ある会社員のタスクシュート活用例

By: Maryland GovPicsCC BY 2.0


今回は、私のセミナーなどによく参加されるKさんに、TaskChuteを実際会社でどのように活用されているのか、インタビュー形式で伺ってきたので、その内容をお送りします。

Kさんは東京都にお住まいで、会社では事務の仕事をなさっています。シゴタノ!を定期的にチェックしていただいているようで、特に海老名さんの記事が今は好きだということでした。

会社が予実の差異を見たがる

まず、TaskChuteを使うメリットをKさんに伺ったところ、意外な答えが返ってきました。「会社が仕事の予定を立てるように言ってきて、実際はどうだったかの差異を知りたがっている」というのです。

これはTaskChuteそのものと言っていいくらいで、実際全ての会社がこのようなことを望むなら、日本のビジネスパーソンはみんなTaskChuteを使い出すことになるでしょう。

佐々木「なぜ会社がそういうことを社員にさせるのですか?」

Kさん「売上があがっていても、残業代などで時間がかかっていたら利益がでないので予定を立てるようになりました」

こう言われると、会社がそうしたことを知りたがるのも当然だと思う一方、そんなことをしている会社は少ないだろうとも思います。いずれにせよ、会社の要求に応える上で直接TaskChuteが役立つこともあるのだと、新しい発見がありました。

予定を組むタイミングは?

TaskChuteでは「今日一日ではこれだけのタスクをやる」という見通しを最初に付けます。この「1日のタスクシュートを組む」という作業を、ユーザーがいつやっているのかに、私は興味を持っています。

Kさんはまず、会社へ行ってすぐに会社にあるTaskChuteを組むということでした。しかし、午後にもう一度組み直す。「朝来てから午前中の予定を立てて、午後は午後で立てる感じです」ということだったので、つまり1日2度「組む」時間があるわけです。

この辺は当然人それぞれではあるでしょうが、やはり「割り込みが入るからどうしても午後は、組み直しが発生する」ということのようです。実際割り込みが入っても入らなくても、仕事の進捗というのは刻々と変化するものであるため、いわば「リセットをかける」必要が定期的に発生するわけです。

それに、「午前中に終わるはずだったものが終わらず、午後に回すしかなくなる」こともあります。いわゆる先送りですが、これをしても大丈夫か、ないしは残業になるかを、あらかじめ知ることができるのも、TaskChuteというツールを使う強みです。

なかなか手の付きにくい仕事は?

そもそも先送りするのは、仕事に手をつけたくないという気持ちに責任がある場合もあります。

先送り対策としてTaskChuteが機能するのは、単純に「先送りする先にも仕事があることが視覚化されている」からなのですが、「無理」と「可能」のせめぎ合いが、日々のルーチンタスク処理によって、ブラッシュアップされるという事実も見逃せません。

日によっては調子よくたくさんの仕事をこなせる日もあるでしょう。
日によってはまったくダメな日もあります。

TaskChuteは全てをルーチン化し、全ての行動記録を蓄積していくので、

「これ以上やろうとするのはむちゃくちゃで、理想でも何でもない」から
「これ以下になったことはない」まで

自分という人間の持つキャパシティがかなりの精度で把握できます。このことにより「自分の平均能力値プラスα」を発揮しやすくなるのです。

佐々木「出社までに、TaskChuteでは何項目くらいありますか?」
Kさん「10項目くらいです」
佐々木「その10項目はだいたいできますか?」
Kさん「だいたいできます」
佐々木「毎朝やることだけが残るからですよね?」
Kさん「結局これならできるということになりました。その中でも、ちょっとは理想に近いものも入れられてる気がします」

以上は出社前の、自宅で起床してから通勤までの行動について伺ったやりとりですが、
ここにTaskChuteの重要な機能のことが述べられています。人はつい「理想的な時間割」を組みたがりますが、それはやはり机上の空論であることが多いのです。

しかし、何もせずにいると、さほど無理しなくてもできるレベルの行動すらとることができなくなってしまいがちです。

理想と機能不全の中間に、望ましいゾーンというものがあるはずで、TaskChuteはユーザーの平均より少し上の能力を発揮するにはどうしたらいいかを、これ以上ないくらい具体的に教えてくれるツールなのです。

» タスク管理ツール TaskChute2

タスク管理ツール・TaskChute2


▼編集後記:

タスクセラピーのコーチ陣から、2冊同日で電子書籍が出ました。

1冊はシゴタノ!で連載も始められている、浜中省吾さんの「会社員のためのタスク管理術」です。現役ビジネスパーソンでもある浜中さんのGTD。

もう1冊は独特の語り口が有名なjMatsuzakiさんの、やはりタスク管理術です。こちらは対称的に独立した人の独立するためのとは言わないまでも「志のためのタスク管理」といったところです。

余裕がある方は二冊読み比べてみてください。似通った手法がいかに異なる目的に役立てられるかが見えてきます。

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