私はそういう人に気心が知れていれば、
「あなたには自信がありすぎるんですよ」
と答えることがあります。
もちろん言われた方はたいてい「へ?」というように思われるのでしょうが、私はこれはだいたいのところ当たっているはずだと思います。
自分に自信があると、多く語る必要を感じにくくなるということです。
たとえば、
「あのレストランって、いいよね」
と言いたくなるくらいのことは、誰にでもあるでしょう。これがブログを書く発端になりますが、これ以上書くことがない。すると「文章力がない」と感じることになるわけです。
でも私はもっと書けます。文章力があるからではなく、自信がないからです。自分に自信がないので「あのレストランは、いい」ですませることができないのです。
- あのレストランはいい・・・と私は思う。というのも場所が恵比寿から近くて・・・
- いや待て。恵比寿から近いレストランなど他にもある。たしかに他にもあるが他のところは・・・
- そもそも味はどうなのか? 自分は味がいいとあのときは思ったが、あの程度のところがいいとは舌がどうかしているといわれるかもしれない。私の舌がどうもしていないことについても一言書いておかないと・・・
- そもそもあのとき自分は空腹だったかもしれない。だからおいしくもないものをおいしいと感じてしまったのかも。空腹だったときにいった他のレストランについて、そういえば・・・
つまり何か一言述べてしまうと、それに対して次々に非難される不安が胸をよぎるのです。その非難をかわせるだけの「言い訳」を頭の中でどんどん用意していかなければなりません。それが私の「文章力の源泉」というわけです。
そういえば、『あしたのジョー』の中で白木葉子さんが、
「男のおしゃべりなんて最低よ?」
と言っていました。最低と人に言われることこそが、自分の力になるということなどよくあります。これもいいわけがましいでしょう?