例えば、人脈が広くてよく人を紹介するからといって、「紹介サービス」でお金をもらうのは抵抗がある人も多いです。
また、友達に相談されることが多いからといって、それを「カウンセリング」という商品にしてお金を取るというのも、しっくりこない人が多いのではないでしょうか。
ですので、提供している価値そのものを商品化するのが難しい場合は、別の商品でお金をいただけばいいということです。
目に見えないものを提供している人は、目に見える商品を持ったほうが、買う人にとっては払いやすい場合が多いです。話がとても面白い人の全員が、お笑い芸人を目指す必要はありません。
話が面白い居酒屋の店長、話が面白いエステティシャン、話が面白いパーソナルトレーナーなどでもいいわけです。
(中略)
自分の得意なことで起業しようと考えると、「こんなことがビジネスになるのか?」と悩むケースもあると思いますが、あなたが喜ばれていることと、お金をもらう商品を切り離して見てみると、案外うまくいくことも多いです。
そのハッとしたところから以下のツイートをしたところ、思考がどんどん進みました。
「自分が好きなこと」とか「自分が当たり前のようにできること」で人の役に立つ、すなわち仕事にできるのが最高。だけど、必ずしもそれを仕事にする(キャッシュポイントにする)必要はなく、あくまでも自分を知ってもらうためのものと位置づけてもいい、という話を最近聞いて、本当にそうだなと。
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) 2018年4月16日
※ツイートの続きは本記事の末尾で。
買ってもらうよりもまず知ってもらう
先の引用にもあったように、自分の「好き」や「得意」を商品やサービスとしてお金をもらおうとすることに抵抗を覚える人は一定数います。
僕自身、会社を辞めて一人で仕事をするようになってから今年で18年目に入りましたが、いまだに自分のセミナーや商品を紹介するときに緊張感がともないます。
提供しようとしている商品やサービスは、当然、自分では良いものだという自信はあります。でも、それを人に買ってもらおうとすると急にハードルがあがるのです。
「買ってもらう」という結果が伴わなければ報われないからです。
- 「良いと思うけど、ちょっと高いね」
- 「お金を払うほどの価値はない」
といった反応を想像して、足がすくみます。
このように「買ってもらう」のは大変ですが、それに比べると「知ってもらう」だけであれば難易度が急激に下がります。
自分の「好き」や「得意」について語って聞かせることさえできれば、それで目的達成だからです。
もちろん、誤解や曲解がないように注意を払う必要はありますが、「好き」や「得意」なことであれば、相手に「しつこいな…」「もうわかったよ…」と思われていたとしても、それにはばかることなく、それこそ意図せずしてまくし立てている自分に気づいたりもするでしょう。
ことさらに注意を払おうしなくても勝手に熱が入るわけです。
知ってもらえればボールは相手に移る
「買ってもらう」とは、キャッチボールでいえばこちらが投げたボールを相手に投げ返してもらうこと、と言えます。
「これ、いかがですかー?」というボールを投げて、相手が気に入れば「いいですねー、買いましょー!」という返球がある。
買ってもらえないときというのは、投げたボールが返ってこないということです。
でも、返ってくるタイミングは人によって、場合によって、まちまちでしょう。
- 相手に投げ返す余裕がなかったり
- うまくキャッチできていなかったり
- そもそも届いていなかったり
- 気づかれていなかったり
そうであれば、まずはこちらのボールを確実にキャッチしてもらうこと。
最初はピンと来なかった人でも、さまざまな角度からボールを受け取るうちにピントが合ってきて「もしかして、これは自分に必要なことかも?」と感じ始め、どこかのタイミングで投げ返してくれるようになるかもしれません。
直接投げ返さずとも「自分よりもあの人に役立つことかも?」と思い至れば、その人に“パス”をすることもあるでしょう。
ボールを投げ続けることで、いつか相手から、あるいは思わぬところから返ってくる可能性が生まれるわけです。
誰しも「好き」なことにお金を使いたい
「買う」側の立場で考えてみると、誰しもせっかくお金を使うなら「好き」を満たすことに使いたいはずです。
「好き」の出発点は「知る」です。
ますますもって「知ってもらう」ことが欠かせないことが分かります。
まとめ
「好き」や「得意」を仕事にするときに知っておいたほうがいいこととは、とにかく知ってもらうためにボールを投げ続けること。
▼冒頭のツイートの続き
買ってもらうための努力より知ってもらうための努力のほうが相対的に「好き」の純度を高められるうえに、より多くの人に関心を持ってもらえる。買ってもらうための努力は買ってもらって初めて報われるが、知ってもらうための努力は報じた途端に報われる。
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) 2018年4月16日
立場を入れ替えると、買って欲しい人はまず知って欲しいと願っているから、こちらが興味と関心を示せばそれだけで喜んでもらえるうえに大事にしてもらえる。自分が買ってもらう立場になれば買ってもらいやすくなる。
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) 2018年4月16日
すでに買ってもらっているなら、ますます大事にしてもらえる。継続契約ならずっと続けてもらえるし、単発購入ならリピートしてもらえる。これって要するに「好き」ってことで、「好き」を提供することで「好き」が返ってきて、ぐるぐる回り続ける仕組み。
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) 2018年4月16日
誰しも「好き」なことにお金を使いたいもの、だとすると、もはや買ってもらう努力は要らないのかも。その意味では「名前だけでも覚えて帰ってくださーい!」という一言は実に深い。「好き」のトライアルだから。
— しごたの/大橋 悦夫 (@shigotano) 2018年4月16日
参考文献
『起業1年目のお金の教科書』には今回ご紹介したような、「とらえ方や考え方を少し変えるだけで、世界の見え方がガラッと変わる」ような提案であふれています。
読む前は「教科書」というタイトルから「これをすればいい」「これはしてはいけない」というルールが学べる本だと思っていたのですが、むしろそうしたルールに囚われて動けなくなってしまっている人(僕自身を含め)にとって目の覚めるような内容でした。
特に、お金に対する認識がガラッと変わりますので、読み終わるのを待たずして、どんどん世界の認識が変化していき、それにともなって行動も変わってくるのが実感できます。
「好き」や「得意」を仕事にしてみたい、という方はぜひ読んでみてください。