想定した読み手に最後まで読んでもらえる文章を書くためのチェックリスト



『「分かりやすい表現」の技術』という本を9年ぶりに再読して、分かりやすい文章を書くためのポイントをチェックリスト形式にまとめてみました。

オリジナルは16のポイントが紹介されていますが、今回は目的を「想定した読み手に最後まで読んでもらえる文章を書く」に定め、7つに絞り込みました。

以下は、『「分かりやすい表現」の技術』に掲載されているオリジナルの16のポイントです。

これらのうち、今回の目的である「想定した読み手に最後まで読んでもらえる文章を書く」うえで外せないポイントのみ(太字の項目)をピックアップし、チェックリスト形式にまとめたものが以下です。

僕なりの解釈をもとに“意訳”している部分があります(末尾のカッコ内の数字はオリジナルの項目番号です)。

想定した読み手に最後まで読んでもらえる文章を書くためのチェックリスト

それぞれのポイントについて、改善例をビフォーとアフターに分けて記載しています。

1.読み手の理解を助けるための工夫をしているか?

言葉で説明する代わりに、図や表で示せないかを検討します。

手間はかかりますが、効果は極めて高いです。

▼ビフォー:
引用は『「分かりやすい表現」の技術』より(以降も同様)。

電話帳機能と親子間通話機能は、すべての機種SX-05、SX-50、SX-550に装備されています。

SX-50とSX-550はさらにナンバー・ディスプレイ機能に対応しています。

最高級モデルのSX-550には、盗聴がほぼ不可能といわれているデジタル子機、また電話番号を2つ使えるダイヤルイン機能にも対応しています。

▼アフター:

 SX-05SX-50SX-550
電話帳機能
親子間通話
ナンバー・ディスプレイ対応×
ダイヤルイン対応××
デジタル子機××

※『「分かりやすい表現」の技術』に掲載されている表をもとに当ブログで作成

2.読み手の費用対効果が赤字になっていないか?

読むのにかかる時間と手間(費用)は、それによって得られるメリット(効果)に見合っているか。

メリットの多寡については数値化は難しいので、方針としては伝達濃度を削ることなく、いかに短くまとめられるか、だと考えています。

▼ビフォー:

当社の甘味料スウィート・ゼットに環境ホルモンのクロロトリチエン化アミンが含まれているとの趣旨で、7月13日に厚生省より発表されました。

しかし一部マスコミの誤解により、クロロトリチエン化アミンの含有量がWHOの許容基準を超えているとの誤った報道がなされました。

翌日、厚生省も紛らわしい発表であったことを認め、スウィート・ゼットのクロロトリチエン化アミンの含有量が一般家庭の上水道の含有量を下回ることを発表し、NHK等でも報道されたのは、ご承知の通りです。

しかし遺憾ながら、当社の申し入れにも拘らず、一部報道機関は、事実誤認に基づいた報道の訂正を拒否しており、今日に至っています。

0.002ppmの含有量で環境ホルモン作用が確認されているのはクロロトリ塩化アミンであり、クロロトリチエン化アミンと混同されているのが現状です。

WHO1997年の基準では、クロロトリチエン化アミンは、日本の水道水の含有量の2万倍、スウィート・ゼットの含有量の50万倍である4.00ppmでも環境ホルモン作用は確認されていません。

▼アフター:

誤解です!
スウィート・ゼットに環境ホルモンが入ってるんだって!!

真実は!
スウィート・ゼットはWHOの基準をはるかに超えるきびしい基準を満たしている安全な食品です。

スウィート・ゼットは、ほとんど力ロリーを含まない、植物性の安全なダイエット甘味料です。

詳しい科学的データは、http://www.worldfood.co.jp/ より入手できます。


3.全体地図 → 詳細の順に伝えているか?

例えば、この記事は、全体地図 → 詳細の順に書いています。

冒頭に掲げている、チェックリストが「全体地図」で、これに続く本文が「詳細」です。

4.誤解の余地はないか?

書き手が意図した以外の解釈が読み手によってなされないか。

この点は終わりなき追求といえるところで、

ことを時間のゆるされる限り続けることが対策となります。

▼ビフォー:

エンジニアのための英語攻略

▼アフター:

以下のように2つの解釈が成り立つので、それぞれの解釈に応じて書き分けます。

エンジニアのための「英語攻略」
「エンジニアのための英語」の攻略


5.一読で伝わるか?

一度読んだだけで理解できるか。

この点もまた終わりなき追求といえます。

ベストを尽くすのみです。

▼ビフォー:

電子メールがもたらすことは、情報の伝達時間が限りなくゼロになるだけでなく、電話や会議と違い、情報の送り手と受け手が同じ時間を共有する必要もなくなり、しかも電話とは違い、記録が明確に残ることなどです。

▼アフター:

電子メールが主にもたらすことは、3つあります。

1つめは情報の伝達時間が限りなくゼロに近づくことです。

2つめは、電話や会議と違って、情報の送り手と受け手が、同じ時間を共有する必要がないことです。

そして3つめは、電話と異なり、記録が明確に残ることです。

▼さらに:

以下のように「である調」に書き換えた上で箇条書きにすると、読み手の負担がさらに軽くなります。

電子メールが主にもたらすことは、3つあります。

  • 1.情報の伝達時間が限りなくゼロに近づく
  • 2.電話や会議と違って、情報の送り手と受け手が、同じ時間を共有する必要がない
  • 3.電話と異なり、記録が明確に残る


6.なくてもよい情報が含まれていないか?

例えば、以下はこの記事を書くときに、当初盛り込む予定だった項目リストと、最終的な項目リストの違いです。

今回の目的に沿っていない項目は割愛しています。

▼ビフォー:

▼アフター:


7.具体例を示しているか?

文章を読んだ人が、読み終えた後に行動を起こそうとしたとき、判断に迷う要素はないか。

先回りして可能な限り手を打っておきます。

▼ビフォー:

費用が著しく大きい場合を除き、社員は、直属上司の承認のみで、事務機器の購入をすることができる

▼アフター:
「著しく大きい」って具体的にいくらぐらい? → 「7万円を超える」
「事務機器」って例えばどんなもの? → 「プリンター、スキャナー、モバイル機器、デジタル・カメラ等の事務機器」

一回の費用が7万円を超えない場合、社員は、直属上司の承認のみで、プリンター、スキャナー、モバイル機器、デジタル・カメラ等の事務機器を購入することができる


まとめ

今回の記事を書くために、改めて『「分かりやすい表現」の技術』に掲載されているオリジナルの16のポイントをじっくりと読み返してみたのですが、内容的に重複する部分があり、いくつかのポイントを一つにまとめられると感じたため、最終的には7つになりました。

以下、再掲します。


もちろん、目的によってはどのポイントをピックアップするかも、まとめ方も変わると思いますので、文章を書くことにとどまらず「分かりやすい表現」に関心をお持ちの方はぜひご一読をおすすめします。



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