ストレスに負けない自分をつくるための4つのポイント

カテゴリー: 書評

このところ、以下の「凹み三部作」(勝手に命名)を立て続けに読んだこともあり、僕の中で「凹み対策」、すなわちストレス・マネジメントがホットになっているのですが、

アル・シーバート
ディスカヴァー・トゥエンティワン ( 2008-04-15 )
ISBN: 9784887596283
おすすめ度:
MediaMarker
田中ウルヴェ京
フォレスト出版 ( 2008-04-05 )
ISBN: 9784894512979
おすすめ度:
MediaMarker

読みながら思い出したのが以下の1冊。

『メンタル・タフネス―勝ち抜く「精神力」を手に入れる』

実は、この本については今からほぼ2年前(2006/05/29)にこのブログで紹介したのを皮切りに、連日のように取り上げ、トータルで10エントリーにおよびます。

ここで思い出したのも何かの縁ということで、特に「ストレスに負けない自分をつくる」という視点で改めてまとめてみます。

1.オーバーにもアンダーにも振れない適度なレベルを維持する

あなたの人生における「ストレスと回復のバランス」を測る最高で唯一の尺度は、純粋なポジティブ・エネルギー、すなわち楽しさ(fun)である。あなたの生活面でネガティブなストレスの量が増えると、楽しさや喜びは減少する傾向にある。

楽しさは、肉体的あるいは心理的な痛み(ネガティブなストレス)を伴わない興奮と刺激(エネルギー消費)を意味する。ある活動が大好きで、それを楽しく続けられるほど、オーバートレーニングに潜むリスクは少なくなる。

カギとなるのは「楽しさ」です。楽しさは適度なストレスが保たれた時に得られます。やり過ぎても、やり足りなくてもだめです。あえて途中でやめるくらいでちょうど良いくらいです。これは「仕事を楽しくする時間術の4ステップ」にも通じる考え方です。

» 仕事を楽しくする時間術の4ステップ 

2.ウェーブを作る

長期にわたる過度なストレスあるいは過度の回復の直線的な現われは、病気を防ぐ免疫システムの能力を減少させる。ストレスと休息のバランスがとれていると、ポジティブな形で身体の修復プロセスと免疫化学物質を活性化させ、将来のストレスに対応できる感情と肉体の能力を強化するという。言い換えれば、バランスのとれたストレスと回復のサイクルは、身体の微妙な生化学と神経科学との相互作用を安定させるということである。

ダーディックは断続的な肉体的ストレスのサイクルを作ることを、その後に続くバランスのとれた回復のサイクルとともに「ウェーブを作る」と表現し、免疫機構を再建し、強化する上で非常に重要な要素であると述べている。ダーディックは自分の患者に運動させて、ストレスと回復のウェーブを作る。そして、心拍の上昇と下降を、バランスが取れているか否かのサイクルの尺度として使用している。

息は吐くから吸えるわけで、吸ってばかりいたら苦しくなってしまいます。水泳でも、息継ぎをするから泳ぎ続けられるのですし、筋トレもインターバル(休憩)を挟んでセットを重ねるからこそ高い負荷をかけ続けられる(=効率良く筋組織を破壊し、再生を促すことができる)わけです。

それゆえ、長時間仕事をし続けようと思えば、必然的に息継ぎやインターバルは不可欠なります。

3.自分の身体が発するシグナルに素直に耳を傾ける

食事をとりたい、眠りたい、リラックスしたい、運動したいという衝動は、回復を要求する言葉だ。それはまた、自分の身体の生理機能を垣間見せる窓でもある。この言葉を素直に聞き、理解することを学ぶのは、生命自体のリズムと鼓動を聞くことでもある。

私たちの身体は、意識に向けて絶えずシグナルを発信している。しかし、アルコールやドラッグを受け入れ、感情またはメッセージを無視するかたくなな意志が障壁となり、シグナルが届かない場合もある。人生におけるストレスの量が私たちを圧倒すると、しばしば身体が回復を求め、叫び声をあげていても、それに注意を払ったり耳を傾けることができなくなる。

では、どうすればいいか? それは自分の気持ちに素直に従うこと。

自分の気持ちに敏感になる第一歩は、衝動に従い、やみくもに行動するのではなく、気持ちをコントロールすることだ。私たちは自分の感情を自分にとってプラスに利用したいわけで、その感情によって傷つけられたり、押し潰されたりするような悪い選択を望んでいるわけではない。感情は成果、健康、そして幸福へのカギだ。したがって、人生をコントロールするために、私たちは感情をコントロールすることを学ばなければならない。

(中略)

気持ちや感情はメッセージをうまく伝えるメッセンジャーであるべきで、コントローラーではないことを頭に入れてほしい。気持ちと感情は身体の内部にある目や耳で、成長し、生き延びるために必要なストレスと回復の均衡度を測る計測器である。

実はこのあたりのことについては、『メンタル・タフネス』では十分に解説されているとは言い難いと感じていました。つまり、単なる衝動と身体からの要求との区別がつきにくいのです。

その後ずっと抱えていたこの疑問ですが、最近読んだ『「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方』で「セルフトーク」という具体的なトレーニング方法として紹介されていたため、非常にスッキリしました。

4.完全に上げきらない、下げきらない

できるなら、2,3時間ごとに食べたり飲んだりするほうがよい。頻繁に少しずつ食事を摂取することが血糖値を安定させ、より長時間にわたりより多くのエネルギーが得られる。1日4回から5回の食事を軽目に食べること。

(中略)

頻繁に食事することは、不健康で徐々に忍び寄る食べ物への執着が小さくなり、大食いの衝動を和らげる。一日を通しての目標は、完全に満腹感を感じたり、完全に腹ぺこだと感じたりしないようにすることだ。

ここでは食事について書かれていますが、食事以外のことについても当てはまります。例えば仕事。どんな仕事であれ、まったく白紙の状態から取りかかって、完成して納品するところまでを一気に作るのは大変です。そこで、時間をかけて休憩を挟みながら少しずつ作っていくことで、無理なく進めることができます。

要するに、短時間で一気に仕上げる「やっつけ仕事」はストレスフルというわけです。

まとめ

以上の4つのポイントは、一言でまとめるならバランスの取れた状態をキープすることに力を入れる、ということになります。仕事と家庭のバランスなら、どちらか一方だけに注力するのではなく、この2つがほどよく調和するような状態を目指すわけです。もちろん、仕事の手を抜くことでも、家庭をかえりみないことでもありません。

これを実感するうえで好例なのがダイエットのための筋トレです。

筋肉は速筋(そっきん)と遅筋(ちきん)の大きく2種類に分けられるのですが、簡単にいえば、前者は瞬発力、後者は持久力に関係しています。

特にダイエットを目指している人にとっては体内の脂肪燃焼を促すことが先決ですが、脂肪燃焼の効率がいいのは遅筋です。従って、遅筋を鍛えることが課題となります。

遅筋を鍛えるためには、じっくりと時間をかけて筋肉に負荷をかける必要があります。例えば、スクワットなら、完全に足が伸びきらないうちにしゃがみ始め、しゃがむ姿勢にならないうちに再び伸ばし始める、という動きを3秒〜5秒ずつかけて行うようにします。こうすることで、遅筋への負荷は最大化されます。

これは、以下のエントリーで紹介した『一生太らない体のつくり方』で紹介されているトレーニング方法なのですが、その根底にはストレスを最小化するための考え方が横たわっているといえるでしょう。

» 『一生太らない体のつくり方』でエネルギーの“不労消費”を増やす 

ジム レーヤー
ベストセラーズ ( 2003-11 )
ISBN: 9784584391778
おすすめ度:
MediaMarker

トレーニングつながりで…

 

今回はストレスに負けないためのトレーニングをご紹介しましたが、明日のセミナーでは、「直感力」を鍛えるためのトレーニングを実践を通してご紹介する予定です。

何もしなければ無意識のうちにほどほどに発揮されているだけの直感力を、意識的かつ意図的に使えるようにすることを目指します。以下は、メニューの一例。

 ・人を見る目を鍛える
 ・先を読む力を鍛える
 ・トラブルを回避する力を鍛える
 ・判断力を鍛える

詳細、お申し込みはこちら。

 » ビジネスに活かす直感力

 ●日 時 :2008年5月29日(木) 19時00分〜21時30分(18時30分開場)
 ●会 場 :パソナテック本社(渋谷)【地図
 ●参加費 :2,000円(懇親会軽食費込)

▼関連:
ストレス状態からうまく回復する 
“電話”が鳴ったらすぐに出る 
お腹がすいたらご飯を食べる 
いつ、どれぐらい休めばいいのか 
『メンタル・タフネス』前半のまとめ 
仕事に「ウェーブ」を取り入れる 
アルコールに頼る前に… 
安定はゴールではない 
実践を通して初めて見えてくるもの 

▼「書評」の新着エントリー

» 「書評」の記事一覧
スポンサー リンク