この店については、以下の記事でも取り上げたことがあります。
「お客様は神様です」と言いますが、果たしてそうでしょうか。近ごろ、コンビニの前では若者がしゃがみ込んだりして、本当に見苦しいですよね。立ち読みだけで買わないどころか、強盗を企てるようなやからもいる始末です。これではとても神様とは呼べません。 では、どうすればいいのでしょうか。答えは一つ。「買わん客は来んでエエ、行儀の悪い客は店に入れへん」です。
「客足が遠のく」という不安もありますが、心配はありません。売り手市場を作ればいいだけのこと。これは消費者をもうけさせ、「買わなければ損」という状況を作り出せばいいのです。「買う側の競争」ならば、お客さんが押し寄せて売り手市場になります。
『選客商売』(p.16)
この店は(僕は行ったことはありませんが)、激安な代わりに「日本一買い物が難しい」と言われています。
どう難しいかというと、
- 1.試着ダメ
- 2.包装ナシ
- 3.子供連れお断り
- 4.返品・交換ナシ
- 5.アベックお断り
- 6.見た商品はきちんと畳んで戻す
- 7.飲食禁止(ガム禁止)
- 8.私語禁止
- 9.レジは1人1日1回まで
など11ヶ条の“取引条件”を満たさなければ、「こわいおばちゃん」に怒鳴られてしまうのです。
でも、この条件があるおかげで、店としては余計な人件費や経費を削減でき、そのぶん安くできる、というわけです。
挑戦しがいのある「禁止」を取り入れる
「ファンデの舞台裏」に以下のような説明があります。
マナーを守らない方は、入店お断りです。
当店にはきれいなマネキンに着せたディスプレイもありませんし、ショーケースはもっぱらダンボール箱、手荷物の持ち込みも禁止で、貴重品以外の持ち物はすべてお預かりして、こちらが渡すビニール袋で買い物をしていただいています。
実際に利用する人は、最初はケンカして「もうこおへんわ!」と怒って帰って行くものの、結局また来るのだとか。
そして、何度か通って仲良くなるといろいろアドバイスしてくれるそうです。
それゆえ普通の店ならお金を払えば買えるのに、この店では入り口の“チェック”を通過して、途中で怒鳴られることなく欲しい商品を選び出し、レジで無事会計を済ますまでの道のりは山あり谷ありのスリリングな冒険です。
こういったゲーム感覚が買い物をしたくさせているのではないかと想像します。
ダイエットでは「夜9時以降は一切食べ物を口にしてはいけない」という禁止を掲げると辛くなりますが、それは自分の欲求を禁止するからでしょう。
同じ禁止でも「ファンデ」のように、買い物というゲームのルールの一環としての禁止であれば、「いっちょうやってやるか!」という気持ちになります。
長続きさせたい習慣がある場合、このような「禁止」をうまく取り入れると良いかも知れません。
毎日の習慣の開始時間をきっかり守る
僕自身の例でいえば、毎日の習慣の開始時間を守ることをルールにしています。
- 8:00きっかりに朝食開始
- 12:00きっかりに昼食開始
- 17:00きっかりに夕食開始
- 21:00きっかりに歯みがき開始
いずれも、きっかりでなくてもさほど問題のないことばかりでしょう。
それでも、きっかり守ることにこだわる。
日々記録をつけていますので、ふり返ったときに、これらの開始時刻がぴったりそろっていると気分がいいのです。だからといって誰かがごほうびをくれるわけではなく、純粋に自己満足です。
それでも、実際に守ろうとすると、おのずとその前後の予定にも注意が向くようになります。早く始めないと間に合わない、ということで、集中力がアップしますし、余計なことをしなくなります。
「だるまさんが転んだ」に似ています。きっかりタイムがやってくる前にとにかく進められるところまで進めてしまう。
もちろん、外出の予定がはいればこのルールは二の次になりますが、可能な限りこのルールに従って過ごしていると、毎日にビートが生まれ、好ましいウェーブに乗れるようになるはずです。
参考文献:
ファンデの経営哲学については以下の本に詳しく解説されています。
» 選客商売