『知的生産の技術』をKJってみた

カテゴリー: R25世代の知的生産

KJ
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この連載のタイトルのもとになっている『知的生産の技術』という本があります。

初版は1969年ですが、今でも十分に読み応えのある一冊です。ただ、やはり時代が流れると、ツールや個人を取り巻く環境も変わってきます。

では、現代版『知的生産の技術』を考えるとどうなるのだろうか、と思い立ち、以下のようにノートに章立てを書き出してみました。



しかし、腕を組んでうんうん唸りながらノートを眺めてみても、いっこうに考えは進みません。

そういう時にはKJ法です。


KJ法 ~簡易アナログスタイル~

KJ法については以前の連載でご紹介しましたので、そちらを参照ください。
※記事下部の関連エントリーにまとめてあります。

今回は簡易形式&アナログスタイルでやってみます。

まず、それぞれの章のタイトルを付箋に書き写します。一章につき一枚です。それを大きめの紙(今回はA4のコピー用紙)に貼り付けて準備完了。



後は、思うままに付箋をくっつけたり、離したりしていくだけです。そしてグループを作ったら、そこに名前を与えます。いくつか例を紹介しましょう。



まずぱっと出来上がった形。「メモの技法」「整理」「input」「output」の4つに分類しました。基本的な形ですね。

ちなみに、これはA4用紙をクリアファイルに入れ、そこにホワイトボードマーカーで直接書き込んでいます。アナログでもこういうスタイルを取れば簡単に「やり直し」ができます。

欧文印刷株式会社さんから発売されているNUboardを使うのも一手です。

一つできたので、違ったバージョンを。



「ツール」「行為」「その他」でグルーピングしました。わりに大ざっぱな感じがします。

さらに違ったバージョンを。



見出しの言葉遣いに注目してみました。「と」による要素の並列、「~から~へ」による要素の変化、たった一つだけの「発見の手帳」、その他大勢の漢字二字の熟語。こういった分類です。

あまり意味があるようには思えませんが、一つの視点ではあります。

こういう組み替えをいろいろ試してみて、とりあえず一つの終着駅になったのが次のバージョン。



この4つの要素に分類すると(個人的に)しっくりきそうです。中身的にはツール&技法の話、それに過去から現代への変化、という点を押さえればよいでしょうか。

あと「情報収集」に「読書」しか存在していないのが気にかかります。現代ではウェブやソーシャルメディアを含めた情報収集の方法論を提示する必要があるでしょう。

という具合に、考えが一段階前に進みました。

さいごに

こうしたグルーピングに「正解」はありませんので、今回示したバージョンもあくまで一つの例にすぎません。他にもいろいろな組み合わせがあって、そこから新しい情報を生み出すことができるでしょう。

ただ、一つ言えることがあるとすれば、情報を操作するためには、それを操作できる形に変換しなければならない、ということです。ノートに書かれた内容を見ているだけでは、考えが前に進むことはなかなかありません。

今回も初めから「こういうグルーピングにしよう」と考えていたわけではなく、付箋と戯れているうちに、「そういえば、こういうのもありかも」と思いついただけにすぎません。

「何かアイデア浮かばないかな~」と考えているのならば、付箋なりアウトラインプロセッサなりマインドマップツールなりを手にとり、実際に書き出してみて、いろいろ動かしてみるのが一番かと思います。

▼参考文献:

十分に一読の価値のある本です。

» 知的生産の技術 (岩波新書)


記事内で紹介したノート型ホワイトボードです。透明のカバーが付いているので、今回のような使い方にもフィットします。


▼今週の一冊:

日本でのKindleストアが登場して、さらに注目が集まっているAmazon。そしてそれを率いるCEOのジェフ・ベゾス。その歴史をぎゅぎゅっと濃縮して紹介した一冊。

単にAmazon礼賛本というのでもなく、かといって批判ばかりで埋め尽くされているわけでもない。非常にバランスの良い視点で書かれています。ネットの中でなぜAmazonがこれほど成功したのかを知ることは、逆の視点からみて、現代においてリアル書店がどうすれば生き残れるのか、を考えるのにも役立つかと思います。

» ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛


▼編集後記:




たぶん、Blog界隈ではiPad miniネタでフィーバーしているでしょうが、原稿作業最優先の私としてはとりあえずスルーです。それよりも、電子書籍周りについても粛々と動いていかないと・・・。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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