「まあいいや」と一歩引き、
「もういいや」とあきらめて、
「どうでもいいや」と捨ててしまう。こんな生き方してて、
本当にいいのだろうか。
先日、とある本を求めて自宅の本棚を物色していたところ、奥に押し込まれていた別の本を“発掘”。
さっそく手にとってみる。
「おー、懐かしい! あぁ~付箋だらけ(笑)」
当初の目的も忘れてその場に座り込み、ほとんどのページに付箋の打たれたその本を読みふけります。
「うーん、ぜんぜんできてない(苦笑)」
毛筆でなければ、ここまで胸に迫ることはないだろう、と思えるほど。
この本の名前は『自分で選んだ道なのに』。
本書は薬師寺のお坊さんによる「言葉の贈り物」。以下、個人的に気に入っているものをいくつかご紹介。
なりきる
やりきる
思いきる
ここまでと
思ったら
そこまで
日々の
くりかえし
これに
飽きた
人が負け
これでいいのか
これでいいのか
そうは思うが
何もしてない
選べる道は
たくさんある
だけど
歩ける道は
ひとつだけ
野球なら
カーブも
フォークも
いいけれど
人と人とは
ストレート
ゆるせば+1
にくめば-1
その差は 2
いずれも横書きでしかお伝えできないのが残念ですが、本書の中ではこちらのページの「今日の一語一会」として紹介されているような縦書きの毛筆で書かれています。
ちょうど2年前に取り上げた時にもいくつか言葉を紹介しているのですが、当時と微妙にチョイスが変わっているのが我ながら面白いです。
» 本の感想を漢字1字で表してみる
道に迷ったとき、
人間関係に悩んだとき、
乗り越えられない壁にぶつかったとき
ひもといてみると、まさに心の内を見透かされているかのようなメッセージに出会えることでしょう。
心の「有事」に備えて、手元に置いておきたい一冊です。
著者の大谷徹奘(おおたに・てつじょう)さんの柔和な笑顔も素敵です。
それから、同じ著者による以下の本も(すでに入手困難ですが)好きです。
この本に収録されているお話を1つだけご紹介。
私は修学旅行で薬師寺を訪ねてくれる学生さんたちに、いつも『面倒と面白い』という話をしています。それは与えられた出会いの時間を、自分の顔との出会いの場にしてほしいからです。
話は15分程度の簡単なもので、代表の人に出て来てもらい「自分の嫌いな授業中の態度をしてほしい」とお願いすることから始めます。
そうすると、いろいろな仕草をしてくれますが、多くの場合は、腕組みをして目を閉じ、下を向きます。まさに、面(かお)が倒れて面倒の姿となるのです。
それに対して「自分がいちばん好きなことをやっている時は」と言うと、目標をにらみつけるような眼差しの顔をしてくれます。昔から目標を太陽に譬え、その太陽に照らされ、面(かお)が白(あかる)くなるので面白いと言うそうですが、これもまさに面白いの姿となるのです。
「面倒だな」と思うより先に「面白いな」と言えるようになりたいですね。
▼合わせて読みたい:
昨年のクリスマスに何人かの人に贈って、等しく喜んでもらえたのが以下の1冊。「開いたページに、あなたにぴったりの言葉がある」といううたい文句ですが、まさしくその通り。