以下の4項目です。
- 1.すべきことを目標にしている
- 2.目標を達成するモチベーションがない
- 3.具体的なステップがない
- 4.期限がない
これらは、目標達成を阻むアンチパターン(やってはいけない悪手)と言えます。これらを僕なりに整理したうえで、目標達成チェックリストをまとめてみます。
目標達成に失敗する4つのアンチパターン
1.すべきことを目標にしている
「英語を話せるようになるべき」、「体重を減らすべき」、「朝型生活に切り替えるべき」など、確かに望んではいるものの、そうすることで自分よりも人からの評価が上がることを目標に据えると、辛くなります。
いわゆる「認められるためにがんばる」というものです。
もちろん、短期的にはそれで成果は出るかもしれませんが、長くはもちません。
僕自身、会社員時代がまさにそうでした。
新卒で入社した300人弱の中小IT企業。「よし、この会社でがんばろう」という気持ちで仕事に打ち込んでいました。
がんばり方には大きく分けて2つのタイプがありました。
- 技術力を磨いて、スピードとクオリティで会社(事業)に貢献する
- 会社への忠誠心を重んじ、個人より会社(組織)の都合を優先する
もちろん、両立できれば最高ですが、周囲を見回すにつけ、「技術寄り」のクールな人たちと「会社寄り」の愛社マインドあふれる人たちとに二分されているようでした。
どちらが「良い・悪い」という話ではなく、人は組織に身を置くと自然とどちらかに寄っていくものなのだと思います。
僕自身、入社当初は「会社寄り」の人間でした。会社の利益になることは労をいとわずすすんで行い、会社の不利益になることは一切やらないようにしていました。
例えば、業務中には業務に集中すべきであり、業務に直接関係の無いことは徹底して排除。周囲にもそのように働きかけていたので、一部の同僚や先輩社員からは煙たがられるようになりました(挨拶をしても無視されたり)。
なぜそこまで過熱していたのかというと、当時の僕は仕事(システム開発)ができなかったからです。
がんばっているのに仕事が終わらず、早くても21時、遅いと23時過ぎまで残業の日々。もっと早く仕事が終われば会社は残業代を負担しなくても済むのに、という気持ちがありました。
残業をしていても、仕事が進まなかった日は定時で帰ったことにしたこともありました(タイムカードがなく、毎日の出退勤時刻は自己申告だったのです)。
いま思い返すと、実に「痛い」日々でしたが、当時はとにかく技術力の無さを忠誠心でカバーするしかなかったのです。
「仕事」で認めてもらえない以上、「姿勢」で認めてもらうしかない、と。
ただ、この姿勢が評価されたのか(定かではありませんが)、入社2年目の秋に突然それは起こりました。
社長肝煎りの新規事業プロジェクトがスタートし、社のナンバー2である部長とともにこのプロジェクトに抜擢されたのです。
メンバーは、社長、部長、そして僕の3人です。
役割としては、部長の秘書的な位置づけで、ドキュメント作成やスケジュール調整など、システム開発に直接関わらない仕事でした。
技術力よりも会社として安心して任せられる、要するに「まじめ」な人間かどうかが重視されたようです(若い方が人件費が安いと言うこともあったでしょう)。
このプロジェクトは1年半ほど続きましたが、このときの僕はまさに「認められるためにがんばる」だったのです。それまで雲の上のような存在だった部長や社長と仕事をともにできたことは誇らしかったですし、仕事も充実していました。
プロジェクト終了後、通常の開発の現場に復帰しましたが、夢から現実に引き戻されたような、やや混乱した気持ちになったことを今でも覚えています。
どちらかというと、会社への忠誠心よりも技術力をたのむメンバーが多かったからです。
そんな入社4年目の春、気づけば僕自身も「技術寄り」に転向していました。
その後は多忙な開発プロジェクトを転戦し、深夜残業はもちろん、徹夜作業も何度か経験し、その過程で「忠誠心」ではなく「技術」で身を守る術を身につけていきました。
朝起きてシャワーを浴びて着替えたらもう出発時間。朝食もそこそこに8時過ぎに会社に着き、そのまま早ければ24時、遅いと27時(3時)過ぎまで仕事が続きます。
幸い、会社まで徒歩10分だったので、終電を気にせずに仕事に打ち込むことができ(!)、睡眠時間も同僚たちに比べれば確保できているほうでした。
このときの僕を支えていたのは、「技術を高め続けていればとにかく生き残れる」という(自分で言うのも難ですが)悲壮な心理でした。
でも、ここでたっぷりと時間をかけて「技術」を磨くことができたのは幸いでした。
4年目の冬に不意に会社を辞めることになったときも、それがその後の「飯の種」になったからです。
会社を辞めて初めて「やりたいことを目標にしていいんだ!」という“発見”に至り、驚きもしました。
2.目標を達成するモチベーションがない
「やりたいこと」が目標になっていれば、おのずと達成するモチベーションは自動的に組み込まれるでしょう。
とはいえ「やりたい」と思ったことが実現しても、期待していたほどうれしくないものです。
このことは、最近読んだ『リストラなしの「年輪経営」』という本で以下のように書かれていて、「本当にそうだな」と共感したところです(まだまだこのレベルには遠く及びませんが…)。
人が幸せになる一番の方法は、大きな会社をつくることではありません。
お金を儲けることでもありません。それは、人から感謝されることです。
人のために何かして喜ばれると、すごく幸せな気分になるでしょう。そのことを仏教では「利他」と言います。幸せになりたかったら人に感謝されることをしなさい、ということです。
私は半世紀以上に亘って会社を経営してきましたが、人のためになることをして損をしたことは一つもありません。むしろ、もっと大きくなって自分のところに返ってきます。これは経験から、確信をもって言えることです。
目標を達成するモチベーションは、「人から感謝される」という期待がベースにあるわけです。
『ユダヤ人大富豪の教え』には、
- その目標が達成できると、どんな楽しいことがあるかを考える
- それを考えただけでワクワクするような目標でなければうまくいかない
と書かれているばかりでしたが、上記の「人から感謝される」という視点を加えることで、目標達成のイメージがくっきりと浮かび上がります。
自分のやりたいことを目標に設定し、それを達成することで人から感謝されるとき、人は目標達成に対するモチベーションを得る、ということです。
3.具体的なステップがない
ここからはタスク管理の世界ですね。
何をすれば次に進めるのかが明らかになっていなければ前に進むことができません。
とはいえ、必ずしも全工程にわたってのルートがクリアになっていなくても、当面のゴールが明確であれば、まずはスタートできます。
↓その意味ではやはり「見通しをはっきりさせる」ことが第一です。
やる気を出すために脳をだますとか、自分にご褒美を与えるといった提案がよくなされている。たしかに効果がなくはないだろう。しかしやる気を出すためにもっとも必要なのは、見通しをハッキリさせることにある。それがよい見通しであっても悪い見通しであってもだ。
悪い見通しの典型例が差し迫る〆切である。〆切が差し迫ったとき、人はやる気が出る。なぜなら、やらずにいるとまずいことになるということが、ハッキリするからだ。ハッキリわかると、やる気が出る。
4.期限がない
上記の引用にもありましたが、見通しをクリアにしたうえで、具体的な期限を設定し、さらに期限が差し迫ると、人はやる気を出して動き出します。
重要なことは「がんばれば何とか間に合わせられそうな、ほどよい負荷をともなう期限」であることです。
余裕がありすぎれば油断して時間を浪費してしまうでしょうし、余裕がなさすぎれば早々に諦めて、やはり時間を浪費することになるでしょう。
↓このあたりについて詳しくは以下の記事で。
» 締め切りギリギリになるまで仕事に手を着けられないループから抜け出すにはどうすればいいか?
締め切りギリギリになるまで仕事に手を着けられず、「さすがにもうこれ以上はマズい…」という臨界点に到達すると、不思議なことに自分でも信じられないくらいの集中力が発揮され、これに呼応するように奇跡の巡り合わせが連鎖し、同時にそれなりに多大な犠牲を払って何とか締め切りまでにやりおおせる。
このような「仕事術」は、しかし、必ずどこかで破たんします。この悪しきループから抜け出すにはどうすればいいか?
まとめ「目標達成チェックリスト」
というわけで、以上の4つのアンチパターンをそれぞれ裏返せば良いでしょう。
目標達成チェックリスト・4項目
- 1.その目標は心から達成したいこと?
- 2.その目標を達成することで、どんな人から感謝されるかが明確になっているか?
└誰からも感謝されなさそうなら目標を再設定 - 3.まず何をすればいいかを決めているか?
- 4.現実的な期限を設定しているか?