「安くなった」ものにライフハックの可能性を見いだす

カテゴリー: ビジネス心理

食べ物がなければ人間は生きていけない。だから食べ物はどんな宝石や黄金よりも本当は高価であるべきだ。それなのに世の中では、宝石の方がずっと高く売られている。世の中は狂っている…。

こういう議論は、時に宗教家などから発せられます。だから私はこうした議論を非常によく耳にして育ちました。

実際には冒頭のような主張は、経済学の一番の基本である、供給と価格の関係を完全に無視しています。大量に供給されているものの価格は下落する一方で、供給が少なければ価格は高いところにとどまります。

価格が下落するということは、用途の幅がそれだけ広がるということです。簡単に言えば、供給量が増えて入手が容易になれば、それはどんな用途にも活用されるようになります。

たとえば以前、デジタルカメラがなかった時代には、写真の用途は非常に限定的なものでした。カメラは高価で、フィルムの値段もバカにならず、現像代も必要だったからです。従ってほとんどの人は、イベントや旅行先の風景を記録する目的だけに、カメラを用いていました。

しかし、デジタルカメラが普及して、大量に供給されるようになると、価格は下落し、その用途は急速に拡大しました。今ではデジタルカメラはメモ代わりに使用されています。以前では考えられない使い方です。

いうまでもなく、安価になったものはその用途が価値の低いものにまで広がっただけであり、元の用途はそのまま残っています。デジタルカメラを風景や結婚式の様子を残すために使われているのは、以前のままです。

このように、供給量が少なく、従って価格が高価な折には、使用用途が著しく限定されてしまうようなものでも、供給が豊富になって価格が下落すれば、思わぬ用途にまで活用できるようになります。これがライフハックの可能性につながります。

実際、DVDやレコーダーを英語の勉強に使えるようになったのもその一例ですし、PCがメモ代わりに使われるようになったのもそうでしょう。そもそも紙が高価だった時代には、メモというものを一般の人が使用することは、出来なかったはずです。

そう考えてみると、価格が急速に下落しているもの(たとえばコピー機)のようなものには、まだまだ工夫次第で、思わぬ活用法を見いだすことが出来そうです。

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