この本のなかでもよく話題になっているのが「ロケットスタート」の発想です。
いわゆる2:8の法則を仕事術に応用したものですが、プログラマである中島さんの仕事のやり方としては、最初の2割の期間に超集中モードで「ロケットスタート」して、ほぼ完成(8割の出来)まで持っていってしまうという考え方です。
このやりかたを中島さんは「10倍界王拳」と命名されていて、このへんが遊び心です。
私自身、こうしたやり方はいろんな仕事で有効だと思うのですが、同時に必ず意識したいのが「どのくらいの期間」または「どのくらいの時間」なら「ロケットスタート」できるのかという時間的長さを抑えておくべきだと思うのです。
ポモドーロテクニックの25分をダッシュできる?
人によって集中できる時間には個人差が大きいですし、職業によってもその時間はまちまちです。
私の仕事の関係者でも、今書いているような連載を十分でだいたい書いてしまうという方もいれば、1時間はかかるという方もいます。
私などは、集中して「ロケットスタート」できる時間はせいぜい3分くらいです。それ以上は、どういう事をやっても「ありきたりのスピード」に戻ってしまいます。
また、環境によっては頻繁に邪魔が入ります。家で仕事をしていると、ひたすら娘がからんでくるという時期もありました。会社で同僚にしつこく話しかけられる、という人もあるでしょう。
そういう時には私は、ポケットに入る小型のメモをどこにでも持ち歩いて、それに「3分でダッシュしてものを書く」ようにしていた事もあります。娘の相手をしないですむ間に「ロケットスタート」してしまうのです。
どうせ5分を過ぎたあたりから、速度はグッと落ちるので、可能であれば3分以内に「記事の概要」をまとめてしまうのです。つまり「八割方」を仕上げてしまうということです。
一時ポモドーロテクニックを試してみた時期もありましたが、25分間集中と言っても、本当に集中していたのはやはり最初の5分くらいでした。しかしそれでよかったのです。後の時間を使ってその「まとめ」をしていけばい良いと思えたわけです。
こういうことがわかってくると、かなり細切れの時間をつかってそれなりの仕事をする事ができるようになります。「25分」を確保するのは難しくても「3分」であれば容易なので、どんな仕事でもとりあえず「3分ロケットスタート」することで、「概要」を描く事ができます。そこまでは無理でも「なにもしないよりはだいぶマシ」な成果を得る事ができます。
よく大きめのプロジェクトがまったく手がけられないまま放置してしまうとか、論文を書こうと思っているのだが、いつも締め切りギリギリになるとかいう件で苦しんでいる方がいらっしゃいますが、細かなプランはとりあえず考えず、自分がロケットスタートできる時間だけでも、なんでもいいから全力でやってみるというのもやり方です。
3分、4分、5分、10分、12分はそれぞれちがう
私たちは細かな時間でできる事について、決してくわしくありません。少なからぬ人が「十分な時間を確保する」までは大型のプロジェクトに手がつけられないのは、そのせいです。
たとえば私は3分あればどんな仕事でも「ロケットスタート」の役には立てられると思っていますし、
4分あれば、ブログ記事の7割方は書けます。場合によってはそれでアップしてしまうこともあります。
5分あれば、毎日やっている経費精算が確実に終わります。これを毎日やっておくと、3月になって確定申告で騒がずにすみます。ほとんどの場合5分はかかりません。
10分あれば、書籍原稿を少なくとも800字書く事ができます。1日800字ではまったく足りませんが、この時間を3度の食後に取れば、2400字進める事ができるのです。1日2400字を書く事ができれば、40日間で厚手の書籍1冊が書き上がります。毎日書かずとも2ヶ月で書き上がる計算です。
12分あれば最寄りの駅まで歩いて行く事ができ、プレゼンテーションのスライドを5枚は用意できます。スタートダッシュすれば、20枚くらい用意できます。
こういうことを知っておく事で、時間がちょっとでもあれば仕事はけっこう進むと思えるので、仕事のモチベーションを簡単に得る事ができるのです。「スライドの資料を作り上げるには3時間は必要だ」という事になると、ほとんどどんな日であってもやる気になれないでしょう。
トータルでは結局私もそのくらいかけていると思います。でも「ロケットスタート」にはそんな時間をかけるはずがなく、「ロケットスタート」しておく事が非常に大事なのです。
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6月16日 第7回 ライフハック横浜 http://kokucheese.com/event/index/521680/
7回目のライフハック横浜は、最初から居酒屋で始め、そのまま懇親会へと突入します。
ようは、ライフハックマニアが集まって、その手の話題で飲んだり食べたりして楽しみましょう、という会です。
いちおうテーマもありまして、メモ術です。
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