知的生産活動はさまざまなプロセスを経ますが、それぞれにおいてリストが活躍します。たとえば、以下の5つです。
- ネタ帳
- 読書リスト
- やることリスト
- アウトライン
- テーマリスト
今回は、このうちの一つ「やることリスト」について考えてみましょう。
やることリスト:知的生産活動
まず、知的生産に関する「やること」のリストが必要です。
資料集めて、メモを作り、執筆活動に移る、というようなプロジェクト視点でのタスク管理も有用ですし、毎週金曜日に原稿を送信するといったスケジュール+リピート的なタスク管理もあれば有効でしょう。
どれだけ頭の中にアイデアが溢れていても、それを作り出す行為を「実行」できなければ成果は上がりません。ですので、管理するのはアイデアだけでなく、自分の行動も対象に含まれます。
やることリスト:その他
一応、知的生産活動に関する「やることリスト」だけでもことは足りるのですが、実際はそれ以外の活動のやることリストも作っておいた方がよいでしょう。
なぜなら、第一にその方が「現実的」なリストになるからです。なにせ日常には知的生産活動以外の「やること」がいっぱいあり、それが時間を次々と消費していきます。それを念頭におかないままに、知的生産の「やることリスト」を作っても、なかなか現実的なリストにはならないでしょう。簡単に言えば、予定している時間量を十分に確保できない結果となります。それを避けるためにも、知的生産活動以外の「やることリスト」を作っておくのが賢明です。
もう一つの理由として、知的生産活動以外の「やること」をいちいち覚えておくなど、脳のメモリーの無駄だからです。そういうのはさっさとリストに投げてしまって、十全に脳を知的生産に向かわせたいところです。
やりたいことリスト
上記二つのリスト(合わせて一つのリストになっていても構いません)があれば、日常は回せるわけですが、もう一つ作っておきたいのが「やりたいことリスト」です。知的生産に限定すれば、「書きたいことリスト」や「作りたい本リスト」となるでしょうか。
今すぐには取りかかれないが、目の前の仕事が終わったら次にやりたい企画、あるいはもう少し準備は必要だがいずれやりたい書籍案といったものもぜひともリストにまとめておきましょう。
お断りしておきますが、そうしたリストを作っても、その全項目が達成されることはまずありません。10%、いや1%も不可能かもしれません。それくらい、書きたいことは増え続け、しかし実際に書ける本の数は限られているものです。
つまり、このリストは未達が定められた悲しいリストなのです。
しかし、そのリストがあることで、「自分にはこれだけ書きたいこと(≒書けること)」があるんだ、という自信を持てますし、また自分が書きたいものの傾向といったものを俯瞰して眺めることもできるようになります。
「ここに書いたものを必ず達成しなければ」と思うと非常に重いリストになってしまいますが、「ああ、自分はこういうものを思いついてきたんだな」という感じで、着想のアルバムとして眺めると非常に効果的なリストになります。
さいごに
梅棹忠夫さんの自伝に『行為と妄想』というタイトルの本があります。妄想をたくましく膨らませていくことで、さまざまなアイデアが生まれてくるわけですが、それを行為に移せてこと現実に影響を与えられるようになります。思索と行為はセットになって、はじめて力を発揮するのです。
ですので、アイデアや情報に関することだけでなく、行動に関するリストも作っていきましょう。実務力はかなり大切です。
▼参考文献:
参考文献というのではありませんが、梅棹さんはその大胆な発想力だけでなく、さまざまな実務を着実にこなしていく遂行力も抜きん出たものだなと、改めて確認できます。
▼今週の一冊:
フーコーって、前から気になってたんだけど、ちょっと敷居が高いんだよね〜、という方にお勧めの一冊。彼の著作を辿りながら、彼がどうあろうとしたのかというスタイルも合わせて解説されています。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。