この状態にあるときが「今を生きる」ということなのだ、と。
ホウキが次にどちら側に傾くのかを先の先まで予測することはできません。ただひたすらに今この瞬間に集中してバランスを取り続けるしかありません。
先のことが気になって身動きが取れなくなっているとしたら、それはホウキがどちらに傾くのかを完璧に予測しようとしているのかもしれません。
今できることに最善を尽くす
『伝えることから始めよう』という本にある高田明さんの以下の言葉はまさにホウキのバランスを取っているイメージのとおりです。
ジャパネットたかたの経営を振り返ってみると、「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」だったと思います。「長期計画のない経営」「目標を持たない経営」というテーマで講演したこともあります。計画性はほとんどなかったんです。
私は5年先、10年先の自分や会社の姿を思い描いたり、目標を立てたりして、それを達成するために今なすべきことを考えるという方法はとりません。そもそも5年先に何をしたいか、どうなっていたいか、ということすらあまり考えません。半年先、1年先のことも考えないんです。
軸足を置いていたのは、とにかく「今」です。今できることに最善を尽くす。そこから、次のステップが見えてくる。最善を尽くす中で次のステップが見えてきたら、スモールステップで次に進む。その繰り返しで成長を続けてきました。目標と呼べるようなものがあったとしたら、それは、とにかく昨日よりも今日、今日よりも明日、今年よりも来年と売上を伸ばし、成長していくという強い想いでした。(p.231)
この本がいかに素晴らしいかについて話していたときに、相手の口から今回の喩えが飛び出したのでした。
ということで、こんご人生に迷ったときは、このホウキのイメージを思い出すことにします。