朝から晩まで計画を立てるだけで実行が伴わなければ、いっこうに前に進むことができません。かといって、計画や準備の時間を惜しんで、いきなり実行に飛び込んでもうまくいかないでしょう。
そうなると、計画や準備は一日のうちどれだけの割合が適正と言えるのか?
成果を上げた人の時間配分
以下はあるアメリカ人の一日24時間の時間配分です。
- 7.0時間の睡眠。
- 4.0時間の計画、準備、読書。
- 8.0時間の行動。
- 5.0時間の交際、休養、レクリエーション。
それぞれのシェアは、以下のようになります。
- 睡眠
30%■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□ - 計画、準備、読書
16%□□□□□□■■■□□□□□□□□□□□ - 行動
33%□□□□□□□□□■■■■■■■□□□□ - 交際、休養、レクリエーション
20%□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■
ここでの「行動」とは要するに仕事の時間です。
さすがに一日の中でシェアがもっとも高いですが、計画や準備、そして読書(=将来の備えとなる活動)もざっくり行動の半分の時間が割り当てられていることがわかります。
お金を生み出す活動の半分を、その計画や準備に充てる、というわけです。
続いて、アメリカ建国の父、ベンジャミン・フランクリンの時間配分です。
- 7.0時間の睡眠。
- 3.5時間の計画、準備、読書。
- 9.0時間の行動。
- 3.5時間の休養とレクリエーション。
先ほどの例とほぼ同じ割合ですね。
従って、適正なボーダーラインは、「行動の半分」、ということになりそうです。
さて、この2人の共通点は、偉大な成果を残した人である、という点です。
最初の例の「あるアメリカ人」とは、「大富豪」であり、読者数40万人をほこる「EarlytoRise.com」(アーリートゥーライズ)という、起業家・ビジネスパーソン向けのメールマガジンの執筆者、マイケル・マスターソン氏です。
日本ではあまり知られていませんが、今回ご紹介した事例はいずれも彼の以下の著書から引いています。
ちなみに、僕の時間配分は以下のような感じでした。
- 6.0時間の睡眠。
- 4.5時間の計画、準備、読書。
- 11.0時間の行動。
- 2.5時間の休養とレクリエーション。
先の2人に比べると「行動」に減らす余地がありそうです…。
睡眠は短めですが僕としては足りているので、あとは「行動」の一部を「休養」に移せるようになることが課題ですね。
紹介されている時間管理の手法が・・・
本書を読んで印象に残ったのは、著者が実践している時間管理の手法です。
私の一日は前の日から始まっている。つまり、一日の課題リストは、前日の終わりにつくっているのである。火曜のリストは、月曜の終わりにつくり、水曜のリストは、火曜の終わりにつくるのだ。
まず、その日のリストの見直しから始める。どの課題が完了していて、どの課題が完了できなかったかを確認する。従って、新しいリスト、つまり、翌日の課題リストは、終わっていない課題で始まることになる。それから、その週の目標を見て、そのほかにつけ加えておきたい課題がないかを確認する。
まぁ、ここまではいたってオーソドックスですね。気になるのはこの次です。
スプレッドシートの列には、以下のような項目を設けてある。
- 完了させる課題
- 完了までの予定時間
- 完了にかかった時間
- 助手に任せた課題
たいていは、15分から1時間で完了する課題が20個くらいできることになる。
私はコンピュータで作業するのが好きだ。紙とペンを用意して、手書きでリストをつくりたいという人もいるだろうが、要は、楽しんでつくることである。
「スプレッドシート」の事例は掲載されていないため、それがどのようなレイアウトなのかは想像するしかありませんが、スプレッドシートを使っているということは、所要時間の計算はコンピュータによって行われているはずです。
つまり、TaskChuteに近い考え方で行われているのではないか、と感じたわけです。
前日の記録の読み返しからスタートする
さらに、以下のような記述も見えます。
私は、日記を使って一日を始めることにしている。著述家として、毎朝、何も書かれていないページや画面に向かう。何か有名な言い回しがひらめくのを待つよりは、前の日の日記を読み返してみることにしている。それを、その日書く文章のきっかけにする。
朝一番に、何時間も経った前の日に書いたことを読み返すことは、いささか強迫観念めいているかもしれない。何を食べたか、どんなエクササイズをしたか、どんな仕事をしたかなど。これは誰かに読んでもらうためのものではない(読まれでもしたら赤面ものだ)。
だが、自分のだらけた気持ちを引き締め、手の指を馴らす役目を果たしてくれる。5分くらい読み返せば、いつもそれで十分である。
すなわち、一日の最初の前日の記録を読み返すところからスタートしている、というもの。
こちらの記事でも書いたとおり、僕も前日の記録を読み返すことを毎日の仕事始めの儀式としているため、この部分はひときわ丁寧に、繰り返し読みました。日記の効用について、かなりのページ数を割いて解説しており、著者の思い入れを感じさせます。
以下、この儀式について書いた記事の該当部分の引用です。
僕自身、毎朝の仕事始めの儀式として前日の記録を読み返すことを続けていますが、これによって、
- 前日の仕事で引っかかったポイントがわかる
- その引っかかりを解消するという課題が設定される
という2つの結果が得られます。うつろいやすい記憶に頼るのではなく、消さない限り残る記録を辿ることになるため、記録に残したことは漏れなくフォローできることになります。
翌朝に確実にすくってもらえる、という安心感があるからこそ忙しい仕事の合間をぬってでも記録を続けることができます。後で見るかどうかわからないような状況では記録のことなど二の次になってしまいます。
記録を読み返すことで、前日に抱いた「これだけは記録しておきたい」という感情が蘇ります。この感情が「同じ失敗を繰り返したくない」とか「同じ成功を再現したい」という気持ちを今日の自分にバトンしてくれます。
本当に不思議なのですが、切羽詰まっている時には「次回はもっと早めに取りかかるようにしよう」と心に誓っているはずなのに、喉元過ぎればなんとやらで、その「次回」がやってきても、いっこうに「誓い」は実行されません。かくして前回の二の舞になってしまうのです。
この流れを断ち切るためには、記録という“聖火”を次回の自分にリレーする必要があるわけです。
追い求めるべきは夢ではなくゴール
『大富豪の仕事術』には時間管理の話だけでなく、
- 人生を変えるには実のところ何が必要か?
- 一番の夢を現実のものに変える方法
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- 電子メールは朝一番に読んではいけない理由
- お金を3年ごとに倍増させる5つの秘訣
- だれも知らない億万長者の「思考法」
などなどについて、著者が自身の実体験をふんだんに盛り込みながら解説しています。
ノウハウ(技術)というよりもマインドセット(心構え)作りに効く内容ですので、まとまった時間のあるときにじっくり読まれることをおすすめします。