どんな人にもそんな悩ましい仕事が一つや二つはあるでしょう。
「居座り案件」あるいは「常連タスク」などと呼ばれますが、こういった仕事があると、それだけで気が滅入ってしまいます。
さっさと片付けてスッキリしてしまいたいのに、
- さっさと片付けるには手に余る
- どこから手を付けて良いのか見当がつかない
- ものすごく時間がかかりそうなので「ちょっと待って欲しい」
- 今からやっても高い評価は期待できそうにない
などなど(ほかにもいくらでも書けそうです!)、取りかかれない理由、否、取りかかれなくても仕方がないと誰もが認めるであろう理由を並べ立てて、涼しい顔を決め込むのです。
当然ですが、これで済むはずがありません。というより、事態はますます悪化します。
ではどうするか?
手強い仕事にすぐに取りかかれるようになる、魔法の質問
以下のエントリーでも書いた通り、
人は、質問をされれば自然と答えを探し始めます。「考える」ことの実態は記憶をたどることであり、その先にアウトプットがあります。
というわけで、質問を用意しておき、作業に取りかかる前の日課として自分に問いかけるようにします。
その質問とは、
- そのタスクは、今すぐ着手可能か?
です。
機械的にチェックをかけていく
たとえば、以下のようなタスクリストがあった場合、一つひとつについて「今すぐ着手可能か?」というチェックをかけていきます。
- メールチェック
- プレゼン資料作成
- 社内セミナー
- A社案件を何とかする
- プリンタ修理
- オペレーションマニュアルの見直し
おそらく以下のような結果になるでしょう。
- メールチェック → 着手可能!
- プレゼン資料作成 → 着手不能…
- 社内セミナー → 着手不能…
- A社案件を何とかする → 着手不能…
- プリンタ修理 → 着手不能…
- オペレーションマニュアルの見直し → 着手不能…
ほとんどが着手不能です。まず初めに何をすべきかが明らかになっていないからです。
もちろん、わざわざ具体的に書かなくても何をどうすればいいかが自明なタスクについては、着手が可能です。
上記の例でいえば「メールチェック」がそれです。メールソフトを起動して、送受信ボタンを押す、という手順をわざわざタスクリストに書く必要はないでしょう。
でも、着手不能のタスクについては、こういった手順を考え、わざわざタスクリストに書く必要があるのです。
焦っている時ほど、いきなり手がつけられない最終結果にショートカットしたくなります。
でも、いったんクラッチを切らないとギアをシフトさせることができないクルマと同様に、人も、ニュートラルな状態で適切なギアに切り替える、すなわちいったん立ち止まって次にすべきことを具体的に書き出す必要があるわけです。
たとえば、「オペレーションマニュアルの見直し」という仕事であれば、以下のようになります。
●オペレーションマニュアルの見直し
└現状マニュアルに目を通し問題点をリストアップする
└リストアップした問題点をA~Cの3段階で優先順位付けする
└優先順位Aの問題について改善方法を100字で書き出す
もし、このような書き出し作業をしている時間が惜しい、というのなら、この仕事から目をそらして「気分転換」をしている時間を割り当てればよいでしょう。
仕事が滞っているなら、すでにそのようにして失われている時間があるはずだからです。
合わせて読みたい:
この本の7章だけがなぜか異彩を放っています。
この「仕事を記録しよう」という章では今回ご紹介した方法を実践するうえで欠かせない「正しい時間の見積もり」を行うための考え方と方法が解説されています。
「今すぐ着手可能か?」という質問に自信を持って「Yes」と答えるためには、「正しい時間の見積もり」が不可欠なのです。
これを、正しい時間の見積もりに変えてみましょう。たとえば「原稿に15分。書類整理に80分」とします。そうすると、「まず原稿を書き、次に書類整理は2つのフェーズに分け、それを午前と、午後の最初にやる」というように、正しい計画を立てることが可能になります。
こうすれば両方とも完璧に終わるうえ、とてつもない疲労に襲われたりすることも、変な自責の念に駆られることもなくなるのです。
私たちが時間の見積もりに失敗するのは、そもそも時間感覚があてにならないということと、「○×にはこれくらいの時間をかけるべき」という「べき論」に振り回されているせいもあります。「原稿執筆には、書類整理よりも時間をかけるべき」というような発想です。(p.180)