TaskChuteはタスクリストのついたログツールです。
そもそも日報のためのツールだった
次の引用はかなり古い大橋悦夫さん自身による記事からのものです。2006年の2月の記事ですからすでに6年前ということになります。
白紙に一から記録をつけるよりも予め下書き(あるいはフォーマット)がある状態で記録をつけることになるため、このタスクリストが未来の予定であるだけでなく、ここに実際の作業結果を書き足していくことで、後から自分の作業を振り返るための(過去の)記録として活用できるようになります。
もともとこうした発想を大橋さんはお持ちだったわけです。
白紙に記録をとるよりも、何についての記録であるかの下書きやフォーマットがあった方が、容易に記録を残すことができる。
そうしたフォーマットを利用してやったことを追記していけば、自動的にログができあがる。
つまりログを残そうと思えば、下書きとしてのタスクリストが先にあるべきで、タスクリストを下書きだとすれば、チェックを入れたものが日報などになってしまうわけです。
タスク=ログなのです。
タスクリストとは、ログの入力支援リスト
大橋さん自身がTaskChuteのことを「未来のタスク管理であると同時に、後から活用するための作業記録になるようにするための具体的な方法」と述べています。
こうした発想を元に作り出されたのがTaskChuteなわけですから、TaskChuteの原型がTogglのようなタイムログサービスに近いものだとしても不思議はありません。
aTimeLoggerだろうとTogglだろうと、タイムログを10日もつけていれば「この項目は何度も入力するよな」という経験をするはずです。
だったらそれをタスクリストとしておけば便利に決まっています。
iPhoneアプリなどであればますますそうでしょう。
とらえようによってはタスクリストとは、ログの入力支援リストなのです。
決して予定などではなく、いわゆる「ToDo」ですらありません。
タスクリストを作っても割り込みが入るから意味がないとか、予定通りに終わらせられないからストレスになる、というのはだから誤解なのです。
作業ログを最も容易に残す方法は何か?
極端ですがそう考えてみましょう。
それは入力項目が作業する順番通りに並んでいて、ただ開始した時刻と終了した事項を記入するだけのケースであるはずです。
実際にはそんなことは起こりえないでしょう。
しかしそれが最も簡単であることはたしかで、TaskChuteはその巨大な拡張版に過ぎないのです。
ログにToDoがついていたら便利なはず
ログの入力支援としてToDoを用意するという発想は何ら奇特なものでも異常なものでもありません。
多くの人がチェックインを忘れると嘆くFoursquareにしても、予定した場所を訪れたらリマインドくらいしてくれても良いはずです。
だいたいスポットに訪れるときには、そこを訪れる予定であることは分かっています。
風の向くまま気の向くままに、気がついたら編集さんと打ち合わせるための珈琲屋に来ていたなどということは、少なくとも私にはありません。
多くの場合、予定がログになります。
ToDoもログになります。
縛りのキツイ予定ほど、確実なログになるでしょう。
試みにGoogleカレンダーなどのカレンダーを1年分くらい遡ってみて下さい。
予定が終わる度に削除するという人でなければ、それはログになっているはずです。
TaskChuteは縛りの緩いToDoを、ログとして受け止める直前の形式を用意することによって、ややキツイ縛りをタスクに付加しているとも言えます。
そうであっても「ログとして機能しよう」としているツールであることに変わりはなく、決してスケジューラーとして機能しようとはしていないのです。
TaskChuteのタスクにつぶつかるのは「やるべき時がきたから」ではなく「やるべき順番が来たから」なのです。
今のまま行くとそれが何時頃になりそうかのシミュレートはしてくれますが、何時何分にそれをやるべきかということは、分からないのです。
Follow @nokiba
しかしどうしてログを残すとそんなにいいというのかと思う人も多いでしょう。私にしてみれば家計簿をつけずに貯金しようとするのは、海図をもたずに航海しようというのと同じ、明らかに無謀なこととしか思えません。
体重を量らずにダイエットしようとか、時刻表なしで鉄道の旅をしようということにも似ています。ふつうの人には無理だと思うのです。
ログをとっても見返さなければ意味がない、というのはそうですが、ログがなければそもそもなにも見返せません。ログがあればいつでも見返すことができます。まずはログを残す。後のことはそれからです。
やせたいという気持ちや貯金したいという気持ちをキープし、ログをとることをやめなければ結果が出る。ということを具体例を交えてお伝えしている本です。