書店の平積み、多面展開の写真を送って下さる方もいらして、嬉しい限りです。特に嬉しかったのが、地元の福島県いわき市の書店にも、発売日にあったというお知らせ。2年前出版したはじめての本『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』は初版が少なくていわきまで届くのに数ヶ月かかったので、感慨深いものがありました。
感想の中で良くいただいたのが、「キャッチフレーズを作るのがうまい」というもの。今回の「ひとり時間」本では「モヤ様」「アクティブ孤独」「ビタミンパーソン」「幽体離脱」「自分実況中継」などなど、様々な言葉を入れました。
もともと私はキャッチフレーズを作るのが得意だったわけではないのですが、振り返ると、実はここにも「朝」が隠れていたことを思い出したので、今回はそのことについてお伝えします。
誰でも出来そうな事務仕事でも、今後企画提案力がないと生き残れない
私は外資系戦略コンサルティング会社の資料作成部門で6年、ひたすら提案資料をパワーポイントで作り続けるという仕事をしていました。社内のコンサルタントから依頼され、原稿をキレイに、見やすく作り替える仕事です。
誰が作っても一定の高いクオリティを保つため、フォントサイズや配色、グラフの位置に至るまで厳密にルールが決まっていました。
つまり、ひねくれた見方をすれば、徹底的なトレーニングで一定のルールさえ覚えてしまえば、手が勝手に動くようになるので機械的に作るだけで最低限、外に出せる資料は作れてしまうとも言える仕事でした。
しかし、同じ仕事をしていても、コンサルタントに「この人に任せれば安心だ」と言われる人と、「この人にお願いするとちょっと困るなあ」と言われてしまう人に分かれてしまうということがありました。
誰がやっても同じようにできるはずの一見単調作業でも、このような差ができる理由は何でしょうか。私は仕事ができる先輩を観察することで、「企画力」や「提案力」の差が、「できる」「できない」を決めているのだと分かりました。
できる先輩たちは、コンサルタントの指示通りの仕事を何の疑いもなくそのまま受け入れ、頭を使わないまま手だけ動かすことはしていませんでした。「こうしたらもっと良くなる」という提案を積極的にしていたのです。
変化が激しい世の中、計画が大体決まっていて、その通り進めればうまく行く、とは限りません。計画を間違いなく遂行するのなら、コンピュータでもできます。コンピュータではできない「企画」「提案」で新たな価値を作る人が評価されていき、それ以外の人たちはコンピュータにとって代わられる可能性があります。
新しいアイディアを形にすることは、クリエイティブな仕事についている人の専売特許で、私たち事務方には関係ないことだ、という時代は終わった、と感じた瞬間でした。
と同時に、コンピュータと同じ仕事をしていたら、近い将来ふるい落とされる! これは大変だ! と恐怖を感じたのです。
朝の限られた時間で、大量アイディア出しの訓練をする
とはいえ、怖がっていても何も始まらない、どうしたら企画力、提案力が上がるのだろうか、と考えたとき、私が着目したのは「朝」でした。
頑張って企画するぞ!と思って一生懸命考えまくっても、すぐに力がつくものではありません。何度も何度も、どんなにイマイチなアイディアでもアウトプットをし続けていくことが、遠回りなようで実は一番の近道だと思ったのです。
面白いアイディアが浮かぶのは、断然朝が多いということは経験で分かっていましたので、とりあえず、馬鹿なアイディアでも突拍子がないアイディアでも何でもいいから限られた時間で考えてみよう、と決めました。
朝8時から9時までは、とにかく今の仕事の改善点をあげていく時間にする!といったように、自分でアウトプットの時間に制限を決めてしまうことで、とりあえず数をこなすのです。
この訓練で、私はアイディアを出す、ということに抵抗がなくなりました。それまでは「こんなアイディアを出したらバカだと思われるんじゃないだろうか」なんていって躊躇していたところを、「もう、バカだと思われてもいいからとりあえずアイディアは全部振り絞ろう!」というスタンスに変わることができたのです。
当時コンサル会社でアイディアマンとして評価されていたかどうかは、今となっては分かりませんが、頑張りは時間差で成果を連れてきてくれました。
例えば今では朝4時~9時までしかスケジュールを入れられない「朝活手帳」をプロデュースしたり、普通は夜やるものだったライブを、朝から企画したり、当時珍しかった、早朝7時からの出版記念講演会や早朝セミナーを2009年から開催したり、ホテル朝食を出かけて食べに行くという「早朝グルメの会」を企画したりといったように、型にとらわれない企画力が、徐々に身についてきたことを実感しています。
「バカだと思われたくない」は、ただの自意識過剰
企画が出ない、と悩む人は、いつか企画が浮かぶはずだと延々と、頭の中の考えをこねくり回して外に出さないから企画が生まれないのです。
とりあえずイケテナイ企画でもいいから、とにかく数を出す訓練をする。それをあえて、始業まで、といったように制限時間を決め、朝、行うのです。
朝にこれを行うのが良い理由は他にもあります。私が「鉄は熱いうちに打て」作戦と呼んでいるものです。
夜思いついたアイディアを「明日やろう」と思っても忘れてしまうことはありませんか?
朝なら、思いついたアイディアをすぐに職場に持って行き、実行に移すことができます。実行に移す立場ではまだない人でも、上司に提案することならできるでしょう。
もしかしたら、すぐに却下されるような、しょうもない企画かもしれません。鼻で笑われてしまうかもしれません。
でも、トライ&エラーをすぐに繰り返すことができるから、たとえ失敗してもその失敗を早いうちに挽回することができるわけです。
「私のアイディアはこんなしょぼいもんじゃない」「もっとうまいアイディアが浮かぶはずだ」と、もたもたと考えることを繰り返し、後で取り返しのつかない失敗をしたり、つまらない企画しか出せないままで終わるより、こまめこまめにアウトプットして、ダメダシされながらも、その都度軌道修正していったほうがよっぽど生産性は向上するのです。
ですから、アウトプットの訓練として、朝を一度使ってみませんか? もしかしたらその一歩が、あなたのアイディアの泉を掘り起こすきっかけとなるかもしれませんよ!
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ただいま発売中『「朝10分」で仕事は片付ける』(プレジデント社)に、株式会社壱番屋(カレーハウスCoCo壱番屋)の創業者・宗次德二さん、ベストセラー『社長のノート』著者・長谷川和廣さん、「かしこカワイイ」で有名な営業部女子課主宰・太田彩子さんとともに、「朝活プロフェッショナルの仕事術」ということでインタビュー載せて頂いてます。
6ページにわたったインタビューと、私が作った早起きのメリットに関する図解も載せて頂いています。光栄です! 良かったらご覧下さい。
▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。