アイデアの性質の四象限 | Aliice pentagram

カテゴリー: R25世代の知的生産

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前回は、分類に適した情報とそうでない情報があることに触れました。前者の整理は簡単ですが、後者はそうはいきません。特に「着想メモ」「スクラップ」「読書メモ」が扱いに困ります。

今回はこの問題について考えてみましょう。

関連づけの有無

一口に「着想メモ」といっても、その性質にはいろいろあります。たとえば、関連づけの有無はそれぞれに異なっています。

何かを思いついたときに、「あっ、これはあの企画に使えそう」と思いつくならば、そのアイデアの分類は簡単です。そのプロジェクトに分類してしまえばいいのです。

しかし、漠然としか使い道がわからない場合、その分類はやっかいさを持ち始めます。やり方としては仮想的なプロジェクトを立て、そこに分類してしまう方法でしょう。

極めてやっかいなのは、何に使うのかまったくわからないアイデアです。これは分類しようがありません。「分類せず」に分類してしまうか、せいぜい思いつくキーワードをタグ付けしておくくらいでしょう。

上記の話は、代表例として「着想メモ」をあげましたが、もちろん「スクラップ」や「読書メモ」でも同じことが言えます。

放置か育成か

もう一つ、アイデアの性質について違いがあります。それが、育成の必要性です。

思いつき、書き留めた段階でアイデアのひとまとまりが完成しているものもあれば、見出しの一文くらいしかないものもあります。その中間もあります。

すでにまとまっているものには手を加える必要はありません。必要に応じて引き出せる体制にしておけば十分です。

対して、さわりしかないものは、膨らませ、補完し、追記して「まとまった」状態に持っていく必要があります。そうでなければ、断片的なアイデアは漂い続けるだけで、定着する場所を持ち得ません。それはアイデアの死と同義です。

定期的に見返す、あるいは常に目に入るところにおいておくなどの処置を実施し、アイデアの育成にコミットしていくことが必須です。

二つの軸

「着想メモ」の性質を二つの観点から探ってみると、二軸の四象限が生成できます。



名前は便宜的なものですし、実際にこのように四つに綺麗にわかれるわけではありませんが、情報の性質をざっと把握するのには適しているでしょう。

用途が明瞭で、育成が不要であれば、それはもう「タスク」と呼べます。プロジェクトのタスクリストにでも追記しておけばOKでしょう。

用途が明瞭で、でも育成が必要ならば、それはメモです。定期的に参照して、追記や検討を行う必要があります。日々のプロジェクトの振り返り、あるいはプロジェクトレビューがそのタイミングとなるでしょう。

用途が不明瞭で、育成が不要であれば、それは「しかるべきタイミングをまっている情報」です。大切に保管しておき、必要になったらさっと取り出せる状況にしておくと良いでしょう。タグ付けして、検索で見つけ出せるのならば完璧です。たまに見返して、「別の情報を関連づけられないかな」を自問してみるのも良いでしょう。

用途が不明用で、育成が必要であれば、それは漬け物のように手をかけていく必要があります。放置してしまえば、腐るだけでしょう。専用の場所を用意し、一日に一回、少なくとも一週間に一回程度はその場所を閲覧して、アイデアを「こねこね」することで、育てていきます。その中で、用途が明瞭になったり、育成が不要になれば、置き場所を変えることになるでしょう。

さいごに

「着想メモ」(アイデアメモ)と表現すると、非常におおざっぱな理解となってしまいますが、その性質を見つめてみると、最低でも4つのパターンが浮かび上がってきます。もちろんそれぞれの性質に合わせて、管理手法・整理手法も変えていかなくてはなりません。

こう考えてみると、「一つのツールに放り込んでおけば、なんとかなる」という態度がいかに乱暴であるのかもわかります。アイデアの扱い方にも繊細さが必要です。

▼今週の一冊:

拙著です。若干古い本ですが、Kindle版が2月のセール対象になっているので、ご紹介させていただきます。Evernoteというツールを知的生産活動にいかにはどう使えばいいのかを解説した本ですが、「知的生産とは何か?」を解説する本でもあります。

» EVERNOTE「超」知的生産術[Kindle版]


▼編集後記:




おかしいですね。もう2月の半ばです。というか後半戦です。今のところ地味なリライト作業を延々と続けています。これがまあ面倒な作業なのですが、ジグソーパズルみたいにやみつきになる魅力もあります。不思議です。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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