前回は整理についての基本を考えてみました。
整理は、きわめて簡単にまとめれば
「必要なもの」を「最適な場所」に置く。
という形を作り上げる事が目標になります。
今回は「モノ」はどのように整理すべきなのか、について考えてみながら、「情報」の整理との差についてもみていきたいと思います。
3つの「モノ」
さて、目の前に「はさみ」「タクシーの領収書」「新聞で見つけた面白そうな記事の切り抜き」の3つがあったとします。この3つをどのように扱えばよいでしょうか。
はさみ
はさみは何かを切るときに使います。「いつ」使うかはわからないけども、使い方ははっきりしているものです。はさみ以外の以外の文房具などもこれと同様ですね。これらをツール(道具)と呼ぶ事にしましょう。
仕事中に頻繁に「はさみ」を使うのであれば、デスクの上のペンホルダーにでもいれておけばよいでしょうし、たまにしか使わないのであれば、引き出しに入れておいてもよいでしょう。
こういったツールは使用頻度に応じて置き場所をセッティングしておけば効率はあがります。これが一番簡単な「整理」の形です。
もちろん、使った物は置いてあった場所に返すというのが、「整理された状態」を維持する基本です。
・使用頻度に応じて置き場所を決め、その置き場所を守る事
タクシーの領収書
これは、会社員の方ならば経理にまわして経費として落とす、という目的の為に使うことになるかもしれません。個人事業主の方ならば確定申告のときに使うことになるでしょう。
このような「モノ」は、使うタイミングがはっきりしています。どの程度保存しておくかについてはその性質によりますが、扱い方は事前に決めておける物です。領収書の他に保証書や契約書などもこの分類になります。後で使うために保存しておく書類なので、これを保管資料と呼ぶ事にします。
どんなタイミングで使うか、どのように使うかもはっきりしているものは、目的別に保存しておくのがよいでしょう。領収書ならばまとめて一つのボックスへ。保証書などは単一のファイルにていれておくことで探す手間を省く事ができます。
・目的別に合わせてまとめて保存しておく
新聞の切り抜き
一番厄介なのがこのような「情報」の扱いです。切り抜き自身は「モノ」ですが、新聞そのものよりもそこに書かれてある「内容」に価値があったから切り抜いたわけで、例えばそれをスキャンして電子的に保存しても特には問題なさそうです。
「はさみ」をデジカメで撮影して保存しても、紙を切るときには何の役にも立ちませんし、保証書や法律に関わってくる書類はいまだに「現物」を求められる事が多いと思います。そういった意味でこれらは「モノ」としての価値の方が高いわけです。しかし新聞の切り抜きそれ自身には「モノ」としての価値はありません。むしろ「情報」的価値が大半を占めています。
この「情報」についての扱いがなぜ難しいかというと、「いつ」「どのように」使うかがはっきりしない物が多いからです。使う頻度もわからなければ、それが重要かどうかも事前に判断できないものがあります。
逆に、はっきりと使い方のわかる、あるいは使うタイミングのわかる「情報」に関しては「モノ」と同じような整理法が通用します。
例えばログインのためのパスワードは毎回参照するのであれば「ツール」として、忘れたときに参照するのであれば「保管資料」として扱うことができます。
しかし、「面白そうな情報・アイデア」はその時点ではいつどのように使われるか明確ではないので、上の二つのシステムでは整理することができません。
もう一つ言えば「記念品」や「思い出の品」も物でありながら、「モノ」と同じようなシステムでは整理できません。これらも「いつ」「どのように」使うかが明確ではなく、機能としてよりは感情としてそれらの物を必要としている場合が大半です。これらも「モノ」ではなく「情報」として整理するシステムが必要になるでしょう。
まとめ
今回は「モノ」と「情報」を分けて整理を考えてみました。「情報」をいかに整理するのかについては、かなり大きな問題なので次回に譲りたいと思います。
「モノ」の整理についてまとめておくと、
- ツール(道具):使用頻度に合わせて置き場所を決め、その置き場を守る事
- 保管資料:目的別に合わせて、まとめて保存しておく
となります。
この場合の「モノ」とは単に物質というだけではなく、使い方が明確にイメージできるもの、という意味合いです。
どのように使うかをイメージしていけば
「必要なもの」を「最適な場所」に置く
方法を具体的に考えていく事ができると思います。
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▼今週の一冊:
4月が目前に迫っています。4月から新社会人という方もおられると思います。社会に出る際はもちろんマナーなども重要ですが、デスクの整理の仕方、手帳やノートの使い方の基本も重要です。案外当たり前すぎて誰も教えてくれない、ということもあるかもしれません。図解でわかりやすく説明されている以下の本は、読んでおいて損は無いと思います。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。