ということで、お金の管理について考えてみます。
自分の“消費スピード”を知る
僕自身は、1995年から家計簿ソフトで収支の管理をしています。日々の支出と時々の収入をデータ入力しているのですが、1997年からは「家計簿ひかる」というシェアウェアに乗り換えました(それまでは「家計簿マム」というソフトを使っていました ← リンク先はバージョン6のようですが、僕が使っていたのはおそらく最初のバージョン)。
まぁ、どのソフトを使おうと収支の把握という大きな目標が達成できればそれでいいわけですが、12年間も続けると、もはや家計簿をつけることは歯磨きと同等の習慣となっており、家計簿をつけていない人の感覚に違和感を覚えることが少なくありません。
例えば、「給与天引き」を活用することで「いつの間にかお金が貯まっている」という効果が謳われることがあるのですが、僕自身は常時、現金残高はもちろん、保有している各銀行口座ほか金融資産の残高をソフト上で把握しているため(空白期間は最大1ヶ月)、「いつの間にか貯まっている」ことがあり得ないのです。
以前「500円玉貯金」を試みたことがあったのですが、その残高さえ家計簿ソフトで管理されるため、
「今日で20500円貯まったなー」
などと貯金額がわかってしまうのです。
まぁ、そんな話はともかく、ここで大事なことは、自分の“消費スピード”あるいは“消費ペース”を把握することです。それがわかれば、見通しが立ち、将来の不安というものを金額換算することができるようになります。お金に関するストレスから解放されるわけです(少なくとも漠たる不安に苛まれることは減るでしょう)。
そのためにはやはりお金の出入りを記録するほかありません。
お金を無駄遣いしないようにするコツ
習慣化していない人にとって、家計簿をつけることは面倒以外の何ものでもないでしょう。でもそんな人にとっても、お金の出入りが把握できている状態は、できていない状態よりもましだとは思っているはずです。ただ、具体的なメリットがすぐに思い浮かばないということはありそうです。
とはいえ、
「確かにやらないよりはやったほうがいいだろうけど」
という“微妙”な理由では居心地の良い現状を変えるにはパワー不足。つまり、家計簿の習慣化は劣後(優先の反対)されたままになります。
そこで、家計簿をつけることによって無駄遣いが減る、というメリットがあるとしたらどうでしょう。
家計簿以外にもテキストファイルにつづる身辺日記を10年続けていますが、これに日々のブログも加えれば、「日々是記録」な生活を送っていることに改めて気づかされます。でも、この記録習慣が行動をコントロールする上で役に立っています。
例えば、今年の6月25日にそれまで11年続けてきた喫煙習慣を断つことができたのですが、そのカギとなったのが記録でした。
喫煙時代、タバコを吸った本数を記録するために、1本吸うたびに、携帯メールで自分宛てに
「タバコ」
というタイトルのメールを送っていました。こうすることでPCのメールボックスにはタバコを吸った本数分だけ空メールが溜まることになります。
でも、次第にこの「タバコメール」が面倒に感じられるようになってきました。どうすればこの面倒さから解放されるかを考え始めた時、正確には、考えた瞬間にすぐに結論に至りました。
「タバコをやめれば、もうメールを送る必要はない」
そんなわけで、タバコをやめたのです。
同じ理屈で、お金を使ったら必ず家計簿に入力しなければいけない、というルールが徹底されていれば、例えば店先で何かを買いたくなった時に、
「あぁ、これを買うとあとで家計簿に入力しないといけない」
という、将来確実にやってくる手間が想起されます。そして、
「買わなければ、家計簿に入力する必要もなくなる」
ということで、買わない方向に傾きやすくなるでしょう。
このように、止めたい習慣にちょっと面倒なことを抱き合わせにしておくことで、その面倒なことを取り除くのと同じタイミングで止めたい習慣も削ぎ落とすことができるわけです。タバコメールを取り除くのと同じタイミングでタバコそのものも削ぎ落とすことができたように、
あるいは、家計簿に入力する手間を最小化するために、なるべくお金を使わないように心がけるようになる、さらには行動するようになるわけです。
無理?
さて、ここまで読んだ方の中には、
「無理がある」
と感じられる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、「期間限定トライアル」です。
例えば、
- 今日から1週間だけ家計簿をつけてみる
- 3日間だけ毎日ジョギングする
などのように、期間限定で習慣化したい行動を実際にやってみるのです。
実際にやってみることによって、思っていたよりもラクだった(もちろん「思ったより辛かった」もありえます)、という「思いのほか」に気づくことができるでしょう。
明日の「継続力セミナー」では、この辺りのことについてもう少し詳しくご紹介する予定です。