『「クリエイティブ」の処方箋』から学ぶ6つのヒント

カテゴリー: R25世代の知的生産

By: Marie BuyensCC BY 2.0


『「クリエイティブ」の処方箋』という本を読みました。

» 「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86


いかにしてクリエイティビティーを発揮していくのかに関するヒントが86個詰まった本です。

さて、86個とはなかなか数が多いものです。そこで、共通する何かでまとめられないかを考えてみました。うまくまとめられれば、抽象度が少し上がる代わりに、俯瞰性は増すでしょう。全体の感じを掴むなら、その方が都合は良さそうです。

そこでやや強引ではありますが、6つの「見出し」を作ってみました。86個のヒントをカテゴライズする「見出し」です。

6つのヒント

まずはやってみる

ブレストでは、どれほど些細なことでも思いついたら口に出した方が場が盛りあがります。また、周りの人もそれを批判しない決まりがあります。なぜならアイデアの価値は、事前には判断できないからです。

そこで、とりあえずやってみるのがよいのです。口にする、試してみる。そんなことをしてアイデアの価値を確かめてみるわけです。

口に出してみて、文章に起こしてみて、実際に行動してみてわかることはいろいろあります。そうしてわかったことを踏まえて、全体の方向性を少しずつ修正していくやり方は案外効率が良いものです。商品開発における早期のプロトタイプ作りもこれと同じでしょう。

現実的な問題をまったく考えないのは無謀ですが、最初の段階でそれを考えすぎると、新しいものは生まれてきません。考える順番というのが大切なのです。

問題を見つける

問いがあるから、答えが生まれます。

もちろん、手にした「答え」に合わせて問題を設定することもできますが、問題があればさまざまな答えが触発されて出てくることもたしかです。よって、さまざまな場所に「問題」を見いだす力が、クリエイティビティーの源になります。

これは言い換えれば、世の中にあるものを「当たり前」だと思わない、とも言えます。「当たり前」だと思えば、変化の可能性も必要性も消え去っていくでしょう。そうなれば、問いもまた消失していきます。

これは自分自身のやり方についても同様です。自分を変化させていく人は、自分のやり方を「当たり前」だとは思わず、常に改善の可能性を探っています。問題を見いだそうとしているのです。その視線がなければ、発想テクニックがいくらあっても発揮される機会は生まれてこないでしょう。

組み合わせを変える

発想法の基本中の基本です。これを解説するだけで、アイデア技法の本が一冊書けます。

とりあえず、アイデアを考える段階では、「常識」__ここには、これを置く__をまったく無視してみることが肝要です。「常識的」な組み合わせは、それが常識となっているのですから、すでに誰かが試しています。よって新しいものにはなりえないのです。

「それとそれをくっつけるのか!」
「ここにそれを持ってくるの?!」

と驚かれるような、ときには拒絶されるような組み合わせの中に、新しいアイデアは眠っています。

極端にやる

ある対象を知るなら、徹底的に本を読み、新聞を調べ、人に話を聞いて回る。あるいは、自分で本が書けるくらいまで勉強する。

あるものを作るなら、他の人が「まあいいか」と手を抜いてしまう部分にまでこだわりを加える。

「まあまあ」な姿勢で出てくるものは、やっぱり「まあまあ」なもの(あるいはそれ以下のもの)です。求められているものが「まあまま」なものであればそれで良いのですが、クリエイティブを仕事にしようと思うなら、それだけでは足りないでしょう。

慣性より感性

慣性とは、「これまでこうなっていたから」とか「皆がこうやっているから」という考え方です。それよりも「自分はこう思う」や「自分はそれに違和感を覚える」といったものを軸におくことで、個性と呼びうるものが立ち上がってきます。

もちろん、そうしたものを大切にすると、ときに批判されたり、非常識だと罵られたりはします。でも、だからこそ新しいものが生まれてくる下地が育つわけです。先ほども書いたように、新しいアイデアは常に「常識外」なのだから仕方がありません。

知的好奇心を大切にする

たぶん、これが一番大切なことでしょう。

知りたい気持ちは問いを誘発させますし、自分の中から自然と立ち上がってくる疑問は、自分自身のオリジンと密接に関係しています。

外の世界に向けた知的好奇心、そして自分自身に向いた知的好奇心。その両方がバランス良く機能していると、たぶん誰に言われるでもなく、何かを生み出したい気持ちになるのではないでしょうか。

クリエイティブは、強制するものではありません。あなたが脳に「さあ、アイデアを考えたまえ」と命令し、脳が「サーイェッサー」と答えてアイデアを出す、ということはないでしょう。発想とは脳の自発的な反応で、発想技法はその反応をより強く・より効果的に引き出すものでしかありません。

世界、あるいは自分に対する関心を失えば、創造性もまた同時に力を失います。

さいごに

というわけで、86個のヒントをかなり無理矢理6個にまとめてみました。具体的なヒントが気になる方は、本書を参照くださいませ。

もちろんこれらのまとめ方は私の恣意的なものでしかありません。正確さはさておいて、「まずはやってみる」を実践したわけです。

というわけで、本書をお読みになった方も自分なりの「見出し」(とカテゴライズ)を考えてみると面白いでしょう。あるいは、全然別のアプローチでまとめ直してみるのもクリエイティブの練習になるかもしれません。

» 「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86


▼編集後記:




再度の告知となりますが、東京でミニイベントが行われます。適当に集まってわいわいやろう、ぐらいの雰囲気で、参加人数もそれほど多くないので、わりといろいろな話ができるかと思います。よろしければどうぞ。

らしたさんを囲む会@関東 – 考えることが好きな人たちの勉強会 | Doorkeeper


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。

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