デスクトップパソコンでの音声認識入力にも興味を持つ人が増えたのか、「実際のところ、音声認識入力ってどのくらい役に立つの?」と聞かれることがよくあります。
私が、AmiVoice ESバージョンの頃から、執筆や翻訳の仕事でAmiVoiceを使っているからでしょう(現在はAmiVoice SP)。
音声入力に慣れると、ブラインドタッチができる場合でも、音声で入力した方が速い場合があります。
声に出した瞬間、頭の中で考えていることが、ほぼ時差なく文字に変換されるからでしょう。
頭の中でこれから書こうとしていることを考えている瞬間と、実際に入力している瞬間とは微妙にずれています。
タイピングしながら、タイプミスや漢字変換に気を取られている間に、一瞬前に考えたことを忘れてしまった、という経験はないでしょうか。
私はしょっちゅうあります!
たった今思いついた良い表現が、どんなに考えても思い出せないのです。
その思いつきを逃さないようにするための道具が、AmiVoice SPなのです。
音声入力に向いている作業
私が最もAmiVoice SPを使うのは、翻訳の仕事をしている時です。
初めて英文を読んだときに感じた「ノリ」を、そのまま下訳(翻訳前にザッと訳すこと)に残しておくと、きちんとした体裁の文章に直すときに、「最初の感覚」を思い出すことができ、生き生きとした日本語にすることができます(これは気軽な会話文を訳す場合で、翻訳の仕事すべてに当てはまるわけではありません)。
また、
- 何度も同じ文章を入力するとき
- 紙に印刷された文章を入力するとき
にも、AmiVoice SPは重宝します。
逆に、じっくり考えながら、書いたり直したりを繰り返すような仕事に、音声入力はあまり向いていません。
ただ、音声入力とタイピング入力をうまく組み合わせて使うことで、入力時間が短縮されることは確かです。
音声入力に向いている人
AmiVoice SPは、ソフトウェアのインストール直後からすぐに使い始めることができます。
昔の音声認識ソフトのように、最初に大量の文章を読み上げて、自分の声の特徴をソフトウェアに学習させる必要はありません。
その分取っつきやすく、時間短縮の効果をすぐに感じられるでしょう。
ただ、より音声入力に向いているのは、次のような人だと考えます。
- 滑舌が良い
- 長時間しゃべっても疲れない
- 話すことが恥ずかしくない
» 滑舌が良い
滑舌が良いほど、音声の認識変換が正確になり、修正する手間も省けます。
滑舌が良くて損をすることはありませんから、これをきっかけに、練習するのもいいかもしれません。
» 長時間しゃべっても疲れない
音声入力をメインの入力手段として使う場合、1時間や2時間はあっという間に経ってしまいます。この間、滑舌良く話し続けるのは、タイピングするより疲れる可能性があります。タイピング入力と音声入力を適度に取り入れると良いでしょう。
» 話すことが恥ずかしくない
普段から、自分の考えを声に出す習慣がないと、慣れないうちはパソコンに向かって話すこと自体が恥ずかしいかもしれません。Skypeなら相手がいますが、音声入力の場合は相手がいないので。慣れてしまえば、どうってことはありません。
AmiVoice SPを使ってみたいけれど、いきなり高価なソフトを買うのはちょっと・・・という場合で、iPhoneをお持ちであれば、「音声認識メールST」を使ってみることをお勧めします。
次回は、AmiVoiceと一緒に使っている道具についてご紹介します。
▼海老名久美:
フィーリング重視のガジェッターでライターで翻訳者。「シゴトに美味しいスパイスを」中の人。