前回の記事『自分が今できること、しなければならないことにしっかり向き合うための「不安分析マトリクス」』には、ツイッターでのコメント、Facebookの「いいね!」を通じてたくさんの好意的な反響を頂きました。誠にありがとうございます。
今回も引き続き、心を本来の状態に戻していくために、図を上手に取り入れる方法についてお知らせいたします。
直接震災・津波の被害がなかった方の中では、今、自分にできることは何かを一生懸命考え、行動に移していらっしゃる方も多いでしょう。募金や物資提供、被災地で飼えなくなってしまったペットの引き取り、ツイッターなどのソーシャルメディアを使っての情報発信など、出来るところから少しずつ、善意の輪が広がっているのを感じます。
その一方で、「私には募金するぐらいしかできない」「現場にいる人に比べたら自分の辛さなんて大したことないのに、どうしてこんなに落ち込んでしまうのだろう。こんなことではいけない」と、今自分がしている行動を否定したり、無理矢理自分の心をふるい立たせたりしている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
落ち込んでしまう原因。それは、自分のちょっとした行動が、事態の改善に繋がっている実感がまだわいてこないからです。感情的には決して認めたくないことではありますが、今回の震災は復興まで長期にわたることでしょう。募金したお金が、どういう割合で、どんなことに使われるのが最適かどうか、私たちはもちろんのこと、募金先の組織でさえも今すぐ判断できるものではないかもしれません。今後も手探りで、少しずつ、長く手を取り合っていく状態が続くでしょう。
そして、長い戦いだからこそ、今つらい思いをしている方々のことを、今のままの情熱をもって、継続的に、自分たちができることで支援していく必要があるのではないでしょうか。
私の両親は被害がひどかった福島県いわき市にいます。最近父に聞いた言葉が心に残っています。「最近福島の様子をテレビで放送しなくなってきた。自分たちが忘れられてしまうのではないか、見捨てられるのではないか、放送しないのは何か、国が隠しているのではないかと不安になる」
私は当初、放送しなくなってきたのは、それだけ事態が落ち着き始めたということだから良いことだ、と思っていましたが、現地では、そうは思えない人もいるのです。一番怖いのは、「非日常」から「日常」モードに戻り、継続的な支援をしていこう、という気持ちが薄れていくことなのだな、と実感しました。
自分の行動が事態の改善に繋がっている実感がすぐに見えない。そして、その不安は、自分がじたばたしてもなかなか思うようにならない場所にある。その中で継続した支援を続けていくための方法として今回提案するのが、意識的に自分を、実感がわくような仕組みにはめ込んでしまう方法です。
手法は簡単。1週間単位で、今回の災害のために何か役に立ちそうなことをしたら、その都度自分にポイントを付与することにします。そして、マス目を塗りつぶしグラフ化していくことで、自分の行動を意識的に「見える化」するわけです。
これは、私がプロデュースしている『朝活手帳』のメソッドを使っています。
写真のようなマス目をノートに書き写したり、エクセルで作成して手帳に貼ります。そして、日々自分が、現地のために行った行動をポイント化して塗りつぶしていきましょう。
その際、気をつけるのは、
- 1週間単位で
- 数字で見えて
- ちょっと頑張れば5日で達成できる
ような行動をポイント化することです。
(参考:早起き初心者がスタートアップでくじけないための3つのポイント)
例えばランニングが好きな私の友人は、1キロ走るごとに募金することにしたそうです。例えば5キロ走ったら5ポイント、マス目を塗りつぶして500円募金をすることにすれば、ただ募金をするだけでなく、グラフを塗りつぶしていくので達成感があり、前に進んでいる実感が持てるようになります。なにより、ずっと被災地を忘れることなく、継続的に支援しながらも、自分の目標達成もできるようになります。
エアコンを3時間使わなかったら1ポイントなどといったように、節電のための行動をするたびにポイントを加算するというアイディアも良いと思います。(朝活手帳のユーザーの方からアイディアいただきました)こうして、ちょっとした工夫で自分のマインドを、自分の手で上げていきましょう。
実は今回の話は、今、お伝えすべきことかどうか、迷いがありました。現場で必死に戦っている方々、未だ被災地で辛い生活を強いられている方がこの記事をお読みになったら、「ポイントなんて何をふざけたことを」と思われるかもしれません。
もともとポイントなどのモチベーションなしで、自主的に必要な行動を継続的にできている方にも、不快感を与えてしまうかもしれません。
しかし、あえて今、被害が比較的少なかった方に向けてこのポイント制をお知らせしました。なぜならば、当たり前にできていたことが当たり前ではなかったという、3月11日の気持ちを、ずっと忘れるべきでないと思うからです。
現在行動を起こせる環境にある私たちがすべきは、「どうしようもない」「行動しても意味がない」というため息で日本中を覆うことではありません。
心を強くもち、前に進むことです。自分の行動が少しでも復興に繋がっているということに自信を持ち、その気持ちを継続させていくことが必要なのです。
人間だから、心を強く持とう、といくら思っても、弱くなってしまう時もあるでしょう。実際私も毎日弱い気持ちと戦っています。でも、だからこそ、折れそうな気持ちを「図」という仕組みでサポートして行くのです。
日本に負のエネルギーを充満させても、何もいいことはありません。少しでも前を向いて、力強く、一歩一歩前に進みましょう。無理矢理頑張って「心を強く持とう」と気を張ることができなくなったり、自分のやっていることの意味が分からなくなったりしたときは、ポイントという仕組みを上手に使って、モチベーションを上げていきましょう!
▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。