締め切りギリギリになるまで仕事に手を着けられないループから抜け出すにはどうすればいいか?



締め切りギリギリになるまで仕事に手を着けられず、「さすがにもうこれ以上はマズい…」という臨界点に到達すると、不思議なことに自分でも信じられないくらいの集中力が発揮され、これに呼応するように奇跡の巡り合わせが連鎖し、同時にそれなりに多大な犠牲を払って何とか締め切りまでにやりおおせる。

このような「仕事術」は、しかし、必ずどこかで破たんします。この悪しきループから抜け出すにはどうすればいいか?

よくある「答え」は、

というものです。

ここには3つ問題があります。

一つひとついきます。

「早いうち」とはいつなのか?

これは簡単です。

その仕事が発生したその日のうち」が「早いうち」です。

ただし、「その仕事が発生した瞬間」である必要は必ずしもありません。むしろ、そうしない方がいいでしょう。さもないと、現在進行中の仕事が常に割り込まれることになるからです。

何をどう進めればいいのか?

では、「その日のうち」に何をすればいいか?

それは、その仕事の要件をメモしておくことです。

以下のようなフォーマットを用意しておくと、これを埋めるだけで済むのでおすすめです(必要に応じて項目を入れ替えてください)。

例えば、『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版』に載っていた以下の事例を当てはめてみます。

郵便集配室の改装に関する改善提案を依頼された。今は1月、担当の委員会は7月の会合での提案を検討する予定だ。

このフォーマットを埋める作業をすることで、何よりもまず自分がいつまでに何をすればいいのかが整理できます。

仕事が発生したタイミングでは、すべての要件が明確になっていないことがあります。このフォーマットを埋めてみることで、それが「早いうち」に分かるので、その場で相手に確認することができます。

上記の例では、「何日の何時から?」とか「誰に?」と書いてある部分が確認すべきポイントになります。

例えば、締め切りギリギリになって「あれれ、これは誰に提出すればいいんだろう?」という疑問にぶつかると、かなり困りますね。

「少しずつ」とはどれぐらいなのか?

「毎日無理なく続けられる程度の分量」ということになります。

最初はその適量が見極められないので、試行錯誤の期間が続きます。続けているうちに慣れも手伝って最初よりも長く、あるいは多くこなせるようになりますので、記録をとりながら調整していきましょう。

例えば、ジョギングの習慣を始めた人が、初日はそろりと1キロだけ走ってみて、徐々に2キロ、3キロと距離を伸ばしつつ、ジョギングにかけられる時間の上限と相談しながら、時間を変えずにペースを上げるなどして、調整していくイメージです。

もう1つ重要なことは、これはジョギングにも言えることですが、

ようにすることです。そろえることで習慣化しやすくなるからです。

「時間が空いたときにやろう」ではほぼ間違いなく失敗します。「時間が空いた」瞬間に、すぐに別の何かで埋まってしまうからです。

以下の記事では、この「同じ時間帯に、同じ作業を、同じように取り組む」という習慣を作るための具体的な方法を動画で解説しています。TaskChute Cloudというツールの使い方の解説記事ですが、考え方も合わせてお伝えしているので、ぜひご覧ください。

重要なことは、何を、いつ、どんな順番で、何分かけて行ったのか、を記録に残すことです。

すでに一度実行しているので「こういう順番ならスムーズにできるはずだ」という確度の高い予想をもとにルーチン化を行うため、翌日のタスク実行の精度がアップします。

「何分かかったのか」という定量的な評価もさることながら、「なぜそれをやったのか? そのタイミングは適切だったのか? かけた時間に過不足はなかったのか?」といった定性的な評価こそ有用です。

そこには、明日以降に、極度に限られた資源である時間を最大限有効に活用するためのヒントが詰まっているからです。


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これまでにも、今回の問題の解決策について記事を書いています。

「備える」ために「話題にする」

私はだいぶ以前から、ちょっと分からないことがありました。

それは、仕事でもテスト勉強でも、先送りにすると不安が募っていくくせに、不安が強いときほどギリギリまで手がつけられないという心理です。

そのことについて、先日大橋さんと話し合っていたのですが、ふと疑問が氷解しました。不安から仕事を先送りするのは、当然なのです。なぜなら、仕事を先送りするのは、失敗することに対する不安があるからで、それが強くなれば先送りするしか方法がないとすら思えてくるからです。

拡散思考を活用する

面倒なタスク管理などしなくても、締め切りギリギリになって締め切りのことを思いだし、追い込まれるプレッシャーを頼りに、一気に仕事を片付けてしまう、ということはできます。

そのようにすれば、結局「前々から計画を立ててコツコツやる」のと、締め切り前に終わらせるという結果と変わらないのだから、どちらも価値は変わらない、と思う人もあるでしょう。

ギリギリに手がけるのは、締め切りに間に合わせるという条件自体を保証できないものにしてしまっているというデメリットがそもそもありますが、間に合う限り「間に合っている」という点では等価かもしれません。

しかし、仕事を終わらせて、時間をおいてから再評価するためには、締め切りギリギリに終わらせるというのはいいやり方ではありません。そういうことができなくなるからです。

コンテクストを一定に保つ

忘れないためには、コンテクストを変えなければいいのです。すなわち、毎日一月一日のカレンダーにするとか、夢を叶えることを決意したセミナー会場を出ずに、ずっと会場にいたまま実作業を開始するとか。

しかしそういうのは現実的ではない。または、効果がない。

残るは、変わらないコンテクストに依存する方法でしょう。

使うツールを変えないとか、作業場を変えないということです。



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