とりわけ「今を生きる」というメッセージには強く惹かれます。
この言葉を聞いた当時は、仕事内容を大きく変えたタイミングであり、自分の中では(カッコよく言えば)「第二の創業」と意気込んでいました。
それだけに、漠然とした不安もあったので、高田明さんのその言葉に勇気づけられたのです。
高田明さんの言葉
その言葉とは以下です(当時の記事より)。
高田社長曰く、
その時その時を一生懸命やる。
やっているものはなんでも面白ければハマってしまう性格だから、あまり先のことは考えていない。
10年後、20年後を考えても人生はわからない。
むしろ考えない方がいい。
今この2,3年にいろいろな人に会って、いろいろな本を読んで、いろいろな経験をしていけば、それで人生が変わっていきますよね。
だから、あまり先のことを悩むより今のことをやればいい。
儲かるからやる、というよりはやってみたら面白かったからどんどんやる、という感じなんです。
文章に起こす際に若干編集しましたが、おおむね上記のようなことを話していました。
この発言は、今から12年ほど前、2005年5月29日に放映されたテレビ番組の中でのもの(記事の公開日は同年6月2日)。
新しい仕事に取り組み始めた当時の僕には「これまでの経験をこれからのこの新しい仕事に注ぎ込んでいこう!」という前向きな意気込みがありました。
同時に「この新しい仕事がうまくいかなかったらどうしよう」とか「この仕事をこれから何年くらい続けるのだろうか」といった不安や疑問も少なからずありました。
「長期計画を立てる」という重要なタスクをもう何年も前から設定していましたが、一向に取りかかることができておらず、「今この瞬間こそ、長期計画を立てるのに打ってつけのタイミングなのではないか?」というプレッシャーもわき起こり、不安をいっそうかき立てていました。
- 不安を解消するための長期計画!
- しかし、これまで立てた試しのない長期計画!
- しかも今度こそ失敗できない長期計画!
そんな長期計画から逃げたくて仕方がなかったところに受け取ったのがこの言葉だったのです。
なんだ、長期計画って立てなくていいんだ! やった!
このブログを始めたのは2005年5月ですから、ほんとうにブログを始めた直後にこの言葉に出会えたのです。
ラッキーでした。
ちなみに、当時はこのブログをこれほど長く続けられるとは思っていませんでした。
直前に7つの、それぞれにテーマの異なるブログを立ち上げて、いくつかは同時並行させながら記事を書いていたのですが、どれも続けられずに挫折。
「やはり、思いつきでブログを始めるのはイカンな」という反省モードにいたので、新しいブログ(このブログです)はきちんと計画を立てて考えながら書いていこう、と意気込んでいたわけです。
今できることに最善を尽くす
それから12年後の今年、気づいたらブログを始めて12年目の今年、高田明さんの初の自著が出版されたことを知ります。
『伝えることから始めよう』という本で、すぐさま買って読みました。
そこには、12年前のあの発言が、ほぼそのままの形で記されていました。
「すごい、12年たってもぜんぜん変わってない! そのまま走りきってしまったんだ!」と感嘆。
特に以下の引用部分は、個人的に強くお伝えしたい部分です。
ブログにおいて本の引用は読み飛ばされがちなのですが、この引用はぜひ読んでください。
ここだけ読んでください。
この記事でここを読み飛ばしたらはっきり言ってこの記事を読んだ意味がないです。
僕の文章は読み飛ばしていいので、ここだけは読んでください。
はい。
↓では、いよいよ引用です。
ジャパネットたかたの経営を振り返ってみると、「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」だったと思います。
「長期計画のない経営」「目標を持たない経営」というテーマで講演したこともあります。
計画性はほとんどなかったんです。
私は5年先、10年先の自分や会社の姿を思い描いたり、目標を立てたりして、それを達成するために今なすべきことを考えるという方法はとりません。
そもそも5年先に何をしたいか、どうなっていたいか、ということすらあまり考えません。
半年先、1年先のことも考えないんです。
軸足を置いていたのは、とにかく「今」です。
今できることに最善を尽くす。
そこから、次のステップが見えてくる。
最善を尽くす中で次のステップが見えてきたら、スモールステップで次に進む。
その繰り返しで成長を続けてきました。
目標と呼べるようなものがあったとしたら、それは、とにかく昨日よりも今日、今日よりも明日、今年よりも来年と売上を伸ばし、成長していくという強い想いでした。(p.231)
どうですか? 良いでしょう?
「あ、なんかいけるかも?」っていう自信が湧いてきませんか?
まさにその感覚です、今から12年前に高田明さんの言葉に触れた直後に僕が抱いたのは。
長期計画はいったん脇に置き、「とにかく今、書けることを書いていこう」というスタンスでブログを書き始めることができました。
もちろん、それで大満足の結果になったかというと、そうではありません。
でも、曲がりなりにもブログを続けられていますし、仕事も中身はどんどん変化してはいますが、なくなることなく続けられています。
未来は見えませんが、それより何よりも手元に「今」があります。
これが見えている限りは、次にすることを見失うことはありません。
そうそう、今回この記事を書こうと思い立ったのは以下の記事を読んだからでした。
ブックライターの上阪徹さんのインタビュー記事です。
» 正社員から無職、アルバイト、そしてフリーランスへ……ブックライター、上阪徹さんに聞く「仕事がないときの仕事の作り方」
成功者には、自分の未来をプランニングしていたという人は、意外にもあまりいませんでした。
とにかく目の前のことを懸命にやっていた人が多い。
それは僕自身もそうでした。
将来のことなど考えず、今やるべきことを必死でやる。
それこそ不確実性を楽しみ、自分を信じて目の前のことをやることで、その時々のベストな場所に連れていってもらえると思っていました。
むしろ先に未来のイメージを固定してしまうと、意識に制限がかかってしまい、そのイメージまでしか到達できない。
だから、未来は描かない方がいい、と。
実際、びっくりする未来が待っていたんですよね。
「これはまさに高田明さんと同じ考え方だ!」と。
というわけで、『伝えることから始めよう』にはこの「今できることに最善を尽くす」という生き方の実際が、まさにテレビで話しているようなトーンで書かれていて、ぐいぐい引き込まれます。
以下のように、章の変わり目でいちいち「ナレーション」が挟まるのも可笑しいですが、ほかに類を見ないスタイルなので、ニヤニヤしながらもそのまま読み進めてしまいます。
さて、これで第2章は終わりです。お付き合いありがとうございました。さあ、皆さん。いよいよテレビショッピングが始まりますよ。まずは、ラジオのお話から聞いてください。
まさに「今」(リアルタイム)なのです。