行動心理学では「行動」を形成するために「強化子」あるいは「罰子」を使います。
- 強化…ネズミがレバーを倒すと、チーズが出る。するとネズミはレバー倒しを学習する。
- 罰…ネズミがオリから出ようとする度に電気ショックを与えるようにすると、ネズミはオリにとどまることを学習する。
つまり、生物は快を求め、不快を避けるということです。
この組み合わせを複雑にして、人間社会でも「教育」や「行動療法」に役立てられています。
「正の罰」を与えるより、取り除く「負の罰」の方が効果的?
ところで、以上は有名な話ですが、これよりはいささか有名でない話として、「ネズミのレバー倒し」のような「オペラント学習」には、強化に「正の強化」と「負の強化」とがあり、「罰」には「正の罰」と「負の罰」があります。
- 正…快や不快を「加える」
- 負…「取り除く」ことで快や不快をもたらす
例を挙げて説明します。
- 正の強化…ご褒美を「与える」
- 負の強化…試合に勝ったらミーティング「免除」
(いささか例が悪いですね)。
- 正の罰…体罰などを「与える」
- 負の罰…休暇などを「取り上げる」
よく、教育への行動科学の応用事例として、「正の罰」を与えるより、取り除く「負の罰」の方が効果的、といわれます。
「罰」を受ける子供の解釈などに個人差があるため、一概には言えませんが、「負の罰」に効果があるといわれるのにはわけがあります。
「取り除く罰」である「負の罰」は持続性があるため、子供に「考えさせる時間を多く与えることになる」というのです。
そして、「負の強化」にも意外なほどの効果があります。
「負の強化」の効果
何か面倒なことや不快感が取り除かれる快感を、人は強く求めます。
薬局が、非常に人気のあるお店であることを見ても、これは明らかでしょう。
禁煙や禁酒を成功させる方法として、この「負の強化」を利用するやり方が考えられます。
たとえば、たばこを吸う度に、何か一つほんのちょっとした面倒なことを一緒にする習慣をつけておくのです。
そうしておけば、いつか禁煙を成し遂げたいと思ったとき、たばこを吸わなければ面倒ごとも一緒に「避けられる」という感覚を持つことができます。
その快感が禁煙の後押しをしてくれるでしょう。
▼参考:
» 「条件づけ」(ひろみの勉強部屋)