なぜ要注意かと言うと、その言葉を使うことによって以降の思考が停止してしまうからです。言うなれば思考停止語です。
以下が思考停止語の例です。
- 「難しい」
- 「すごいねー」
- 「参考になります」
- 「やはり」
いずれも発した側の思考停止を代弁します。思わず口をついて出てしまう言葉ですが、その言葉を発した瞬間、相手の心の中で反射的にツッコミの衝動がフラッシュします。
- 「難しい」「じゃぁ、どうすればいいの?」
- 「すごいねー」「どこが?」
- 「参考になります」「どんな風に?」
- 「やはり」「文脈が見えないんですけど?」
思考停止語を使っていると、文字通り考えることが停止します。停止と言っても、実態は先送りされることになります。「後で考えることにして今は先に進もう」というモードです。
もちろん、これは言い訳であって、実際には停止することに対しては心理的な抵抗があるため、無意識に「先に送ったことにする」のだと思います。
ソーシャルブックマークなどで「後で読む」というタグが付けられるのはこの心理が作用しているのだと思います。本当に「後で読む」ようにするには、そのための仕組みが必要です。
もちろん、仕組みがあってもそれが起動しないことには始まりませんので、そのためのイグニションキーの役割を果たすものとして、以下のやり方が考えられます。
「思考停止語」を「行動促進語」に変換する
文字通り、そのままでは動かない、すなわち行動を促すことにならない思考停止語を、行動に駆り立てるための行動促進語とでも言うべき別の言葉に置き換えます。
例えば、上記に挙げた一連の思考停止語は以下のような行動促進語に置き換えることができます。
- 「難しい」 → 「○○の問題を先に解決させないと手がつけられない」
- 「すごいねー」 → 「それはやったことがありませんでした」
- 「参考になります」 → 「それを取り入れるとこういう風に役に立ちそうです」
- 「やはり」 → 「ずっと○○だと思っていましたが、思った通りです」
行動促進語は、「語」というよりは「文」であることがわかります。人をして行動せしめるものは単語ではなく文なのかも知れません。そして、思考停止とは行動すること、あるいは新たに何かを考えることを煩わしく思って、自ら気持ちを抑え込んでしまう状態のことを指すものと考えられます。
このあたりは「スカッ!と検索するコツ」にも通じるところです。
僕自身も、タグは誰かがつけたタグよりも自分で考えたオリジナルタグのほうが良い、と考えています。一般的な言葉よりも自分の状況に即した言葉の方が後から引き出すときにピンとくる度合いが高くなるであろうからです。
例えば、単に「請求書」だけよりも「請求書作成」の方がより行動促進語的ですし、さらに「請求書を作る」にするとよりビジュアルになります。もっと追い込むなら「先月の請求書を複製して、先月と異なる部分だけ書き換える」というところまで行くと、もうあとは「やるだけ」ということになります。
このように、思考停止語を行動促進語に変換することの実態は、「ちょっと下色をつける」行為と言えます。
タスクリストを作った時に、リストの項目1つ1つが行動促進語になっているかどうかを見れば、それが本当にその日中に終えられるのか、それともまっさらな“ウィッシュリスト”に過ぎないのかがわかるはずです。