朝一番にその日の最短ルートとなる「今日のタスクリスト」を作るうえで欠かせない最初のステップ

多摩川台公園にて

以下の記事で、朝一番にその日の最短ルートとなる「今日のタスクリスト」を作ることについて、その考え方とやり方を書きました。

» 朝一番に取りかかる順番を決めたら、可能な限りこの順番に沿って仕事を進めるのが最短ルートになる

毎朝、その日に予定しているタスクすべてに目を通し、取りかかる順番に並び替えるようにしています。このタスクリストに沿って、上から順に書かれているタスクを1つとして飛ばすことなく実行していくと、その結果は「その日に予定しているタスクすべてをその日のうちに終えるための最短ルート」になります。


このリストをきちんと作ることができた日は、きわめて快調に、ストレス少なめに仕事を進めることができます。

…が、予定が流動的だったり、優先順位が付けがたいタスクが多いと、このリストを作るのに手間取り、作る時間が惜しく感じられるようになります。

ベストな“打順”をあれこれ考えているうちに最初のミーティングの時間が迫ってきて、もやもやしたまま“見切り発車”を余儀なくされることもあるでしょう。「こんなことなら目に付くものからサッサと取りかかってしまえば良かった…」などと心の中で愚痴りながら。

そこで、この「ベストな“打順”」を素早く決めるうえで欠かせない最初のステップをご紹介します。

このステップを飛ばすと、時間がかかるうえに、それによっていくつかのタスクが“犠牲”になることもあります。

「今日のタスクリスト」を作るうえで欠かせない最初のステップ

結論から言うと、「明らかに今日はやらない(やれない)タスクをリストから排除する」ことです。

この点については『トリアージ仕事術』という本に非常にわかりやすい解説がありました。

ある課題に対して、考えられる解決策をできるだけ挙げる。そこで可能性の少ないものから除外し、最後に残ったいくつかに精力を費やして精度を上げていくという考え方です。

最初から「当たり」を探さないのです。「当たりでないもの」を省くのです。最初から当たりをつけて行動すると外れたときにショックが大きくなります。見当違いの解決法をいくら検討しても、正解からかけ離れていると、徒労に終わります。

最後の「徒労」がまさに時間を要する原因であり、真っ先に見極めて排除するべきターゲットとなります。

そのための考え方が、「当たり」ではなく「当たりでないもの」に注目する、というものです。

優先度の高いタスク(当たり)が複数あると、どれも甲乙つけがたいために、ベストな順番はなかなか決まりません。

そこで、優先度の低いタスク(当たりでないもの)をリストから取り除いていくことで、残るのは優先度の高いタスクばかりになります。

選択肢を減らすことで注意を向ける対象を絞り込むことができ、結果として優先度の高いタスクにより多くのリソースをふり向けることができるようになります。

個人的には、「当たりでないもの」を排除して、「当たり」ばかりの状況にしてしまえば、あとは順不同でもいいと思っています。ただし、時間帯ごとの向き・不向きは考慮に入れた方がよいです。

» 一日の過ごし方を時間帯ごとにきちんと決めるとうまくいく

トリアージとは?

ところで「トリアージ」とは何か?

同書に以下のような説明があります。

医療の世界には、「トリアージ」という優先順位のつけ方のルールがあります。一刻一秒を争う救命救急の医療現場では、まず誰を助けるか、誰を後回しにするか、と判断しなければなりません。この優先づけの技術をトリアージと呼びます。

もともと、トリアージとはフランス軍の衛生隊が始めたもので、野戦病院における患者を分けるシステムでした。

今は、多数の負傷者が出る災害や事故、戦争などに際して救急隊員や医師が患者を選別し、優先順位をつけ、治療に当たる際に使用される概念です。

日本では1995年の阪神・淡路大震災で広く知られるようになりました。

具体的には負傷者を以下の4つのタグで振り分けます。

どう逆立ちしても対処できない問題は、当面の間、優先順位から外します。タグの色で言えば黒色がこれに当たります。

したがって、治療できるか否か、つまり解決策が出そうか否か、をまず判断する能力が大切になります。

自分の力で無理そうな問題にうんうん捻って悩むよりも、諦めるときはスパッと諦めて、持てるパワーを次に回すことが大切なときもあるのです。

まさに黒色(当たりでないもの)を排除することが優先順位を付ける上では「最優先」になるわけです。

映画「戦場カメラマン 真実の証明」におけるトリアージ

そういえば、「戦場カメラマン 真実の証明」(2009年)という映画で、まさにこのトリアージを行っているシーンが出てきます。

主人公である戦場カメラマンが取材に訪れた1988年のクルディスタンの医療現場で、負傷者のうち手の施しようがない者を医者が拳銃で安楽死させるという、ショッキングなシーン。

以下は本作の予告編動画ですが、そのシーンが少しだけ出てきます(35秒あたりから10秒ほど)。



ちなみに、本作の原題が実は「TRIAGE」(トリアージ)なのです。

かなり重い内容ではありますが、トリアージのなんたるかが実に生々しく描かれており、ズシンときます。真っ先に「黒色」を排除することの大切さと切なさと…。

参考文献:

「今から2時間かけて大掃除するよりも、毎日3分間続けるほうが断然ラクだ」といった個人的に共感できる主張が多かったです。

また、著者は現役の医師(胸部外科医)なので、以下のような医療・健康トリビアがちょこちょこと紹介されており、興味深いです(トリアージとはあまり関係ないですが…)。


» 10の仕事を1の力でミスなく回す トリアージ仕事術[Kindle版]


映画「戦場カメラマン 真実の証明」はAmazonビデオで観られます(現時点ではプライム対象ではありません)。とにかく重いですが、とりあーず観てみてください。

» 戦場カメラマン 真実の証明 (字幕版)


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