割り込みに対応できないどころか、TaskChuteはおそらく割り込みにもっともよく対応するツールの1つです。その理由は「どの作業が現在」であるかを過去→現在→未来というタイムラインの中で表現するツールだからです。
「割り込み」とはその「現在の作業」に待ったをかけるという行為です。ですから「現在何をやっているか」が明示されていないのに「割り込みに対応」はできないに等しいのです。割り込みタスクをリストの最初や最後に付け加えるのでは「対応」になっていません。
また、ログの中にただ作業記録を残すだけでは、後から見たときに何が「割り込み」だったか分からなくなります。「割り込みログ」を後からチェックして、「割り込み問題」に対応することを検討できてこそ、「割り込みに対処している」と言えるはずです。
「割り込み」を定義する
下の図を見てください。赤枠で囲った「ブラウザ設定」がこの図の中の割り込みです。これはTaskChute2が「割り込み」をどう表現するかをよく示しています。
TaskChuteでは「割り込み」を「見積もりがないのに実績がある作業」と定義できます。TaskChuteでは原則的に全てのタスクについて、とりあえずでもいいので見積もり時間を与えます。「割り込み」は事前に予測されていないタスクであるため、この事前の見積もり時間がなく、したがって予測値がないのに実測値だけあるという特殊なログになるのです。
よく聞かれる苦情が「現在作業中タスクをコピーしてから、1行割り込み作業と追記するような余裕がない」というものですが、これにかかる時間は数秒です。手順は次のようになります。
これはちょうどたったいま、このシゴタノ!を執筆中に娘が飛び込んできて、「着替えを手伝って」と言ってきたケースです。まずシゴタノ記事作成というタスクをコピーします。この作業はCTRL+Rで実行可能です。そして「現在時刻」を終了時刻として記入します。これはCTRL+コロンで挿入。
そうしたらTaskChuteから離れて娘の着替えを手伝います。手伝いが終わったら(いま終わったのですが)、タスクを新規に追加し、プロジェクト欄にUnPlannedと記入。Uだけを入れれば勝手に自動補完されます。そして次のような問い合わせが入ります。
何していたのかをきかれます。何も入力しなければ「アイドリング」となるのがデフォルトです。ここでは「むすめのきがえ」と入れておきます。
するとこのように、「むすめのきがえ」が「割り込み」され、見積もり時間枠は空欄なのに、実績値12分と記録されます。後はまた「シゴタノ記事作成」にそこから戻ればいいだけです。
「割り込み」のログ
これは割り込みに「対応する」やり方としては十分にスムーズで、かつ実用的です。実際この一連の流れは明らかに「割り込みに対応する」ための設計です。ショートカットになれれば瞬時に対応できますし、作業内容の挿入、作業予定のずれ込み、作業記録という「割り込み」に付随する全課程がリアルタイムに記載されているのです。
事実この作業のおかげで、きっかり12分、後ろに「終了予定」がずれ込みました。
それと同じくらい大事なことがあります。この記録が「割り込み記録」としてTaskChute2に残っていくのです。後から見た時に、次のような記録がなければ、いったい自分にとって「割り込み」とはなんであるのかがどうして分かるのでしょうか?
私にとってはこれが「割り込み」または「これのせいで先送りしたこと」なのです。「割り込み」と「先送り」とはTaskChuteの世界から見ると実によく似ています。ちがうのは、
- 割り込みは他人の力によって作業順序と見積もりが狂うこと
- 先送りは自分の判断で作業順序と見積もりを狂わせること
です。
「割り込みログ」は実に様々なことを語ってくれます。大変内容が豊かです。年賀状を書いたり、Dropboxのフォルダ整理をしたり、アナログメモの処理をするのに、なぜ「UnPlanned」で時間をとってまでやろうとしたのか? その結果はどうだったか?
そこに自分というものが実によく現れています。その辺りの日時のライフログでも見返せば、何が起こったのかをいっそう鮮明に知ることができ、そもそもそういった「問題」がおこらないようにする方法も検討することが可能です。
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