毎日ブログを書き続けることは、自分の頭の中というブラックボックスを解読し続けるということ



イミテーション・ゲーム(2015)」という映画を観ました。第二次世界大戦末期のイギリスが舞台で、ドイツ軍の暗号解読に取り組むチームの物語です。

ドイツ軍は暗号のパターンを毎日変更するため、解読作業は困難を極めます。しかし、ふとしたきっかけで得られたキーワードを解読プログラムに組み込んだところ、即座に解読に成功します。

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毎日ブログを書き続けるうえでネタを切らさないようにするにはどうすればいいか

この作品を観ていて、ふと今週の「のきばトーク」(第47回)の話を思い出しました。

今回のテーマは「毎日ブログを書いている人にとっての、その日の記事に何を書くのかをいつ決めるのか」。



僕自身、今年は毎日ブログを書くことに決めたので(ただし1日1本まで)、ほかの人がどうやって毎日書いているのかについては強い興味があります。

まず、僕自身のことをふり返ると、昨日までに170本(1月1日~6月19日)書いてきました。最初のうちはWorkFlowyで「月曜日はこれについて書いて、火曜日はこれで、水曜日は…」という具合に、執筆計画を立てて、ネタのストックが切れないように注意を払っていました。

以下のように曜日ごとにネタをぶら下げて、似たようなテーマの記事が連続しないように、曜日間で調整していたのです。



でも、ネタが“繁って”くると、ネタを曜日間で移動させる手間ばかりが増えてきます。リストが長くなると、一番上にある月曜日のネタを一番下にある日曜日のネタに移動させるのが手間に感じるようになります。

その手間の割に執筆がいっこうに進んでいないことに気づき、いつしかこの執筆計画の更新はやらなくなっていました。

何を書くかを予め決めておいたほうがいいか、その場で決めたほうがいいか

毎日書き続けるためには、「今日は何も書くことが思いつかなかった」という“事故”の発生確率を可能な限り引き下げたいもの。

何を書くのかを予め決めておくことはその対策になります。何を書くのかが予め決まっていれば、不安は減るからです。

毎日書くと決めた僕が最初に取り組んだのが執筆計画作りだったのは、この不安というものを最小限にしたかったからだと今は思います。

でも、そのための“コスト”があまりにも高ければ続かないでしょう。

今回の「のきばトーク」の中で出てきた話で面白かったのが、「何を書くかを先に決めておいても、いざ書く段になってその決めたテーマについて書こうとすると、どうにも気が乗らないことがある」というもの。

「書くことが思いつかずに時間切れを迎えてしまう恐怖」を取り除きたい一方で、「書くことを予め決めていても気が乗らないかもしれない不安」とも闘わないといけないという分の悪さ。

その結果、「一応テーマは予め決めてはおくが、書く段階でより書きたいと思えるテーマが思いついていればそちらを優先してもOK」という“柔軟”なルールを採用することになります。

より書きたいと思えるテーマが思いつかないにもかかわらず「予め決めたテーマで書くのは気が乗らない」ということもあります(実に身勝手ではありますが、こういうことは実によくあります)。

「のきばトーク」の中で倉下さんは、このようなときに何をすればいいかの手順を決めていました。Evernoteの中からネタを見つけ出すわけですが、どういう順番でどこを見ていけばいいのかの手順です。

「アイデアノートブック」を見てもやはり何も見つからなければ次はどうするのかが気になりましたが、そこで話が別の方向に転がり始めます。

↓追記@2017/06/21:補足ツイートいただきました。



書けるテーマであっても、いま書きたいテーマでなければ見送られる

これまた「あぁ、まさにその感じ!」と共感したのが、「書けるテーマではあるが、いま書きたいテーマではない」(今は書きたくない)というケース。

すかさず佐々木さんが「今は書きたくない」とはどういうことなのか、というツッコミを入れていました。

対する倉下さんは、タイミングの問題なのか、書くための材料が溜まっていないのか、といった分析を展開していましたが、普段はここまで考えることなく、とにかく「今は書きたくない」ということで次のテーマを探しに行くのでしょう。

行く店を決めずにふらりとランチに出て、カレー屋の前を通り過ぎるところで「カレーは食べられるが、いま食べたいメニューではない(今はカレーではない)」と却下するときの心境に似ています。

「今はカレーではない」と却下する根拠は自分でもよく分からなかったりするわけです。

これは、心の準備が不足している、というニュアンスが近いと僕は思います。

予め「よし、今日はカレーを食べるか!」という心づもりができた状態でランチに出かければ、一直線にカレー屋に足が向くでしょうし、当てもなく歩いているときにカレー屋が目に付けば、やはり迷うことなく突き進むことができます。

このような確信に満ちた歩行運動は、心がカレーをランチとして受け入れる準備ができているからこそできることです。

話をブログのテーマに戻せば、予め「よし、今日は秘策についての記事を書こう」という心づもりができた状態でブログに向かえば、ほかのテーマのことはいったん忘れて「秘策」に集中できるはずです。

でも、心がカレーで満たされていても、ふとラーメン屋の前を通りかかり、かぐわしい豚骨の香りに誘われれば、「カレーもいいが、今の自分が食べたいのはラーメンだ」と心変わりすることもあるでしょう。

ブログについても、秘策について書こうと思ったのに、いざ書き始めようとしたところで不意に「さっき読んだ本のあのフレーズが気になる」という“割り込み”によって、やはり心変わりすることがあるのです。

では、どうすればいいか?

現時点では、僕の方針は以下です。

170記事書いてきて、書き続ける上でもっとも重要だと考えているのは、「翌日のテーマを仮決めしておく」です。

それも、今日の記事を書き上げた直後のタイミングです。ちょうどフライパンの余熱があるうちに次の料理のための油をさすように。

このタイミングを逃すと、文字通り冷めてしまうことが少なくないからです。

採用されるとは限らないものの、何もなければこのテーマでいく、という仮決めテーマを前日中に決めておくことで、意識にふんわりととどまります。

自然とこのテーマについてバックグラウンドで“触手”が伸び始めるので、寝ている間に、あるいは起きて活動をしている間にこのテーマに関連するトピックを掴めることが多いです。

ちょうどニュース番組に近いかも知れません。通常は取材したニュースをあらかじめ予定していた枠に放送するのですが、大事件や大事故など緊急性の高いニュースが飛び込んでくれば、これに差し替えるわけです。

自分の中の「基本路線」を認識する

より抽象化するなら、ブログでもランチでも、そして日々の仕事でも、自分の中の「基本路線」というものを認識することが第一歩ではないかと思います。

一見するとランダムで先の読めないように見えて、実際には「基本路線」というものがあり、日々のランダムな動きをつぶさに記録に残していくと、そこに一本の筋が浮かび上がってくるかのように。

この、自分でもあまり把握しきれていない「基本路線」というものを記録を通して掴んでおくことで、“振れ幅”が抑えられるようになります。

「この筋から大きく逸れることはない」と分かっていれば、その周辺にのみ注意と時間と手間を集中投下できます。

ところで、映画「イミテーション・ゲーム」の中で、暗号解読の突破口となったキーワードの話がありました。

端的に言えば、暗号文に特定の単語が必ず使われることが判明したことで、暗号の複雑度が一気に下がり、計算の負荷も下がったのです(僕なりの解釈なので厳密には言えば間違っているかも知れませんが…)。

自分の頭の中は「解読が困難なブラックボックス」だととらえると、ここから必要な情報を素早く得るためには、「だいたいどういうことを考えるものなのか」という基本路線を掴んでおくことが第一でしょう。

これを掴むことで、たとえば次のような方針が得られます。

僕の場合は、「時間帯」、「使いこなす」、「失敗」といったキーワードです。僕のEvernoteにはこういったキーワードを含む記事やメモが大量に蓄積されているからです。

とはいえ、これらのキーワードが含まれているのは結果としてであって、蓄積していく過程ではキーワードのことは意識していたわけではありません。

つまり、これらのキーワードは後から見つかるものですし、その後も入れ替わりうるものなのです。

ドイツ軍は常に同じ単語を使い続けてしまったがゆえに暗号を解読されてしまったわけですが、自分の頭の中というのは関心の変化にともなって少しずつであれ「基本路線」も変わっていくはずです。

必然的に、この「基本路線」をとらえるためのキーワードも変化していくはずなのです。

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