言うまでもなく、こうした妥協は少なければ少ないほどいいでしょう。
ゼロにできたら最高です。
もちろん、人間ですから100%は難しい。
可能な限りこうした妥協を少なくするための方法はないかと考えるわけですが、そこで思い出すのが、数年前に師事していた老師から突きつけられたこんな質問。
できなかったの? やらなかったの?
この問いに対して「できなかった」と答える限りは、進歩も成長もできない、と老師は言います。
人の成分の大半は水ですから、何もしなければ高いところから低いところに流れ落ちていきます。すなわち、放っておいたら楽な方にしか行かない、ということです。
イヤなことがあれば、真っ先に「できない理由」を探し始めるのです。できない(=不可能)のだから仕方がない、という形勢に持っていくことによって、自分が悪いわけではないことにできるからです。
もしここで、「できない理由」の代わりに「やらない理由」を考えたらどうなるでしょうか。
たとえば、今日中に仕上げるべき仕事について、「資料がそろっていないからできない」とか「やる気が出ないからできない」といった言い訳の代わりに「やらない理由」をリストしてみるのです。
「できない理由」より「やらない理由」の方が本気を試されることに気づくはずです。それもそのはずで、「できない理由」には責任を他人に押しつけるという前提があり、「やらない理由」には逆に自ら責任を背負うという前提が、それぞれあるからです。
「できない理由」を考えることは身を守る行為なのに対して「やらない理由」を考えるのは身を削る行為なのです。
日々、その日一日を振り返るときに、やるべきであったのになされなかったことについて、「できなかった理由」ではなく「やらなかった理由」を自らに問い続けることは、成長への近道になるでしょう。
そう考えると、成長とは、身の削り節をダシにしてつくった極上のスープといえるかもしれません。削って初めて持ち味が出るのです。
▼合わせて読みたい:
『誘惑される意志』という本が、まさにこのテーマを扱っており、耳の痛い内容ながらも、引き込まれます。
以下は本の帯より。
人は、しばしば目先の誘惑=望ましくない選択に負ける。しかもそれは、無知のせいじゃない。その誘惑に負けたら自分が何を失うか、どういう結果を招くかは十分承知している。それなのに、同じ誘惑に繰り返し負けたりする。だれでも知っていることだ。
それなのに、これまでの心理学、経済学その他のモデルでは、これは説明できなかった。十分な情報がなくて判断をまちがえるのだとか、あるいはパブロフの犬みたいな条件付けが生じて反射的によくない選択をしちゃうのだ、といった説明では不十分だ。……本書は、双曲割引という概念を使うことで、これをきれいに説明した。(「訳者解説」より)
仕事の合間に思わず手に取って読み進めてしまうという困った本で、文字通り、意志が誘惑されています。
▼関連エントリー:
・朝一番すぐに仕事に取りかかれるようになるための寝る前の儀式
・わかっちゃいるのに動き出せない人のための一冊
・苦手な仕事に取りかかるための3つの方法
・習慣継続のための4つのアクション
・気の進まない仕事から先に片づけて後でラクをする方法
気づけば今年も残り2ヶ月を切りました。季節はすでに秋。どおりで寒いわけです。
秋といえば読書。ということで、ブログ「R-style」さんが「秋の読書週間」を企画されています。
締め切りは11月9日(月)だそうですので、この週末に一気にスパートをかけて書評エントリーをしようと考えている人は、要チェックです。
たしかに書評を書くのは手間・時間がかかります。しかしそれに見合うメリットはちゃんととあります。書評を書こうとするとその本とじっくり向かい合う事が必要です。読書メモを取ったりもするかもしれません。
ただ単に書いてある内容に頷くだけではなく、自分の考えではどうなのか、自分の生活において何か使えるものはないか、などと内容を咀嚼しながら吸収していくことができると思います。
そしてそうやって書き上げた物がもしかしたら他の人に影響を与えるかも知れません。
自分が受けた影響が外に拡がっていく感覚というのはなかなかすばらしいものです。というわけで、今回は「この”読書週間”を機会にして読書→書評の流れを行ってみませんか?」という内容の企画を立ち上げたいと思います。
ブログを運営していて書評を書く人、さっぱりとTwitterでつぶやきたい人の両方に向けた企画なっております。