BT017:グッと来たことだけを書く

カテゴリー: 届ける技術
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ブログは書き手の「いいな」の表現手段です。

あれこれ書きすぎると、せっかくの「いいな」がぼやけ始めて、「(文句なしの)いいね!」がもらえず「(本当に)いいの?」になってしまうのです。

例えば、以下は@goryugoこと五藤隆介さんのエントリーですが、iPhoneのあるゲームについて書かれています。

グルーヴコースターの面白さが半端なさ過ぎて過去最高に面白すぎる

このゲーム凄すぎる。面白すぎる。ちょっとヤバい。セール価格85円とかあり得ない。普通の値段250円でも、十分すぎるほど恐ろしくヤバい。

一言で言うなら「音ゲー」ただそれだけ。しかも、操作はとんでもなくシンプル。指一本使うだけ。

ただそれだけなのに、なにもかも「キモチイイ」に最適化されてて、めちゃめちゃ面白い。

冒頭のこの3パラグラフだけでもう十分に言い切っている感じがします。以降はなぜ「ヤバい」のか、どこがどう「面白い」のかについて、実例をまじえて詳しく解説しています。

これは「すべらない話」における「セットアップ」に近い手法といえます。

» 「すべらない話」の作り方・話し方の5つのコツ

 「めっちゃ、驚いた話なんですけど…」
 「そこまで気を使わんでエエよって思った話なんですけど…」

 よく木村祐一さんやほっしゃんさんが、こんな出だしで話しはじめるのを聞いたことがないでしょうか。出だしでは、オチの出来事の感情だけを切り取って、「○○な話」と先に話してしまうのがポイントです

 え!そんなことしたら、オチも見えてしまうし、ハードルがあがるんじゃ…?
 いいえ。そうではありません。
 ハリウッド式の脚本の技術を学ぶとき、はじめに叩きこまれるのが、この「セットアップ」という技法です。聞き手に「これは何の話か?」としっかりほのめかすことで、期待と予測を正しい方向に案内するのです


一方、ゲームのやり方や画面の説明については簡単にしか触れられていません。

でも、僕はこのゲームをうっかりダウンロードしてしまいました。

ゲームのやり方や画面の説明は、五藤さんが書かなくても、誰か他の人でも書けるでしょう。そもそもゲームのダウンロードページに書かれているはずです。調べればわかることです。

大切なのは「もっと詳しく知りたい!」と思わせるに足る、自分にしか出せない材料を盛り込むことです。

「自分にしか出せない」というと、また難しく考えられてしまうかもしれませんが、要するに思ったままのことをありのままに書けばいい、ということです。

それは「凄すぎる」「面白すぎる」「ちょっとヤバい」「85円とかあり得ない」「キモチイイ」「めっちゃ、驚いた」「そこまで気を使わんでエエよ」が指し示す体験の中身です。

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