これまで比較的抽象的な話を多くしてきたつもりですが、このテーマは具体的です。ブログを書く目的の1つとして、友達ができることは確実に数え上げられます。
ブログで物書きになるとか、生計を立てるとか、セミナー講師になるといったことは、必ずしもブログを書く目的にはできません。書けば絶対に実現するかどうか、何とも言えないからです。
しかし友達はできます。これはたぶん再現性が極めて高いことの1つです。私にも、ブログを書いたためにできた友達というのが、何人かいます。これらの友達はたぶん、ブログを書くことでしかできなかったでしょう。本を書いていても駄目だったと思います。
もちろん学生時代の友達は大学へ行ったからできたのですし、近所の友達はここに住んでいたからできたのです。友人になるというのはつまり、どのケースであっても、私の特定の行動ゆえにできたことではあります。
それらにブログが加わっただけですが、ブログというオプションは極めて重要です。なにより距離というものが関係なくなるので、「そこに居なければ友達になれていない」というこれまで常にあった問題が消滅します。
もう一歩大事なこととして、ブログでの出会いというのは、いきなり共感できる価値から共有できるということがあります。これは似たようなツールであるのにTwitterでは難しく、Facebookではまずムリで、本でも決してできないし、「近所に住んでいる」だけでも駄目なところです。
ブログでつながる人間関係というのは、これまでの世界からすると、不自然きわまりないものです。私の名前を正確に知らず、顔はもちろん知らず、どこに住んでいるか、どんな家族構成なのかもまったく知らないのに、価値観やものの感じ方だけは妙に詳しく知っている。そういう関係なのです。
慣習上の不自然さはありますが、大きなメリットもあります。価値観やものの感じ方の共有から入る人間関係は、動物同士が親密な関係を結ぶいくつかの面でぎこちなさが残りますが、話をしたり仕事を進めるとなれば、極めてスムーズでスピーディです。
熱心にブログを更新する人が知っているのは、この価値です。価値観の共有が先にある人間同士が仕事をする場合、地域性や人脈の共有によって仕事をするよりも、比較的好きな仕事を好きなようにできます。少なくとも私の見たところ、ブログをやることで得た仕事に従事している人たちの様子は楽しそうです。
今後広く共有されるとよい知識としては、ブログをそうやって活用する方法でしょう。これはまだほとんど知られていません。今のところブロガーは既存の仕事にありつくので精一杯といった趣があります。ですがその気になれば、この事態は徐々に改善されていくはずです。