ノマドワーカー第0章:最終回 ありきたりな不安との戦い方

今回で第10回、最終回となります。最後のテーマは「不安との戦い方」です。

ノマドワーカーを続けるというのは、不安とずっと格闘し続けるということです。もちろん金銭的な不安がゼロになった人はそうではないかもしれませんが、私はそれにほど遠い状態です。ですから定期的に強烈な不安に襲われます。

最初に断っておきますが、この不安は理に叶ったものです。黙ってぼーっとしていれば必ず経済的に困窮するというのに、不安を感じずにいられるというのは特異な心理状態です。普通は先のことで不安になるものなのです。

共感できるものか面白いものを読む

私はそういった不安に襲われたときには、共感できるものか面白いものを読むようにしています。通常はマンガです。不安で疲れているときに活字は追いたくないのです。

失踪日記
吾妻 ひでお

イースト・プレス 2005-03-01
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真っ先に手に取るのはこちらです。面白くて共感できるのです。やはり私はどちらかというと心配性なので、漫画が描けなくなって、アルコール依存になって、逃げて、公園で寝泊まりしていた人のエピソードには強く惹かれます。本質的にはこれこそ自分自身の姿だと感じるからです。

吼えろペン (サンデーGXコミックス CHRONICLE)
島本 和彦

小学館 2010-07-17
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もうひとつはこちらです。やっぱり共感できて面白いのです。こちらは『失踪日記』ほど「悲惨」ではありませんが、フリーランス特有の悩みと実情をありありと描いていて、非常に共鳴します。公園で主婦の方同士が育児と家事の不満をこぼしあうといったらこんな感じでしょうか。とにかく読むだけでスッキリします。

シーシュポスの神話 (新潮文庫)
カミュ Albert Camus

新潮社 1969-07
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もう一つはマンガではないがこちらです。特段「シーシュポス」が好きというわけではなくて、カミュが好きです。読んでいてとても安心します。共感はできてもさほど面白いとは感じませんが、本当につらいときには根源的な絶望感といったものが、冷徹に描かれているものほど求めたくなるのです。

余談ですが大学時代にもずっとカミュを読んでいましたが、今とは感じ方が全然違っていました。失望・絶望といってもいろいろで、心理的、物質的、状況的な違いが、同じ文章を違って感じさせるのです。ごく当たり前のことですが。

(さらに余談ですが、実存主義的かどうかは、実際あまり関係ありません。私にはサルトルが面白くないからです。カミュが好きなのは発想も文章も要するに好きなのであって、趣味的な話です)。

強い不安はチャンスである

しかし以上を読んでスッキリしたり安心したりできるのは、まだ余裕があるときです。目に見えて銀行口座の貯金額がゼロに近づいてきたりすると、上記のようなものを読んでいる余裕などあり得なくなります。

そこまで追い詰められてくるとここの管理人、大橋さんがときどき口にする「失敗と危機はチャンスとみなす」という、私が苦手というか、時に忌避する考えを借りてくることにしています。

私はこういった人生訓めいたものが正直言って好きではないなのですが、状況が切迫してくれば役立つものは何でも使うしかありません。不安がチャンスというのは、実際にはその通りなのです。追い詰められると価値基準がクリアになって、行動に迷いがなくなります。

具体的にいえば、ネガコメなど歯牙にもかけなくなります。というよりもかける余裕を失うのです。だから仕事がどんどん進みます。同じような理由から、やって直接生産性に結びつかないようなタスクは、無条件で削除できます。だから生産効率が劇的に向上します。

人に何かを言われたりするのを気にしたり、それへの反論を心の中で作るのは、それができる余裕があるからなのです。本当にそんな余裕がなくなると、一瞥して却下できます。心はそういうことを本来できるものなのです。

そしてそういった心の有能性を記憶に留めておくことは役に立ちます。また幸運にも余裕を取り戻したら、またグジグジと悩むことになるわけですが、それは余裕があるからこそしていることだと気づくことができるからです。

簡単にまとめますと、私は不安になったらまず共鳴できるものにふれ、それ以上に不安になったらそれを一種の機会と見なし、ミニマムな行動を取るということになります。いつも思うのですが「ネガティブではミニマム」というのが自分の中にある古くからのルールです。

▼編集後記:
10月21日 第6回タスクセラピー 来年の目標を達成するためのタスク管理術(東京都)

今回で一応、今年のタスクセラピーは最終回となります。もちろんご要望次第で来年以後も続けていきたいと思いますが、2012年はこちらで最後です。 今年最後のタスクセラピーは、ちょっと気が早いのですが2013年中に身につけたい習慣などを形成するために、タスク管理術を使う方法についてです。 …

上記で書いてあるとおり、とりあえず2012年の最終回となります。正直に告白しますと、4回くらいで終わりになると思っていましたから今年だけで6回もできるのは驚きです。参加いただいている方やコーチに感謝です。

今年最後にやる「タスクセラピー」ですからやはり「来年の環境整備」をテーマとします。はっきりした目標がある方はもちろん、目指すほどの目標はないが「もう少し何とかしたいところを少し時間をかけてでも何とかしたい」という方にきていただきたいと思います。

今回から新たにシゴタノ!でもおなじみの海老名久美さんをコーチとしてお迎えします。海老名さんはタスク管理に関係する一連のガジェットにも詳しいのですが、なんといってもyPadやOmnifocusなど、長期的なプロジェクト管理に精通されています。

アナログもよく使われていますので、今までタスクセラピーが「ちょっとデジタルガジェットより過ぎる」と感じていらした方には、新鮮な内容をご提供できると思います。

色々書きましたが、私としてはタスク管理やライフハックにまつわる様々なご不満をお聞かせ願えるだけでもありがたいです。ぜひ様々な方とお話ししたいと思いますので、たくさんの方のご参加をお待ちしております。


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