先日以下のような12の問いをご紹介しましたが、
全部やろうとするとなかなかに大変で、うっかり、「やらない」ことを決めることを「やらない」と決めてしまいそうになっている…という方もいるかもしれません。。
そこで、別のアプローチをご紹介します。
今回はたった1つの問い。
やらずに1年を終えたら後悔することは?
12問も答えるのは大変だ、という方はこの1問にのみ答えればOK。
- やらずに1年を終えたら後悔することは?
もちろん、これに対する答えが複数出てくることもあるでしょう。その場合、多くても5つ程度に抑えておくほうがいいと思います。できれば3つ。
さもないと、どれもできずに後悔することになるからです。
12の問いか、今回の1つの問いか。人によって向き不向きがあると思います。
「やらない」ことを決めることで、間接的に本来の「やるべき」あるいは「やりたい」ことに注意を向けさせるほうがやりやすい人と、直接「やるべき」あるいは「やりたい」ことに集中するほうがやりやすい人と。
いずれにしても行き着くところは同じです。
何にパワーを集中投下するか、その焦点を明確にする、ということです。
余命3年だとしたら?
もう1つ。
この本を読んでいて出会った考え方です。
「余命3年だとしたら」という制約を設けるのです。こうすることで、以下のような問いがわき出てきます。
▼3年後、家族に残せるおカネはどれくらいか?
▼3年間のうちに会っておきたい人は誰か?どんな話をしたいか?
▼3年間のうちに行きたい場所は?そこで何をする?
▼3年後、世の中に遺したいものがあるとすると、それは?
▼上記を実行するための月次プランは?
スティーブ・ジョブズのスピーチにも、毎朝鏡を見て「今日が人生最後の日だとしたら、私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか」という自問を33年間続けた、というエピソードが出てきましたが、実際のところ「毎朝」というのはかなりハードルが高いな、と思っています。
その意味で「3年」という長さは何かを準備したり覚悟を決めたりするのにほどよい期間ではないかと思います。著者も書いていますが、中学も高校も3年間だったので長さを把握しやすいこともあります。もちろん、これは主観ですから人によっては5年という人もいれば1年で十分という人もいるでしょう。
いずれにしても、制約を決めることで行動が後押しされるという効果は確実にあるはずです。
まとめ
以上をまとめると、
- 余命3年だとしたら、やらずに死んだら後悔することは何だろうか?
という鬼気迫る問いになるでしょう。
合わせて読みたい:
上記で取り上げた『クリエイティブ・チョイス』は、その名の通り「創造的な選択」(=Creative Choice)について書かれた本です。
以下、「まえがき」より。
仕事や生活上の選択を、「迫られて、選ぶ」ものから、「待ちかまえて、さばく」ものにできないか?
個人的な問題意識を突き詰めていくと、より大きな問題意識に突き抜けます(詳しくは第1章で述べます)。わたしの場合は、このとき悩み抜いた経験が「社会人の意志決定支援」という、公私にわたる研究テーマにつながっていきました。
何かを決める時には、その目的を問い直すことが必要といいます。本エントリーの趣旨でいえば、「やらずに1年を終えたら後悔すること」を自問することで今年のメインテーマを決める、ということですから、そもそもなぜ今年のメインテーマを決めるのか、その目的は何なのかを問い直すべし、ということになります。
少し長くなりますが、この「目的を問い直す」の実例を本書より引用します。
「選択」とは、ある目的を果たすために手段を選ぶことです。手段のよし悪しは、目的にかなっているかどうかで決まります。つまり「手段を選択するということは、目的を選択することでもある」のです。
たとえば「東京から大阪までどうやって行く?」という問いにはいろいろな選択肢がありますが、どれを選ぶかは目的しだいです。速さなら電車か飛行機、安さならバスでしょう。
本書がめざすのは「安さなら『青春18きっぷ』のほうが、いやいっそヒッチハイクのほうが…」などと、選択肢をたくさん出せるようになることだけではありません。「新しいアイディアというのは、新しい場所に置かれた古いアイディアなんだ」という言葉があります。
本書では、アイディアを置く新しい場所、つまり目的を問い直すところからはじめます。暗黙のうちに定義している目的を「再定義」する、といってもいいでしょう。
目的を再定義すると手段も再定義されます。東京から大阪まで移動する目的がAさんに会うためであれば、問いは「大阪のAさんに会うには?」と再定義できます。すると、名古屋で落ち合うのもAさんに東京に来てもらうのも、新たな選択肢の一つになります。(p.27)
以下の記事でも書いた「武器ありきではなく、まず戦い方ありき」にも通じる考え方だと思います。
4年前の本ですが、いっそう不確実さが増した今読み返してみて、改めて示唆に富む一冊だと感じました。
特に、イエスかノーかの二者択一問題(二分法的思考というそうです)に直面したときに、イエス・ノーいずれでもない「第三の解」を必ず見つけられる、という考え方にはうならされます。
それが見つけ出せれば、選択に対する満足度を高めることにつながるからです。自分の満足度だけでなく、関係する相手の満足度も同時に。
そんな問いを抱えている方はご一読をおすすめします。
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