「work」とか「LifeHacks」
といった単語(ワード)だったり、
「あとで読む」とか「これはすごい」
などの一定の指向性を持つ語句(フレーズ)だったり、ということが多いと思いますが、シゴタノ!では、
「やる気を出すには?」とか「習慣を変えるコツ」
など、よりフォーカスされた指向性を表すフレーズにしています(意図や目的については以下を参照)。
もはやタグと呼ぶにはいささか重厚なのですが、改めてタグクラウドとして眺めていると、様々な“矢印”が頭の中を飛び交い始めます。
▼シゴタノ!のタグクラウド
自分の思考のクオリア
このタグクラウドが表しているものは、自分の思考のクオリアといえます。
クオリアとは、『3時間で「専門家」になる私の方法』という本の中で次のように紹介されています。
クオリアは、簡単に言えば、人間の経験のうちで、最後まで数値化できない感覚のことです。
ブログにエントリーされる内容というのは、書き手が経験するさまざまな事象を、書き手の関心というフィルターを通して濾過したもの、といえます。一口にフィルターといっても、一個人の関心は多岐にわたりますから、必然的に多面性を帯びることになります。この多面性、すなわち関心のバラエティがタグということになります。
そうなるとタグクラウドは、関心のバラエティを視覚化したものということになるでしょう。自分が追いかけているテーマの濃淡が直感的にわかるわけです。自分の思考という、つかみどころのないのっぺりとした球体に起伏やざらつきを与えてくれている、という感じでしょうか。
自分の思考のクオリアからセレンディピティを得る
そんな思考の球体を撫でているとき、ふとした違和感を覚えることがあります。
「なぜ今までそれに気づかなかったのだろうか?」
と不思議に思えるような、どちらかというと明るい兆しです。そしてこの兆しは求めていたものでありつつも、目指して行き着いたものではないことがほとんどです(同じような体験をお持ちの方は少なくないでしょう)。
こうした、偶然なる幸運にめぐり合うための力をセレンディピティと呼びます。この言葉については、以前シゴタノ!でも何度か取り上げています。初出が以下。
昨日ご紹介した「アハ体験」をもっと知ろうと茂木健一郎氏による『「脳」整理法』を読んでいたら、偶然にもセレンディピティについての記述にぶつかりました。 「セレンディピティ」という造語の元になったのは、『セレンディプの3人の王子』という童話でした。「セレンディプ」は、いまのスリランカを指す造語です。この童話で、3人の王子たちは、旅をする中で、自分たちが求めていたものではないものに出会います。そのような偶然の出会いが、結果として王子たちに幸運をもたらしました。そのような偶然の幸運に出会う能力を、ウォルポール(注:18世紀のイギリスの作家)は「セレンディピティ」と名づけたのです。
王子たちは、いうなれば、「A」というものを探し求めている旅の途中で、全く異なる「B」に出会い、その結果幸福をつかんでしまったわけです。
『3時間で「専門家」になる私の方法』では、はてなブックマークの「タグ」による“セレンディピティ促進効果”が強調されています。
ダイレクトには決して結びつかない検索キーワードとブログのエントリーを、他の人の思考を間に介在させることによって、ピピッと結びつけてしまう。そのピピッと結びつける稲光のようなものが、つまりはこれまでセレンディピティと呼ばれていた「偶然に幸運を見つける能力」を顕在化させたものではないかと思うのです。
クオリアのパーツであるタグが言葉と言葉を結びつけているわけです。
となると、改めてタグ(クラウド)を眺めることは、いったんエントリー(文章)として構築されたものを要素分解して捉え直すことになるのではないか、と思えます。その結果、新たな切り口が見いだされる、すなわちセレンディピティが発揮されるのです。
自分で書いたエントリーにもかかわらず、そして自分でつけたタグにもかかわらず、時間を経ることで記憶があいまいになり、そこに“他人性”が生じ、過去の自分たち同士がシャッフルされ、
「なぜ今までそれに気づかなかったのだろうか?」
という発見がもたらされうるわけです。
愛着のある自分のブログとはいえ、最初からすべて読み返していたのでは時間がいくらあっても足りません。一方、タグによってその“芝目”が立ち上がっていれば、これに沿う形で過去の自分の思考を辿ることができ、場合によっては今の自分の思考と「ピピッと結びつく」ことがあるかもしれません。
今回のエントリーを書いたのも、まさか「クオリア」や「セレンディピティ」のような類の言葉が出てくる本とは知らずに読み始めた『3時間で「専門家」になる私の方法』がきっかけでした。
▼ブログで自分の思考を視覚化する方法
» エントリーごとにフレーズによるタグをつけ、ときどき眺める
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