一度書いたことを消したくなるのはなぜでしょうか?
おそらく「こんなことを思い浮かべる自分はダメだ」となかったことにしたいからでしょう。
でも、その先に実は本当に求めていることがあり、その「こんなこと」を伝ってしかそこにたどり着けないとしたら、開きかけた突破口を自ら閉じてしまうようなものです。
後から辿れるようにしておく
冒頭に書いた「とある本」とは『「絶対に達成する」習慣 勝てる自分をつくる7つの方法』という本です。
「一度書いたことは消してはいけない」の箇所は以下のように書かれていました。
一度元帳に書きつけたことは消してはいけません。
何か事情があって考えが変わったときは、きれいに削除してしまうのではなく、二本線を引くなどして、何がそこに書かれていたのかわかるような形にしておいてください。
元帳は自分の頭の中を整理するためのものですから、なるべく簡潔な言葉で書くことが必要です。そのためにも決まったフォームをあらかじめ作っておき、そこに記入する形をとるとよいでしょう。
※「理念」を作るための書き出し先を本書では「元帳」と呼んでいます。
↓これは、以下の記事でも書いた、「ジャーナル」の仕組みそのものと言えます。
» なぜ分単位で行動記録を残すのか? ずっと取り続ける必要があるのか? 意味はあるのか?
ある時点におけるデータベースの状態は、直前に行われたデータの追加・修正・削除(=トランザクション処理)の結果です。データベースに対してどんなトランザクション処理が行われたのかを逐一記録しているのがジャーナルファイル(以降ジャーナル)です。
例えば、データベースに格納されている、ある商品の在庫数の値が実際の在庫数と一致していないことに気づいたとします。
もし、結果だけしか残っていなければ「どうしてこうなった?」という疑問が生じたときに何もできなくなります。
ジャーナルが残っていれば、これを時系列に辿っていくことで、いつの時点で値がおかしくなったのかを突き止めることができます。
つまり、最終結果だけでなく、そこに至る過程も記録に残しておくことで、なぜその結果に至ったのかを後から辿ることができます。
数学で言えば、答えだけでなく、その答えに至る過程でどのような計算を行ったのかを残しておくようなものです。
もし、途中の計算が間違っていれば、どこで間違えたのか、なぜ間違えたのか、といった原因を特定することができ次回以降に同じ間違いを繰り返さないように対策を立てることができます。
「理念」という自分なりの“答え”を導き出すうえでも、その“計算過程”である「元帳」に書いた内容は、後から理念を見直そうと考えたときに、きっと役に立つでしょう。