仕事が速い人はタイムマネジメントが上手い/今日からできる仕事術・第2回

By: flikCC BY 2.0


仕事術で最も大切なのが、タイムマネジメントです。時間を制するものが仕事を制するといっても過言ではありません。今回はタイムマネジメントについて考えてみましょう。

1.やるべき仕事を朝一番で書き出すTo Doリスト

1年の計は元旦にあり、1日の計は朝一番にありです。

朝一番にすることは、「To Doリスト」の作成です。To Doリストとは、自分がやるべき仕事の箇条書きリストです。やるべき仕事を、箇条書きですべて書くのです。

(To Doリスト)作成例

メールのチェックを先にすませた方が落ち着く場合は、メールチェック後でもかまいません。メールで新しい仕事が追加されることもあるからです。メールが先でもTo Doリストが先でもかまいませんから、仕事に着手する前に何をすべきかをまず書き出します。

To Doリストを書く目的は、やるべき仕事の全体像をまず把握することです。全体像を把握すれば、どのように片づけていこうかという1日の段取りになります。なお、その日に追加作業も発生しますから、追加分は都度書き足していきます。

To Doリストを手書きメモにするか、パソコンに入力するか、それは個人の使いやすさで選べばいい話しです。手書きのメリットは、終わったときに、すぐに線で消せることでしょう。

2.仕事の着手順を決める

To Doリストが作成できたら、次は仕事の着手順を決めます。

仕事の箇条書きの左側に、着手する番号を1番から振るのです。着手順を決めることは、仕事の効率をアップさせてくれます。次にやる仕事が決まっていれば、今の仕事を早く片づけようという「やる気」につながります。また、1つ終了するごとに、「1つ終わった」という達成感が、次の仕事へのやる気と活力につながります。

To Doリストに、着手順に加えて、時間の目安を加えると、1日の段取りが完成します。その仕事にどれだけ時間がかかるかを予測(見積り)するのも、タイムマネジメントの重要な1つです。

(To Doリスト)着手順と時間の目安の記入例

着手順を考えるとき、「スグできることはすぐに片づける」ことが効果的です。10~20分以内でできることは、さっさと片づけます。そうすると、残りの仕事が減ってきて、気分が楽になります。仕事をどんどん片づけないと、今日も明日も新しい仕事が加わって、身動きがとれなくなります。

3.1日3分割法で時間の使い方にメリハリを付ける

1日にメリハリをつけるためにおすすめしているのが、1日3分割法です。

1日3分割法は、1日を「午前中」「午後の定時内」「定時後」の3つに分けます。1日を3日分に使う、お得な時間の使い方です。

「午前中」の使い方のおすすめは、頭を使う仕事です。企画、計画、アイデア出し、現状打破のヒント探し、複雑な問題の解決策を考えることに向いています。午前中は、十分睡眠をとった状態であれば、頭をフル回転できるのです。また、10~20分以内でできる仕事は午前中にすませます。

なぜ午前中は頭を使う仕事にむいているのでしょうか。人間は眠っている間に、1日あったことを、夢とともに情報を整理します。海馬(かいば)の情報一時保管場所から、大脳に情報を書き込みます。パソコンでいうと、海馬がキャッシュメモリ(処理装置と記憶装置の性能差を埋めるために用いる高速小容量メモリ)、大脳はハードディスクです。夜寝ている間に、海馬の情報が大脳に書き込まれるため、午前中は、海馬に情報がないため、「高速で考える能力」「複雑な情報を同時処理できる能力が」が高いのです。夜型の人は、朝型に切り替えるために、早く寝るようにしましょう。

「午後の定時内」の使い方のおすすめは、体力仕事です。時間がかかる仕事は午後に回します。午前中に段取りをし、午後にじっくり取り組むのが効果的です。また午後は、繰り返しが多いオペレーション的な仕事、頭をあまり使わない仕事に向いています。

「定時後」の使い方のおすすめは、自分の意思で決めることが大切です。自分の意思で残業するもよし、自分のために時間を使うもよしです。大切なのは、午後の定時内と定時後で頭を切り替えるということです。残業を慢性化させないために、仕事の効率を高めましょう。

4.1日4分割法で早朝を有意義に使おう

1日3分割法を発展させて、1日4分割法があります。

1日4分割法は、今の生活時間を1時間早めます。早めた1時間分を1分割増やし、1日3分割法を適用します。つまり、「1日4分割法=早朝1時間+1日3分割法」です。そして、1時間早く寝ましょう。

節電を背景として、サマータームを導入する会社も増えてきました。アフター5ではなく、「アフター4」という言葉も生まれました。定時後の時間を有意義に過ごすチャンスととらえましょう。

5.時間がかかる仕事はスケジュールに書き込んで時間を確保する

時間がかかる仕事は、自分のスケジュールに書き込んで時間を確保しましょう。

たとえば、企画書作成に3時間かかると思えば、何日の何時から何時まで時間を確保するのかを決めて、スケジュール帳に書き込むのです。

時間を確保しておかないと、いつやろうかと不安になり、時間がないという気持ちに追い込まれるのです。スケジュール帳に時間を確保しておくと、「その時間で集中してやろう」というように気持ちが割り切れるので、気持ちが落ち着きます。

6.おわりに

今回はTo Doリスト、1日3分割法、1日4分割法についてご紹介しました。

これはすでに実施している人も多いと思います。しかし、まだ実施していない人は、今日からでも実施してください。今日からといわれても、すでに半分過ぎていると考えたあなたは、腰が重い人です。できない言い訳を考えるヒマがあったら、即実行です。今日のTo Doリストを今から作成するとか、明日のTo Doリストをいまスグ作成してみればいいのです。

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  • 1.『仕事がデキる人になるための「始めの一分間」』

時間は1日24時間と誰に対しても平等ですが、同じ時間でも人よりパフォーマンスを上げる、またはムダな時間をなくすことで自分のやりたかったことを実行するなビジネスの場に限らず、誰かとあったときの第一印象というのは非常に重要なものです。第一印象で失敗をしてしまうと、そのイメージを払拭するのにとても時間がかかってしまいます。

その逆に、第一印象が良いとその後もとんとん拍子に事が進んでいきます。

そして、これは対人関係に限られたものではありません。何かを考え始めるとき、仕事を始めるとき、朝起きて一日を始めるとき、これらのときも最初の一歩次第でその後が変わってきてしまうのです。

本書では何かを始めるときに調子良く物事を進めるためのポイントを

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の5つに分けて詳しく説明をしていきます。

いつもエンジンがかかるまで時間がかかってしまう、そう感じている人に読んでいただきたい一冊です。




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ストラテジー(戦略)といえばM.E.ポーター博士を置いては語れませんが、ポーター博士をご存知ではない方も多いかもしれません。しかし、好業績を上げている経営者や、経営コンサルタントの間では、ポーター博士の『競争の戦略』は座右の書として重宝されてきました。

本書では業界内外にある5つの競争要因を中心に「競争戦略」とはどのようなものかを、大学院教授と企業のマーケティング担当をしている社会人大学院生の二人の会話を通して説明していきます。

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(本書序章より)



▼西村克己:
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。富士フイルム、日本総合研究所を経て芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授に就任。専門分野は、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考、タイムマネジメント、プロジェクトマネジメント。現在までに96冊の著書がある(累計180万部)。

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