タスクシュート効果その1:「見え方」を変える



エンジニアのための時間活用術、第13回です。

前回は、タスクシュートは時間に対する誤った認識を改めるツールということで、次の3つについて詳しくご紹介しました。


今回は、より積極的に「見え方」を変える方法について考えてみます。

1.現実は表現されたもの

「見え方」を変えるうえで押さえておくべきポイントが2つあります。1つめは、人が目にしている現実というものは、持っている知識によって形作られているという事実です。

「恐いもの知らず」という言葉がありますが、知識がないからこそ大胆な行動を起こせるということはあるでしょう。すなわち、ルールを知らないことがプラスに作用するケースです。

ルールを知れば知るほど身動きが取れなくなることは身の回りにあふれています。

例えば、ストーブの熱さを知らない子どもは、ためらうことなく手を出すでしょう。その結果、熱さや痛みという感覚が知識として身につきますから、以後はおいそれとストーブに手を出すことはなくなるでしょう。

仕事においても、現実を目の当たりにするまではなかなか行動を起こせないということは少なくありません。

例えば、プレゼン1週間前になっても、何を話すかがまったく決まっていない、という状況に対して、「まぁ、何とかなるだろう」と高をくくっていると、たいていは手つかずのままに前日を迎えることになります。

こうして“痛い目”に遭うことによって、教訓が得られます。

「前日までには資料を仕上げないといけない」、「そのためには1週間前には少なくともここまでできていないといけない」などと、具体的な指標が得られるはずです。

言い換えれば「痛い目に遭う」ことによって得られる効果を、実際に痛い目に遭うことなく自分の中に再現できるようになる、ということです。

とはいえ、そのようにして得られた教訓はごく限られた経験をベースにしたものですから、常に正しいとは限りません。ストーブはいつでも常に熱いわけではなく、火が通っていない時はむしろ冷たくさえあるのです。

そこで2つめのポイント、現実はとらえ方によって変化することに注目します。

例えば、水が半分だけ入ったグラスを見て「もう半分しかない」ととらえるのか、「まだ半分もある」ととらえるかによって、現実は変化します。つまり、行動が変わるということです。

そう考えると、望ましい行動を引き出すような現実のとらえ方を身につければよいことになります。

2.「レンズ」を付け替える

ここまでのところをまとめると、人は一人一人がそれぞれに異なる「メガネ」をかけており、そのメガネを通してしか現実を見られない、ということになります。

メガネは、知識の量であり、現実のとらえ方でもあります。いずれも一朝一夕には変えられないものではありますが、それが人ではなくカメラだったらどうでしょうか。

カメラには、望遠レンズや魚眼レンズなど、用途と目的に応じてさまざまなオプションが用意されています。人と違って、カメラの場合はレンズを装着した瞬間から、そのレンズによってもたらされる効果を得ることができます。

人が時間をかけて勉強をしたり、現実のとらえ方を変えようと努力をする一方で、カメラはスイッチを切り替えるようにして一瞬で目的の自分(この場合は「目的のカメラ」)に変わることができるのです。

カメラにとっては、レンズを付け替えることによって強制的に被写体の「見え方」を変えていることになります。では、人にとってのレンズに当たるものは何でしょうか。

それは、広い意味でのツールです。ツールを使うことによって、現実の「見え方」が変われば、それにともなって行動も変わるでしょう。

そういう意味では、使うことによって「見え方」を変えてくれるツールは望ましいツール、ということになります。

では、どのように変えたらよいでしょうか。

3.ツールは「パワードスーツ」

例えば、建設工事現場で活躍するショベルカーは、人にとってのツールの1つです。

ショベルカーの機能は、穴を掘る、土砂を運ぶ、物を持ち上げる、などいくつかありますが、抽象化してとらえ直せば、それは人の手の動きに近いもの、といえるでしょう。ショベルカーを使えば、人が素手で掘るよりも早く深くきれいに穴を掘ることができます。

そう考えると、ショベルカーは人の「掘る」という機能を増幅するツールということになります。

少し古い映画ですが、往年の名作「エイリアン」の終盤に、乗組員の一人が宇宙船内で工事作業用の「パワードスーツ」を着てエイリアンと戦うシーンがあります。この時のパワードスーツの使い方がツールの使い方としてもっとも理にかなっているでしょう(少なくとも今回の文脈においては)。

そうなると、ツールを選ぶ基準としては、次の2つが挙げられます。

タスクシュートは、少なくとも「見え方」を変えてくれるツールといえます。今までざっくりとしか把握できていなかった時間をきっちりと捉えられるようになるからです。

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