん進みます。
たとえば、僕自身は毎月開催しているワークショップのレクチャー内容をはじめ、さまざまなプロジェクトについて、パートナーの佐々木正悟さんに見てもらい、質問してもらうようにしています。
質問だけでなく、「ここがよく分からない」という正直な指摘を受けることもあり、「え? そこから説明しないとダメ?」と、ややへこむことが多いのですが、だからこそ独りよがりを脱して、より良い成果が早く得られるのだと感じています。
「2人でやる」という方法
その佐々木さんが以下のような記事を書いています。
» 「2人でやる」という方法
「二人」の効果というものはいろいろとあると思うのですが、1つには、専門の能力を出すということと、引き出すということとは、別のことのように思えます。『ターヘルアナトミア』の翻訳にあたり、この事業は三人で手がけたわけですが、中で「翻訳」に能力を発揮したのは、ほとんど前野良沢一人でした。杉田玄白などは「訳者」の一人なのに、オランダ語はほとんどできないままです。
これだったら前野良沢「一人」で仕事を進めればよかったようなものですが、たぶんそれでは本が出ていないのです。
どのような関わり方をするのがベストなのかは、いまもって模索中ではありますが、2人で取り組んでいたからこそ得られている成果は確かにあるという実感があります。
別の仕事ですが、3人で進めているプロジェクトがあるのですが、これもまた別の形でメリットを感じています。役割分担がうまくいっているからだと考えられますが、まだはっきりとは言語化できていません。
ただ、言えるのはこれ以上メンバーが増えると難しくなるのではないか、ということです。
少なくとも「考える仕事」を前に進める上では。
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