「午前中に重要な仕事に取り組む」ための考え方



毎朝、その日に予定しているタスクすべてに目を通し、取りかかる順番に並び替えるようにしています。順番通りにいかないことも多いですし、並び替え作業にも時間と手間がかかります。それでも、ここでかけた時間と手間は一日の終わりまでに十分にペイします。

もちろん、慣れるまではこの並び替えは異様に時間がかかり、心が折れそうになるでしょう。「1時間近くかかる」ということもざらで、「こんなことをやっているヒマがあったらさっさと取りかかったほうが早い」と考えるのも仕方のないところです。

僕自身の、毎朝のこの並び替え作業にかかる時間は5~12分です。12分でも「もったいない」と感じられるかもしれませんが、この12分を惜しまずに投資すると、多少の割り込みや不測の事態があったとしても、「基本路線」を見失わずに済むために“大脱線”を避けることができ、最小限のダメージで一日を終えることができる、というリターンが得られます。

一日の時間の使い方はすべて記録に残しているので、この記録が翌日以降の並び替え作業の役に立ちます。続けるほどに、地に足の着いた並び替えができるようになり、かかる時間も短くて済むようになります。

希望的観測に基づいた非現実的なタスクリストではなく、前日までの実績に基づいた現実的なタスクリストが得られるわけです。

取りかかる順番を決めるためのヒント

並び替え作業に時間がかかる理由は「どれも最優先で一位を決められない」ということで悩みまくるからでしょう。

そこで、抱えている作業を次の2種類に分類します。

前者はいわゆる「重要な仕事」と呼ばれるもので、優先度も高いでしょう。でも、そのぶんプレッシャーも高く、従って、これを乗り越えられれば達成感も得られるでしょう。

一方、後者は「ルーチンワーク」と呼ばれるもので、相対的に優先度は低くなります。プレッシャーも低いため、手応えは限定的となります。

これを表にまとめると以下のようになります。



取りかかる順番を考えるとき、言うまでもなく「重要な仕事」 → 「ルーチンワーク」としたいところです。

でも現実には抵抗が大きいために「重要な仕事」に時間とエネルギーを奪われて「ルーチンワーク」にまで手が回らない、といったことが起こりがちです。

そこで、時間を読みやすい「ルーチンワーク」をまず片づけてしまい、残った時間を「重要な仕事」にあてるという戦術が良さそうに思えます。

たとえば、午前中に「ルーチンワーク」を片づけて、午後から「重要な仕事」に取り組むというフォーメーションです。

ただ、午後は午前中に比べるとパフォーマンスが下がりがちのため、そうでなくても手強い「重要な仕事」に手を焼くことになります。最悪の場合、やりきれずに翌日以降に先送りすることになるでしょう。

「今日も結局ほとんどルーチンワークだけで終わってしまった…」という敗北感。

では、どうすればいいか?

このジレンマから抜け出すには、「重要な仕事」に“前処理”を加えることです。

すなわち「重要な仕事」にいきなりアタックをかけるのではなく、その一部を切り出すのです。

「重要な仕事」でもそのうちの一作業であればプレッシャーも下がりますので、取りかかりやすくなります。

その際、同じやり方が通用する作業単位に切り出すのがポイントです。

言ってみれば「重要な仕事」と「ルーチンワーク」のいいとこ取りです。

優先度が下がるので、プレッシャーも下がり、その結果、達成感も「そこそこ」にとどまりますが、だからこそ「明日もやろう」と思えます。

プレッシャーが下がるので、午前中に配置しても問題なく取りかかれるようになります。



事例

以下の記事でご紹介した「とりあえずノートを読み返せばOK」は、プロジェクトを進めるという「重要な仕事」から切り出した、同じやり方が通用する作業単位の例です。

ノートを読み返しさえすれば、次に何をすればいいのかが分かる、ということは「ノートを読み返す」ことがイコール「プロジェクトを進める」ということになります。

「とにかくプロジェクトを進めないと」と焦るほどに空回りしがちなところを「とりあえずノートを読み返せばOK」と落ち着いて取り組むことができ、しかもきちんとプロジェクトが前に進むわけです。


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