「古くなる」とは、それ自体が古くなるというより、新しいものがどんどん出てくるために、相対的に古くなるということです。
例えば、スマホ。僕自身、iPhoneは1~2年ごとに買い換えていますが、新しい機種が届いたら、すぐにそれまで使っていた機種を売却しています。
特にiPhoneは買取額が高いので、新しい機種の購入資金に充当できるのでありがたいです。
もはや「所有」のために購入しているというより、次の機種を買うまでの期間の「使用料」を支払っている感覚に近づいています。
考えてみると、現在の住まいは賃貸なので「レンタル」していますし、仕事に必要なデータを置いているクラウドストレージも「レンタル」しています。
もちろん、まだまだ「買い切り」でないと入手できないもののほうが多いですが、ほとんどのものは「所有」する必要はないのではないかと思い始めました。
この考えを突き詰めていくと、究極的には自分の体験だけが「借り物」ではない「固有」のものになっていくでしょう。
悩みとは何か?
ここで思い出されるのが、繰り返し読んでいる『人蕩し術(ひとたらしじゅつ)』に出てくる「悩み」についての記述です。
「人生における悩みとは何か?」
この答えは、恐ろしく簡単です。なぜならば、その答えとは、何によらず、この、「弛緩がうまくなされていない状態、それが悩みというものの実体である」からです。
ほとんどの場合、緊張のほうは、放っておいても、自然に発生してきます。ですから、そのほうはあまり考慮しなくてもよいのです。大切なのは弛緩のほうで、これを、
- 1.努力と才覚で、欲するものを手に入れて緊張をゆるませるか、
- 2.とうてい得がたいことを知り、それを諦めることによって、緊張をゆるめるか、
のいずれかの方法によって、弛緩が得られれば、すなわち「悩みは消失する」ことになり、弛緩が得られなければ「悩みは存続する」ということになるわけです。
ですから、人生においては、まず自己弛緩の技術に長じ、それの達人となることが、幸福な人生創造への必須条件となることが、これで皆さんにもよくおわかりいただけたことと私は思うのです。
これに倣うなら、「あれも欲しい、これも欲しい」と考えている間は緊張状態が持続することになります。
もし、「あれ」も「これ」も所有しなくてもいいとなったら、そこで弛緩が得られます。
自分がほんとうに「所有」しないといけないものは何なのか? 手放してもいいものは何なのか?
少なくとも「ないと困るもの」より「なくても困らないもの」の方が多いはずです。
そして、自分にとって欠くことのできない「ないと困るもの」は、自分を「固有」たらしめることに寄与するものでしょう。
現在の持ち物を棚卸しして、「ないと困る」と「なくても困らない」の2種類に振り分けてみると、何か見えてくるかもしれません。