Evernote ユーザーの誰もがぶつかる、ノートブックとタグの使い分け

カテゴリー: Evernoteの育て方


前回紹介した三つの習慣で少なくとも毎日十数個のノートができるようになったと思います。これまでウェブページをブックマークしていた方は、Evernote にクリッピングしてしまえば、元サイトにいかなくても、オフラインでも情報にアクセスできることに新しい自由を感じる事ができたかもしれません。

しかし、最初は勢いがよかったのに、「情報を入れても、あとで見つけることができないのではないか」という不安が先に立ってしまい、しだいに Evernote を使うハードルが高くなるような気がするという人も多いでしょう。

そんな人はそろそろ、簡単なタグとノートブックを作るべき段階にきています。今日は Evernote で一番質問の多いタグとノートブックの使い分けについて、例を使って解説したいと思います。

 

学校のノートで考える

Evernoteのノートブックは、学校のノートのようなものだと考えるとわかりやすくなります。学校のノートは国語の時間なら国語のノート、数学の時間なら数学のノートというように、情報が混じり合うことはありません。Evernoteで作ったノートがかならず「1つのノート」に属しているのは、こうしたアナログのノートを踏襲しているからなのです。

つまりノートブックをつくるコツは、「人生」という学校でどんな授業を受けているのかを意識するという点にあります。たとえば私は「ブログ」「読書」「ワイン」に関して専用のノートブックを作って情報を蓄積していますが、その一方で「雑誌切抜き」「名刺」といったノートブックはなるべくつくらないようにしています。「名刺」という授業が私にはないからです。そうした雑多なファイルは「仕事の雑ファイル」ノートブックを特別に作って、片端から投げ込むことにしています。

国語の情報が数学のノートに書いてあったり、その逆があると、ノートが信頼できなくなってきます。それと同じで、Evernote にいくら情報を投げ込んでも不安を感じないようにするには、まずこの入口を大きなまとまりで分類しておくのがよいわけです。

でも片端からファイルを投げ込んでいると、その中からどうやって見つけたい情報をすぐに探せるのか不安になってきます。そんなときにタグを使うわけです。

 

タグはノートにつけた付箋

学校のノートを使っていて、重要な部分には赤、まだ理解が不十分な箇所には青で印をつけるようなカラーコーディングをされた方も多いでしょう。また、テストに出る場所に付箋をつけておくなどの工夫も基本テクニックですね。

こうした色や付箋は、「この部分は重要!」「ここは要注意!」というようなメタ情報、つまり「情報に関する情報」だといえます。

学校のノートの重要な場所や、要注意の場所といったように特定の意味をもったページが目につきやすくするためにつける付箋と同じ仕組みが、Evernote のタグなのです。ただ、ふつうの色ペンや付箋と違って、何十色もあって自在に付け外しができる点が違います。

このことを先程のノートとノートブックの対応の図に追加すると、このようになります。タグはノートブックをまたいでつけることができますので、「復習」すべき場所や「テストに出る」場所は各ノートブックにまたがって存在しているのがわかるかと思います。あとはテストの前に「テスト」の付箋 = タグを探せば必要な情報が全部手元に引き寄せられるのです。

 

タグとノートブックを混ぜてしまった例

でもかくいう私もタグとノートブックについてはいつも試行錯誤していて、あとで面倒な間違いをしてしまったことがたくさんあります。たとえば、自分に届いたハガキを全て「葉書」というノートブックで整理していたのに、その一つ一つに「葉書」というタグを付け直していたことがありました。

葉書がとても多くて、届いた日常的に葉書をながめるのが好きならノートブックを作る意味はあったのですが、私の場合はせいぜい年賀状しかありません。そこで葉書、名刺といった、「スキャンしておいて普段は忘れていていい」ものが入っているノートブックにこうしたノートを集約して、葉書にはそれぞれ年賀状2010といったタグをあとで振り直すことをしました。

まとめると以下のようになります。

  1. 人生で出会う情報をいくつか大きな「学校のノート」に分けるとしたらどんなわけ方をするか考える
  2. そのノートブックに関係することは次々にそのノートブックに放り込み、2次分類をタグで行う

これが、一番基本的なノートブックとタグの使いわけということになります。

Evernoteを始めたばかりの人はこうした試行錯誤を何度か繰り返すと思いますが、まずはこの2つのルールを意識してさえいれば情報の絞り込みがすばやくできるようになって「Evernote使えるじゃないか!」という気分が盛り上がってきます。

次回はさらに Evernoteに大量の情報を入れるための習慣についてみていきたいと思います。

では次回まで、Happy Lifehacking!

▼今週読み返した一冊:

内田百閒先生のとぼけた随筆や小説を繰り返し読むのが私のスキマ時間の楽しみです。週末、法事のために列車に揺られているあいだ、久しぶりに内田百閒集成 4 巻に収録されている「柳検校の小閑」を読み返していたところ、以前よりもより深く作品に入り込むことができて驚いたということがありました。

盲目の主人公が肌で感じる風の鋭さ、近くにやってきて吠える犬に対する恐怖、ほのかな恋心をいだいている相手が向こうからやってくるだけで心に湧き上がる喜び。そんな描写を、以前読んだときはただ文字情報として読み取っていたにすぎなかったのが、どういうわけか今回はまるで自分が盲目になったようなリアリティをもって感じられたのです。あるいは暑いくらいの春の日差しと、車内の光のコントラストが生み出したものだったのかもしれません。

こうしたことがあるから、本は再読せずにはいられません。読み終わった本にも、どんな発見がまだ待っているかわからないのです。

内田 百けん
筑摩書房 ( 2003-01 )
ISBN: 9784480037640
おすすめ度:


▼編集後記:

実はこの原稿、ほとんどを iPad 上で書いています。iPad 版の Evernote の日本語動作確認という目的もかねて使っているのですが、ブログの原稿を執筆したりするのにも問題なく使えてびっくりしています。

しかし iPad を使っていてなによりよいと思ったのは、写真や動画を家族・親戚に見せたときに、大きな美しい画面でとても喜んでもらえたときでした。Evernote にさまざまな思い出をいれておけば、いずれ iPad でそれを家族とシェアするときも来るのかもしれません。

日本での発売開始は1ヶ月後。家族の分も買おうと思っているので、やはり待ち遠しいですね!


▼堀 E. 正岳:
Evernoteエバンジェリスト。「Evernoteハンドブック」の執筆や「Evernote日本語掲示板」のモデレータを通して、愛してやまないEvernoteの育て方を伝道中。Lifehacking.jp主宰。

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