仕事を楽しくする時間術の4ステップ

カテゴリー: 書評

4月25日(金)に行われた以下のセミナーのまとめです(自分で何を話したかの備忘も兼ねて)。

» 仕事を楽しくする時間術

今回のセミナーにおける「仕事を楽しくする時間術」は次の4つのステップからなります。

 1.プランニング(設計)
 2.プログラミング(配分)
 3.オペレーティング(実行)
 4.メンテナンス(保守)

それぞれのステップの目的ととるべき具体的なアクションは次の通り。

1.プランニング(設計)

●目的:現状の時間の使い方を知る
●アクション:最優先すべき課題を明らかにする

具体的には、毎朝仕事を始める前に現在抱えている課題を紙に書き出します。制限時間は5分間。きちんとタイマーで計って、5分たったら途中でもやめます。この時、いっさい何も見ずに書きます。前日に書いた課題リストすら見てはいけません。

まずは1週間だけ(営業日ベース5日間)続けてみて、金曜日に5日分の課題リストを確認します。

毎日のように挙がってくる課題があるかと思えば、初日に出てその後は出てこなくなる課題もあるでしょう。大事なことは、毎日白紙の紙に向かって書いているにもかかわらず、毎日繰り返し書き出される課題がある、という事実に触れることです。

頭ではわかっているつもりでも、毎日紙に同じことが書かれる、ということがわかれば、それを優先せざるを得ないでしょう。

2.プログラミング(配分)

●目的:迷う時間と段取りの時間を減らす
●アクション:時間のレシピと献立を作る

料理を作る際、慣れていない人にとってはレシピ本は有用なツールといえます。書かれている手順どおりに材料を集めて調理を進めれば良いからです。

 「次はどうすれば良いんだろう?」

といった迷う時間を減らすことができます。

仕事においても、ほとんどの作業はレシピ化できるはずです。改めて書くまでもない、と思える作業であっても、繰り返し行われる作業なら一度書いておけば以降は考えたり思い出したりする手間が省けます。

セミナーでは「朝、出社してから仕事開始までレシピ」を皆さんに書いていただきました。さらに、隣同士でレシピ交換をしてもらい、それぞれに優れたところを取り入れ合ってもらいました。

3.オペレーティング(実行)

●目的:実際に仕事に取りかかる
●アクション:滑走路を長くする

「滑走路を長くする」とは、要するに早く取りかかる、ということです。早く取りかかればそれだけ余裕を持って加速できますから、焦らずに済みます。それに加えて、これから説明する3つのポリシーを守る上でも滑走路は長い方が有利です。

(1)ちょっとだけやる

例えば、5分間だけその仕事のことを考えるようにします。2週間後に仕上げるべき企画書があるなら、今日は5分間だけその企画書のことについて、何を盛り込むか、どのように構成するかなどについて思いを巡らします。その際、走り書きや殴り書きでもいいので、考えた痕跡を残しておくと良いでしょう。痕跡があれば翌日の「5分」にスムーズに引き継ぐことができるからです。

(2)適当にやる

どんな仕事でも「今日中に完成させなければならない!」というプレッシャーがあると、その仕事に対して必要以上に萎縮してしまうものです。

これは「5分間だけ考える」にも通じる考え方ですが、「今日は全体の10%程度まで進められればOK」ということであれば、「さっさと終わらせてしまおう!」というやる気もわきやすいのです。

すなわち、白紙の状態からいきなり「完成品」を作ろうとするのではなく、「部品を1つ作ろう」というほどほどの意気込みで臨むわけです。

(3)途中でやめる

仕事には、趣味とは質を異にする独特の魔力があります。それゆえ、1つの仕事を終えるたびに得も言われぬ満足感が沸いてきて、それが次の仕事へと自分を駆り立てる動因になるわけですが、ここに罠があります。

このあたりは文章で伝えるのが困難なのですが、あるタイミングで仕事を無理に終わらせてしまうと、満足より前に消耗してしまって次のチャレンジに移りづらくなるという懸念があるのです。

例えば、筋トレの習慣がなかなか続かない理由は、毎回プルプル来るまで自分を追い込むという過酷なトレーニングを積むところにあると思っています。つまり、プルプル来ることによって、消耗してしまうのです。

それゆえ、次回に筋トレをやろうとしたときに、「あぁ、またプルプル来るまで追い込まないといけないのか…」と、憂鬱になってしまうのです。

ほどほどのところでやめておけば、「まだできるのに、もうやめてしまうのか!」という心残りから、次回も「前回は不本意なところで終わったから」ということで、躍起になることができるでしょう。

もちろん、成果の観点では「毎回プルプル」の方が良いでしょう。でも、長く続けるという観点では「毎回プルプル」ではやり過ぎなのです。

5分でやめたり、適当にやったり、というやり方は、途中でやめていることになりますから、モチベーションを長く保つ上で理に適っているといえます。

4.メンテナンス(保守)

●目的:時間の使い方を振り返り、必要なら軌道修正を行う
●アクション:日々の仕事を自問で振り返る

仕事は、消費的なものと生産的なものに分けられます。前者は即効性があり、「今」をしのげますが、しのいだ後には何も残らない、という特徴があります。後者は即効性はありませんが、その分「未来」に投資をすることになり、後から「次の芽」が出てきます。

簡単にいえば、消費的とは「やっつけ仕事」であり、生産的とは「計画的な仕事」ということになります。

これを踏まえて、日々の仕事の終わりに次のような自問に向き合うようにします。

今日の仕事は「消費」か「生産」か?

 1.今日やった仕事をリストアップする
 2.それぞれに消費(△)、生産(○)、浪費(×)のマークをつける
 3.それぞれのマークの数を数える
 4.もっともストレスのない配分を知る(すべて「○」はあり得ないので)

このワークを続けることで、知らず知らずのうちにストレスフルな仕事のやり方に陥ってしまっていることに気づくことができます。また、仕事がうまく回っている時の状態をマークの配分で指標化することもできます。

例えば、「今日は調子よく仕事ができた」と思えた日が、○が全体の3割、△が6割、×が1割という配分だったのなら、この配分になるように仕事をコントロールすれば良いことになります。

うまく仕事が回らなかった「残念な日」というのは誰にでもあるものですが、それをお酒や現実逃避によってうやむやにするのではなく、「○が少なかったのだ」という指標としてとらえることで、改善の余地を見いだすことができるはずです。

▼出典:

大橋 悦夫
ゴマブックス ( 2008-04-22 )
ISBN: 9784777109500
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堀 E. 正岳, 荒木 早苗, 太田 憲治, 大橋 悦夫
技術評論社 ( 2008-04-18 )
ISBN: 9784774134635
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