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ということはよく言われています。そして、事実その通りです。
おっくうな気持ちで仕事を避けているときは、仕事の進捗は当然ゼロですし、進められるような気持ちすら湧いてきません。しかし、机について意識を仕事の方に向け、何かに取りかかり始めると、思っていたよりも前に進められることに気がつきます。
外から見ると急な上り坂だったけど、実際上ってみるとさほど傾斜はきつくなかった、という感じでしょうか。
が、そういうことを知っていてもなかなか着手できないことがあります。なんだかんだいって、机につく(あるいは特定のアプリケーションを起動させる)のが一番高いハードルだったりします。
そういう時は、「とりあえず」を活用しましょう。
とりあえず5分だけ
「やらなきゃいけないけど、面倒だな~」
という心の声を察知したら、「とりあえず5分だけやってみよう」と発破をかけましょう。実際着手し始めたら5分では済まないことは心の奥底では分かっていても、「5分だけやる」と考えれば、ずいぶん心理的ハードルは低くなります。
使い古された手段ですが、古典的で有効な方法でもあります。iPhoneのアプリなんかで、「とりあえず5分だけやってみようか」と女性(あるいは男性)の声優さんが声を掛けてくれるアプリがあるとより促進されるかもしれません。
とりあえず雑用から
だいたいの場合、本陣にいきなり切り込もうとするから、おっくうに感じます。
うまい人は、タスクを細分化して「ダンジョンに入ったら一歩目にボス」みたいな状況を回避しています。こうした細分化が出来なくても、「頭を使う作業」と「そうでない作業」に分けることはできるでしょう。で、気分が乗らないときは「今日は、頭を使わない作業だけをやろう」と自分に言い聞かせるわけです。
私の場合、書く気分が乗らないときは、「とりあえず前回分までを読み返そう」と心に耳打ちします。そうして読み返していたら、書きたい気分というのは盛り上がってくるものです。
読み返し以外では、テキストファイルの形式を整えたり、あるいはEvernoteのノートブックを整理することもあります。
なんにせよ、「これなら取りかかりやすい」作業をストックし、できればリスト化しておいて、とりあえず雑用から取りかかれる環境を作っておくとよいでしょう。
とりあえず(仮)で
初めから「完成品」を意識すると、肩に力が入ります。当然、必要なやる気の量も上がります。
やる気が足りないときは、「ちょっと試作品でも作ってみるか」ぐらいの気持ちにすると、取りかかりやすくなります。「ダメだったら、全部消せばいいし」と思っておくと、肩の力が抜けます。
もちろん、本当にそれを消してもいいですし、有効に活用してもいいでしょう。
少なくとも、取りかかれないまま悶々し、ネットサーフィンし続けるよりは、何かしら得るところはあるはずです。
さいごに
今回は3つの方法として紹介しましたが、他にもバリエーションはいくらでもあるでしょう。
それがどんな形であれ、「自分が取りかかれる気持ちになるような状況」を生み出せるかどうかが重要です。「これをやらなかったら怒られるなぁ~」というのをイメージするのだって一つの手段です。
自分の心の動きに敏感になり、何が効果的で何がそうでないのかを知っておくのがセルフマネジメントでは非常に重要です。
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▼今週の一冊:
メソッドという洗剤会社が、どのようにして大手が占有する寡占な業界の中で一つのポジションを築いてきたのかが紹介されている本です。
技術的なイノベーションがその背景にあったことももちろん確かです。しかし、単純にそれだけの話でもないでしょうし、本書ではそういう話はやや控えめに語られています。
注目したいのは、マーケティングに対する考え方。本書で提示される顧客との関係性は、これからのマーケティングのお手本とも呼びうるものです。また、「誰をバスに乗せるのか」という雇用に関する話も興味深いものがあります。
また、絶対に見逃せないのがデザインについてのお話です。パッケージデザインに対するこだわりも驚嘆すべきものがありますが、それ以上に著者二人が「会社組織」というものを徹底的にデザインしている様子が非常に面白かったです。「デザイン思考」は日本でも何度か話題に上がっていますが、今後はより実践的な形で(つまり、さまざまな企業で)これが必要になってくるでしょう。
マーケティング手法も、雇用のやり方も、それぞれが別の方向を向いていたのではまったく機能しません。
デザイナーがコンセプトをもとにしてレイアウトを決めるように、メソッドはカルチャーを軸にしてさまざまな要素の配置なり機能なりを決めています。「生産性をあげよう!」とはっぱをかけるのではなく、生産性が上がらざるを得ないような環境を持つこと。そんな会社の姿が浮かんできました。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。