睡眠時間を短くする14のコツ<前編>

By: peasapCC BY 2.0


どんなに忙しくても睡眠は食事と並んで欠かすことのできない時間の1つです。でも、効果をキープしながらこの時間を可能な限り短くできれば、可処分時間(可仕事時間)を増やすことができる最後の手段とも言えます。

何があっても睡眠時間だけは削りたくない、という方はこの先は読まない方が良いかも知れません。。

『眠りを減らせ!』からのご紹介です。



まず、同書では、睡眠についてさまざまな実験や研究をもとに以下のような結論を提示しています。

これらを踏まえて14の秘訣としてまとめられています。今回は前編として1~7をご紹介します。

1.浮かした時間で何をしたいかを明確にすること

1日に1時間から2時間も余暇が増えるから」とか「時間があればいろいろなことができる」などというようなあいまいな気持ちではじめないほうがよい。よほどはっきりとした特別な動機がない限り、朝ふとんから出るのはそう簡単なことではない。動機というのは非常に大切な要因で、はっきりとしていれば実に大きな力となるだろう。

(中略)

睡眠時間を減らしはじめた最初の日に、浮かした時間にしかできないこと、他の時間にはそれをしている余裕のないようなことをする。そうすれば、睡眠時間短縮プログラムが先に進むにつれて、同時に何かが成しとげられていくので自然に熱意がわいてくる。

ハナニンですね。

2.体調のよいときにはじめること

はじめないほうがよいとされるのは、以下の2つの場合。

 (1)「特にストレスがたまっていたり、重い睡眠障害にかかっていたりするとき」など「普段よりも休養を必要とするとき」
 (2)ふだんよりも大変な状況に直面しているとき(出産を控えていたり、新しい仕事についたりしたときなど)

3.2週間のオリエンテーション期間を設けること

2週間の助走期間を設けること、具体的には、毎日、睡眠時間とその日の気分を記録することが推奨されています。

睡眠時間を記録するだけでなく、その日の気分の状態も記しておくこと。つけるかつけないかはその人の自由というのではなく、必ずつけなくてはいけない。何時間の睡眠をとったかということを毎日正確に書きとめておく訓練をする必要がある。そうでないと、頭の中でだいたいの時間を見積もって適当にごまかしてしまう可能性がある。それに、記録をしておけば睡眠時間短縮の経過を全体的に把握することができる。

全体的な進み具合がわかっていると、たとえうまくいかない日が2,3日あっても、さほど気に病まなくてすむ。

また、その日の状態を簡単に記しておくことは──たとえば「午後は非常に疲れを感じた」とか、「今朝はベッドから出ることが全然つらくなかった」などというように──いろいろな意味で非常に役に立つ。それを記入することは、睡眠時間短縮の進行状況を明確に示すだけでなく、自分自身を励ますための心強い話し相手の役割をも果たすのだ。

『パフォーマンス・マネジメント』で言うところの好子につながるということですね。

4.睡眠スケジュールにこれだけは必要な条件

 (1)1日の睡眠時間を一定に保つこと
 (2)毎日同じ時間に寝起きすること

次の日の気分を左右するのは何時間眠ったかということではなく、いつもの時間に寝起きしたかどうかだということが、研究によって明らかにされている。

睡眠時間を減らす具体的な手段は以下のいずれか(どちらでもよい)。大切なことは毎日規則正しくすること。

 (1)夜型の場合:寝る時間を30分遅らせて、朝はそれまでと同じ時間に起きる
 (2)朝型の場合:夜はいつもと同じ時間に寝て、朝は30分早く起きる

できる限りスケジュールに近い時間を守ること。はめをはずせばはずすほど、元に戻すのは難しくなる。それに、睡眠の不足分を取り戻そうなどとは考えないほうがよい。つまり、たとえば7時間の段階であれば、1時間多く眠ってしまった日が1日あったとしても、次の日に1時間減らす必要はない。いつもと同じように7時間の睡眠をとるべきなのだ。また、いつもより1時間少ない日があったとしても、次の日に1時間多くする必要もない。


5.睡眠時間は徐々に少しずつ減らすこと

順応期間は年代別・睡眠時間別に異なるようです。

たとえば、30歳の人が現在7時間睡眠だとしたら、以下のような感じで減らしていくことになります。

ということで、今日から開始すると1時間減の6時間に順応し始めるのは11月初めです。順調にいけば年明け1月に5時間。4時間に到達するのは3月ということになります。長期戦ですね(しかも寒い時期なのに…)。

6.無理せずあせらず着実に

睡眠の習慣というのは一度身につくとなかなか変えられない。無理に変えようとすると、当然ストレスが生じる。新しい睡眠時間に慣れるまでは眠気や疲労感を感じるし、仕事の能率も落ちる──少なくとも能率が落ちるような気がする。

(中略)

ただしそれはいつまでも続くわけではなく──新しい睡眠時間に取りくむごとに──せいぜい1週間から10日ぐらいであろう。

正確には人によって異なるそうですが、個人的には今まで睡眠時間を短くしようというチャレンジに幾度も挫折した経験を振り返ると、順応にこれほど時間がかかるのなら、途中で諦めていたとしても無理はなかった、と思えます。

ただし、

もし10日から2週間たってもうまく順応できないようなら、その段階に挑戦するのをひとまず中止して、うまく順応できた段階に戻したほうがよい。

とも書かれています。

7.自分の「短眠時間」の目安と限界を知る

自分に素直にならなくてはいけない。10日から2週間たっても新しい睡眠時間になじめなければ、そこで中止して一つ前の段階に戻ること。そして次の月にもう一度試してみて、それでもうまくいかなければ自分の限界に達しているのである。したがって、それ以上がんばっても無意味だ。ここまでは睡眠時間を減らすことができるという限界が──おそらく生まれながらにしてもっているのだろう──誰にでもあることを認めなくてはならない。

いろいろ紹介してきましたが、これらを根底からぶちこわすのが、日野原重明氏(94歳)の以下の言葉(かなり古い記事ですが…)。

それで昨日寝たのは午前2時で今日は朝7時半から仕事をしている。1日に寝るのは長くて5時間まで。週に1度か10日に1度は必ず徹夜して作品を仕上げるとますます気力が出てきて愉快になる。生産的な仕事をしているからストレスにならないんですよ。

(中略)

ルネ・デュボスというフランス人の微生物学者が『人間と適応』という本の中で「健康な状態とか、病気の状態というものは、環境からの挑戦に適応しようと対処する努力に、生物が成功したか失敗したかの表現である」と記しています。

(中略)

規則正しくバランスを取って箱入り娘になるよりも、不規則な方が適応力がつくということですよ。

日経ビジネス・2001年2月19日号

前半の説明はいったい何だったのかという疑問を残しつつ、コツの続きはまた明日。。

まとめ

今日のまとめは南野やじ風に。

<睡眠時間を短くするコツ>

動機明確、気分記録、時間一定、時刻一定、漸次減少、限界停止。

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